週刊「エネルギーと環境」 エネルギージャーナル社

今週の注目記事


Weekly Short Report


G7エネ・環境相と気候行動閣僚会合相次ぎ開催

(気候変動関連)

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 環境省は11月4日、カナダのトロントで10月30〜31日開催されたG7エネルギー・環境大臣会合及び11月1日同地で開催の気候行動に関する閣僚会合(MOCA)の結果を公表した。
 G7のエネ・環境大臣会合では、@循環経済及び資源効率性トロント行動計画、AG7水コアリション作業計画、B異常気象予測・準備・対応に関する議長ステートメント、C議長サマリー、がまとめられた。我が国からは青山繁晴環境副大臣を筆頭に政府関係者が出席、パリ協定の目標に定める1.5℃抑制を達成するための国際社会の団結やプラスチック汚染対策条約交渉での次回会合での合意、水関連災害へのレジリエンスと適応の重要性、異常気象対策における早期警戒システムの活用などが共有された。ただ、議論ではエネルギーや鉱物資源に関連した経済安全保障対策の強化も目立った。
 MOCA会合はブラジルで10日から開催されたCOP30の前哨戦となり、低炭素で強靭な経済移行を加速させるための資金・技術・能力構築に向けた共同実施の重要性が指摘された。我が国はパリ協定の1.5℃目標達成のため、次期の削減目標未提出国に対して「野心的な目標の提出」を強く呼びかけた。しかし、米国のトランプ政権はこうした気候変動対策協議の無視を続けている。
 こうした国際会合に先立ち、10月15日には世界気象機関が温室効果ガス(CO2等)の推移状況を発表、直近の世界のCO2濃度が産業革命前よりも52%高い423.9ppmを記録して観測史上最高となったことを公表した。これに関連して国連のグテーレス事務総長は「世界の平均気温が1.5℃を上回ることは避けられないが、今世紀末までそれを達成するのはなお可能だ」と述べ、各国に1.5℃目標に整合した削減目標の提出を求めた。








気候変動世論調査、IPCC報告知らない 64.4%

(気候変動関連)

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 内閣府は31日、「気候変動に関する世論調査(速報)」の結果を発表した。調査は今年9月から10月中旬まで18歳以上の3000人を対象に郵送またはインターネット方式で実施、回収率58.9%だった。
 調査項目の中では、1990年から評価報告書を公表しているIPCC(国連気候変動パネル)の認知度について、「知らない」との回答が64.4%あり、「知っている」の34.8%を大きく上回った。脱炭素社会の実現に向けた取り組みへの意欲を聞いた項目では、「積極的に」と「ある程度」を合わせて「取り組みたい」とする人が89.2%にのぼった。日常生活の実践活動では、「こまめな消灯等」が66.5%、「冷暖房設定温度の管理」60.9%、「省エネ効果の高い家電購入」48.9%の順に高かった。
 ただ、気候変動被害の影響を防止・軽減する取組である「適応」の対策については、その言葉を「知らなかった」人が回答数の51.6%を占め、「知っていた」人の11.6%を圧倒的に上回り、今後の施策展開に課題を残した。









高市首相、再生エネ賦課金の必要性検証を表明

(省・新エネ)

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 高市早苗首相は11月5日、衆議院本会議の国民民主党の玉木雄一郎代表への答弁で、「再生可能エネルギー特措法は再生エネ電力促進により日本の国際競争力を高め、産業振興と地域の活性化を進めて国民経済の健全な発展を目的とする。再生エネ賦課金のあり方について、今後の技術進展やその必要性について検証する」と表明した(表紙に写真)。
 また赤澤亮正経産相は7日の閣議後会見で、再生エネ賦課金による事業者支援の必要性を検証する考えを示した。「従来型のPV導入コスト低減の状況なども踏まえつつ支援のあり方を検討する」とした。すでに再生エネ賦課金はFITからFIP方式への移行を進めることで国民負担を軽減する対応となっている。先般設置された関係省庁連絡会議によるメガソーラー規制強化方針などの対応によって、ペロブスカイト太陽電池や地域共生に配慮された発電所などに支援対象を絞り、一層の賦課金負担を軽減する考えのようだ。
 ただ、すでにFIT・FIP認定を受けている発電所まで遡って支援低減する措置となれば、行政訴訟の頻発など大混乱になることが必至だ。検証による見直しがどこまで踏み込むのかが注目される。









JERA、261万kW袖ケ浦LNG火力建替配慮書

(電力・ガス)

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 JERAは4日、環境影響評価法に基づき「袖ケ浦火力発電所(千葉県袖ケ浦市)新1〜3号機建設計画計画段階環境配慮書」を経産相、千葉県知事、袖ケ浦市長、市原市長、木更津市長へ送付したと発表した。出力は各87万kWで計261万kW、2032年度以降の運転開始を目指す。配慮書は11月5日から関係する行政機関において縦覧するとともに、同社ホームページで公開している。
 同社は袖ケ浦LNG火力既設1〜4号機の段階的な廃止・撤去と新1〜3号機の新設を予定。新1〜3号機に最新の高効率ガスタービンコンバインドサイクル発電方式(発電端熱効率約64%)を採用することで、CO2排出削減を進める。またリプレースを実施した場合のばい煙や温排水などによる環境負荷は、既設と比べて低減させるという。









東北電、水関連ビッグデータ活用の地域防災支援

(電力・ガス)

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 東北電力は4日、京都大学発のスタートアップ企業TerraInsight(テラ社)と協力して東北6県・新潟県における地域防災力・企業BCP(事業継続計画)の強化と再生可能エネルギーの有効活用などに取り組むと発表した。東北電力が持つ地域課題に関する知見や事業アセットと、テラ社が持つ世界250年分の水関連ビッグデータを活用した高度な水資源解析技術「統合水資源管理サービス」などを融合させる。
 同管理サービスは、科学的分析に基づくカスタマイズ型の水資源マネジメントを企業・自治体向けに提供するサービス。長期シナリオ分析や地域別の気候変動適応策を一体的に支援できる点が特長で、国内外の政策・研究にも活用されている。
 両社は今後、具体的に二つの事業開発を進める。一つは地域防災力・企業BCPを強化する新事業。同管理サービスなどを活用して洪水・内水ハザードマップ作成やリスク評価を行い、地域のスマート防災体制の構築や企業BCP策定支援を手がける。二つ目は水力発電有効活用の新事業で、気候変動を考慮したダムの運用や維持管理などを行い、水力発電を効率的に活用する事業を進める。










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