今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード

日本は「化石賞」の常連を返上せよ
2020/01/16(Thu) 文:(水)

 12月2〜13日までの日程でCOP25(国連気候変動枠組み条約締約国会合)がスペインのマドリッドで開かれる。
 COP25の主要ミッションは、表向き2020年から実施される温暖化ガス(CO2等)の削減対策を決めた「パリ協定」の確認と、前回会合までに決めきれなかったパリ協定第6条に規定する「市場メカニズム」(協力的なアプローチ、持続可能な開発に貢献するメカニズム等)の合意とされる。日本は安倍政権の下で決めた「気候変動長期戦略」において、東南アジアやアフリカなど海外での発電事業、省・再エネ関連事業の展開によるCO2等削減を重視しており、その貢献分を自国の削減分にカウントする方法が焦点となる。
 「表向き」と言ったのは、今回会合において主要国が野心的なCO2等削減対策をどこまで示すか、つまり国際社会に向けてどんなアクション(自主的な行動)をアピールするかが、ひそかに期待されている裏のミッションという。IPCC(国連気候変動パネル)が示した地球の気温上昇をこの先気候災害等の少なくなる1.5度C上昇に抑えるためには、世界のあらゆる国が今よりも約3〜4割以上CO2等を削減する必要があり、それを各国が“野心的”に競って示す舞台になるかもしれない。
COP25の前にはスウェーデンの16歳の環境活動家のグレタ・トゥンベリさんが次世代へのつけ回しを批判した行動が世界に広がったほか、直前に来日したフランシスコ教皇も気候変動による地球の危機回避への対応を促しており、国際世論を盛り上げている。
 翻ってわが国の対応はどうか。依然として対応策を示せない多くの石炭火力の新増設や80%以上という高い火力電源比率、見直しされていない低水準の2030年のCO2等削減目標など、今回も温暖化対策に不熱心という烙印が押され16〜17年と連続した「化石賞」と同じになる可能性がある。化石賞受賞となれば、日本政府代表団率いる小泉進次郎環境相の失点ともなり、長年世論調査でbPの首相候補にも大きな傷がつく。海外からは、いつまで日本は東日本大震災ダメージに甘えているのかとも指摘される。新たなCO2等削減対策は、例えば石炭火力新増設の場合は再生エネとのセット義務化、CO2等削減を国際貿易ルールに組み込むなど、いくらでも“野心的”な政策手法はあるのだが…。




ブロックチェーンを経済活動と環境維持の両面で
2019/12/17(Tue) 文:(一)

 米フェイスブックが発行を計画する仮想通貨(暗号資産)「リブラ」−。フェイスブックは世界で25億人を超すユーザーを持つだけに今年6月、計画が公表されると、国家管理に基づく貨幣経済の根幹を揺るがしかねない存在として波紋を広げた。いわゆるキャッシュレス化は、長らく現実の資産が裏付けだったクレジットカードと同じ磁気式のプリペイドカードに始まり、ICカードの登場で電子マネーへ移行。すでにクレジットカード自体もコモディティー化し、電子マネーとの違いはほぼ使い方だけになっている。さらにこうしたカード機能は携帯電話機、スマートフォンに取り込まれた。
 コンピューター技術の進歩は境界や国境が意味をなさないボーダーレス社会を徐々に形づくり2009年、為替の手間や変動リスクを排除する究極の決済方法として仮想通貨「ビットコイン」を誕生させた。ビットコインはじめとする初期の仮想通貨はハッキング(盗難)の危険と隣り合わせ。だが、その基盤技術であるブロックチェーン(分散型台帳)のセキュリティーレベルも着実に向上。今日ではブロックチェーンにより国として仮想通貨ならぬ、デジタル通貨でキャッシュレス社会を実現しようとする構想も出ている。
 貨幣経済において長年、基軸通貨として君臨してきた「ドル」を有する米トランプ政権は11月上旬、世界各国が参加する地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を正式に国連に通告した。何とも皮肉な巡り合わせだ。
 そもそも地球環境問題はボーダーレス。大気や水に国境はない。地球温暖化をもたらしている二酸化炭素(CO2)は米国を筆頭に経済成長を遂げた先進国の“負の遺産”であり、海面上昇による被害も現実となった。一方、経済発展に伴う途上国の温室効果ガス排出量が急増し、先進国の責任だけを追求する状況ではなくなった。その現実が、パリ協定の採択・発効を後押しした。
 キャッシュレス化で、お金の大切さを実感できない子どもが増えているという。同様に、見えないCO2が孕むリスクを理解するのも難しい。ブロックチェーンはパリ協定の目標達成に向け、CO2削減価値を取引する手段としても注目されている。革新的な技術を経済活動と環境維持の両面で生かしたい。




「リチウムイオン電池」がノーベル化学賞
2019/11/18(Mon) 文:(山)

 リチウムイオン電池を開発した旭化成名誉フェローの吉野彰氏(71歳)のノーベル化学賞受賞が決まった。テキサス大学オースティン校教授のジョン・B・グッドイナフ氏(97歳)とニューヨーク州立大学ビンガムトン校のスタンリー・ウィッティンガム氏(77歳)との3人の受賞になる。
 10月9日にスウェーデン王立科学アカデミーから発表され、すでに新聞やテレビで大々的に報道されているが、弊紙としてはまさに“創省蓄”の高度化には欠かせない、喜ばしいアイテムなので、遅ればせながら「一考/再考」に掲載させていただくことにした。
 リチウムイオン電池は正極にコバルト酸リチウムなどのリチウムイオン含有の金属酸化物、負極にカーボン系材料を用いた二次電池。充放電の際にリチウムイオンが電解液の中を往復することにより機能する。電圧がニッケル水素電池などの約3倍と大きな電力を持っている。スマートフォンやノートパソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯用音楽プレイヤーなど、最近では電気自動車にも使われ、モバイル機器になくてはならない最先端の電池となった。
 私事で恐縮だが、田舎に住んでいた子供のころ、部落中で電話がある家は数軒しかなく、急病人が出たりすると、その家に駆けこんで電話を借り、町のタクシーを頼んで医者に駆け込んだ記憶がある。それが一家に一台の電話機どころか、一人に1台の時代になった。こんなに便利な時代をつくりだした吉野氏らのノーベル賞受賞は当然といえよう。
 残念なのは吉野氏とともにリチウムイオン電池の正極材料コバルト酸リチウムなどを手がけた東芝の水島公一エグゼクティブフェローと世界に先駆けてリチウムイオン電池を実用化した元ソニーの西美緒氏(現・西美緒技術研究所所長)の受賞がなかったことだ。
 水島氏は1977年に当時、英国オックスフォード大に移ったグッドイナフ教授に招かれ、充電池の研究に取り組んだ。西氏も1991年にソニーでリチウムイオン電池を製品として世界で初めて世に出した。受賞は3人までなので、残念ではあるが、両氏もノーベル賞受賞に値する業績といえるだろう。



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