経済産業省は4月20日、製造産業分科会(会長;清家篤・日本私立学校振興・共済事業団理事長)の会合を開いた。会合では新・素材産業ビジョンの中間整理案を取りまとめた。中間整理案は鉄鋼、化学、紙パルプなどの素材産業がカーボンニュートラル(CN)を目指しつつ、国際競争力を維持・強化するための方向性を示した。6月に政府が策定するクリーンエネルギー戦略にも反映する。
中間整理案では脱炭素・炭素循環化によって生じる素材産業の2050年までの追加コスト試算を提示。試算では鉄鋼業約10兆円、化学産業約7.4兆円、セメント産業約2.4兆円、製紙産業約2.4兆円となり素材産業全体で約24兆円にのぼった。政府は2兆円のグリーンイノベーション基金で鉄鋼に約1900億円、化学に約1300億円の脱炭素技術開発支援を決めているが、今後基金の拡大を検討する。また、同中間整理案ではエネルギー・原材料の高騰に対して、サプライチェーンの安定供給体制の強化とサーキュラ―エコノミーへ転換させる方策を具体化することも示した。
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