原子力規制委の17年度予算、監視・検査体制強化
(省・新エネ)
西村明宏環境相は7月6日、北海道檜山沖でコスモエコパワーが計画する最大100万kW規模の洋上風力発電事業の計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見を西村康稔経産相に提出した。 同事業は二海郡八雲町、檜山郡江差町、同上ノ国町、久遠郡せたな町の沖合海域約2万1000haを計画区域に想定。再生エネ海域利用促進法では促進区域の指定に向け準備に着手する「有望な区域」に選定されている。また、今年度にセントラル方式の一環としてJOGMECによる風況や地質構造の調査が予定されている。事業計画では単機出力1万〜2万kW級を最大100基予定する。 環境大臣意見では▽国内希少種のイヌワシ・オジロワシ等への影響回避・極力低減、▽生物多様性の観点から重要度の高い海域であることから適切な予測・評価と環境保全措置の実施、▽他事業との累積的な影響への対応――などを求めた。
東京電力パワーグリッドと日立製作所は5日、複数エリアのデータセンターで電力需給を最適制御する基礎技術を確立したと発表した。両社は6月29日に同基礎技術の特許出願、ビジネス化の検討を進める。 2030年には国内のデータセンター(DC)の増設や更新に伴い、DCの電力需要は国内消費電力の約10%にあたる860億kWhに増加する見通しだ。DCを稼働させるための送電コストに比べて、DCにて処理したデータを輸送する通信コストの方が経済的なことから、再生エネ発電所に近い場所へDCを設置することが重要と言われている。 東電PGと日立は、DCが設置されているエリアごとの再生エネ発電状況を踏まえ、電力需要を他のエリアに分散させるエネルギーマネジメントの実証実験を22年10月より実施した。同実証では、茨城県内のコンテナ型DCと東京都内のサーバールーム間を接続し、電力需給シミュレーションデータに基づく調整要求に合わせて、DCの計算負荷の空間シフト、エリア内での計算負荷の時間シフト、さらにDC内の空調等の分散型エネルギー源制御を行った。
(省・新エネ)
東京都は4日、持続可能な航空燃料(SAF)等の原料となる廃食用油の調達に向けて、日揮HD、コスモ石油、レポインターナショナルおよびイトーヨーカ堂と連携して二つの回収促進事業を開始すると発表した。4月に事業提案を公募していたもので、今後各事業者と協定を結び、事業を開始する。 日揮、コスモ石油、レポ(廃食油再生事業者)の3社は家庭系廃食油の回収事業を行うとともに、回収した廃食用油のSAF利用可否を検討する。併せてイベントやキャンペーンなど啓もう普及事業も実施する。イトーヨーカ堂は都内店舗を回収拠点として家庭系廃食油の回収とリサイクル事業を行う。回収専用容器(リターナブルボトル)を置き、当面は石鹸やインク溶剤等へのリサイクルを実施、将来的にSAFの商品化に取り組む。 日揮、コスモ石油、レポの3社はすでに大阪府堺市でSAF製造拠点の建設に着手。外食産業等と連携して廃食用油の回収促進事業を進めている。
ヤマトホールディングスは6日、環境対応資金を調達するための債権「グリーンボンド」を同社で初めて発行した。 同社の発表によると、グリーンボンドの発行総額は200億円、5年債で利率は0.310%。東京海上アセットマネジメントや日本地震再保険など50以上の機関投資家や金融機関、事業会社が購入、または購入を表明しているという。 調達資金は、電気自動車(EV)の導入と充電設備の設置、関連する研究開発にあてるほか、太陽光発電設備の導入・運営・改修、拠点や事業所のエネルギー効率改善に向けたLED設備導入といった取り組みに使う。 主幹事証券会社は野村証券、SMBC日興など大手5証券。発行に際し、日本格付研究所(JCR)から「グリーンボンド原則2021」などのガイドラインに適合するとの第三者評価(セカンド・パーティー・オピニオン)を受けた。
(地球温暖化対策)
国際海事機関(IMO)の海洋環境保護委員会が7月3日〜7日にロンドンで開かれ、船舶から排出される温室効果ガス(GHG)の削減戦略を改定、目標を「2050年頃までに国際海運からのGHG排出をゼロ」に引き上げることが決まった。 5年ぶりに上記戦略を改定するもので、併せて▽ゼロエミッションかそれに近い脱炭素燃料の利用を30年までに5〜10%導入する、▽30年までにCO2排出量(輸送量当たり)40%以上削減する(08年比)――との新たな目標を設定。このほか50年実質ゼロに向けた進捗をはかるための中間指標として、「30年に08年比で20%〜30%削減、40年に同じく70%〜80%削減する」との目標も盛り込まれた。 IMOには175カ国が加盟、国際海運からのCO2排出量は全体の3%弱とされる。新たな目標達成を目指すための経済的措置や規制的措置の導入については、来年4月開催の次会合に向けて、引き続き検討する。