経済産業省が10年以上も進めている電力システム改革が安定供給と低廉な電気料金を確保しつつ脱炭素化を進める新たなステージに突入する。資源エネルギー庁は今年4月以降、電力システム改革関連の制度改正について集中的に議論する新たな検討会を設置する。新設の検討会は総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会の下に置き、年内を目途に制度改正の内容をとりまとめる。新たな制度整備と既存制度の変更は26年の通常国会に電気事業法改正案として提出を予定する。
多様な取引市場・価格指標などの拡充検討
新たな検討会では、電源や送配電系統網への投資に対する事業者の資金調達を円滑にする方策とともに、小売電気事業者に課す規律などを主要テーマとする。必要に応じて電気事業法の改正についても議論する。電事法改正が必要となった場合は26年の通常国会への提出を見据え、25年中に議論をまとめる予定という。
新たな検討会新設と電事法見直しの方向性については、2月6日にまとめた電力システム改革検証結果の報告案で方針が示されている。電力・ガス基本政策小委員会が約1年かけて、これまでの電力システム改革を検証、右記のような留意事項が指摘された。
電力システム改革の進展は需要家の選択肢や新規事業者による事業展開が拡大された一方で、将来的な電源投資が難しくなり供給力確保が大きな課題となっている。経産省による検証結果報告案は、電源投資の促進や電力価格指標の形成につながる取引市場や制度を大きく3分類、将来の電力システムを支えるために条件整備する方針を示した(下図)。
◇電力システム改革結果の報告案の要点
▽電力システムが直面する課題と対応方針…@電源の脱炭素化の推進、A電源の効率的な活用に向けた系統整備・立地誘導と柔軟な需給運用の仕組み構築、B市場を通じた安定的な価格での需要家への供給に向けた小売事業の環境整備、C電源・系統への投資に対するファイナンス、D電力システムの公的役割を担う機関の体制強化 ▽事業者・電力産業に期待される役割・責任…@脱炭素電源や系統設置・整備の担い手、A発電から需要家へ電力を安定供給する運営者、B需要家ニーズに応えるエネルギーサービスプロバイダー ▽将来の電力システムを支える取引市場の全体像…@供給力を確保するための取引市場・制度、A量・価格両面で安定調達を可能とする中長期取引市場、B効率的な広域メリットオーダー実現のための短期取引市場 ▽今後の進め方…電力システム制度改正について集中的に議論する検討会を設置。電気事業法等の改正が必要な場合には法改正も含めて具体的な制度整備を行う
(以下については本誌2814をご参照ください)
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