今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード

安倍首相の涙と政治部記者の非常識
2020/09/24(Thu) 文:(水)

 本誌9月15日号が皆さんのお手元に届いている頃には第26代目の新しい自民党総裁が菅義偉前官房長官に決まり、“菅首相”として内閣改造の真っただ中にあると思われる。歴代首相として戦後最長の連続在任年数7年8ヵ月という記録を打ち立てた安倍晋三首相が突然8月28日に辞任会見、またの投げ出しか?と見られたが「持病が悪化」とても総理大臣の重責を果たすことが叶わぬと判断したという。
 辞任会見では冒頭のコロナ対策に続けた自身の辞任に至った経緯の説明までくると、感極まったのかうっすらと目に涙が滲んでいた。そうした姿をテレビは大写ししていたが、その時は任期途中で病に倒れる無念さと果たせなかった憲法改正へのこだわりが交錯したのかと思った。しかし後で振り返ってみると、その涙は長らく握っていた最高権力者としての舞台から降りる悔しさであり、国民に向けた申し訳ない気持ちとは違うとの気がしてきた。
 ある時マスコミ界の先輩から「政治家とお役人の涙には気を付けろ」と忠告されたことがあったが、その後確かに何回かそうした場面にぶつかったことがあり、今でも演技で涙を流せる人がいると確信している。今回の安倍さんがそうだとは言っているわけではないが、あの辞任会見後に安倍政権への支持率が急変、一時は30%台の危険水準まで落ち込んだ状況が50〜60%台まで回復、それどころか想定外だった安倍政権の政策路線を継承するという「菅義偉新政権」が生まれようとしている。このシナリオを裏で用意した演出家がいたとすれば天才的かもしれない。
しかし政治のプレーヤーが変わっても優先的な政策課題は変わっていない。それはコロナ禍からの経済回復ともう一つの非常事態とされている気候変動危機にどう立ち向かうかである。安倍首相の辞任会見→自民党総裁選→3人の立候補による支持獲得運動、これに伴う報道ぶりを見ても、巨大化する自然災害や熱中症など地球温暖化対策をどうするかは話題にもなっていない。環境エネルギー政策が重要政策になっていないのは今に始まったことではないが、その多くの責任は無定見な政治家もさることながら、いつもその周りにいる大メディアの政治部記者の“非常識”にあるような気がしてならない。




一日も早いコロナウイルス撤退を願う
2020/09/08(Tue) 文:(山)

 昨年末に中国武漢で見つかった新型コロナウイルスがあっという間に世界中に広がり、日本では8月26日時点で感染者6万3822人、死亡者1209人に達した。世界では感染者2401万1502人、死亡者82万1909人となった。わずか9ヵ月足らずでこれだけの人々が感染し、お亡くなりになるとは想像を絶する出来事といえるでしょう。
 外出を避けて、自宅に閉じこもっていれば感染のリスクは少ないのでしょうが、仕事があれば外に出かけなければならない。総理大臣官邸・厚生労働省は集団感染防止のため「三つの密(密閉・密集・密接)」を避けるようにと要請している。もちろん、夜の酒場などでの三密は避けなければならないが、会議や他社との折衝などとなると、そうもいかないことが少なくない。マスクなどで自己防衛するしかなさそうである。一日も早くコロナウイルスが地球上から撤退してくれることを祈るばかりである。
 こうした中でも我々スタッフ一同はコロナウイルスに負けずに、新鮮な情報を皆様にお伝えしようと、おかげさまで元気に飛び回っております。本号の特集は「蓄電システムの最新動向」であります。太陽光発電や風力発電という日当たり任せ、風任せといったいった不安定な電力を安定した電源として活用するには、蓄電池を上手に使うことが欠かせません。
 太陽光発電なら晴れの日に電気を蓄電池に貯めておき、曇りや雨の日には電池に貯めた電気を使う、風力も同様に風の強い日に貯めた電気を無風の日に使うということができるからです。お日さまや風任せの発電設備には蓄電池が有効ということになるでしょう。
 いずれにしても太陽光発電や風力発電などといった温室効果ガスを排出しない発電装置を上手に活用して、地球温暖化の原因となる化石燃料の使用をできる限り減らしていくことが求められています。さらに、これは難しいことかもしれませんが、ひとたび事故が起こると大惨事となるだけでなく、使用済み燃料の処分もままならない原子力発電も太陽光発電や風力発電などの普及によって、少しずつでも置き換えていくことができれば安全に生活を送れる日本を実現できるのではないでしょうか。




横浜市新庁舎、ゼロカーボンのシンボルに
2020/08/20(Thu) 文:(一)

 横浜市は6月末に全面供用開始となった市役所新庁舎(32階建て延べ約14万3000u)で使用する電力を、再生可能エネルギー100%とする。発電設備がある市内のゴミ焼却場から発電電力を自己託送制度で供給し、不足分は契約している電力小売り事業者が、住宅用太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)期間満了に伴う卒FIT電力を市内で調達する。横浜に誕生した新しいランドマークが2050年の二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロを見据え、市内で消費する電力を再エネへ転換していく「ゼロ・カーボン・ヨコハマ」(ゼロカーボンシティ)のシンボルにもなった。
 ひときわ目立つ超高層ビルの新庁舎はJR桜木町と歩行者デッキで結ばれ、みなとみらい線馬車道駅とは地下でつながる。横浜を観光で訪れた人々は風情のある赤レンガ倉庫や横浜三塔(神奈川県庁本庁舎、横浜税関本関、開港記念会館)を見る前に、“SDGs(環境)未来都市・横浜”という一面を目にすることになる。
 横浜市は東京都や山梨県、京都市とともに、環境省が全国の自治体に地球温暖化対策への取り組み徹底により、宣言を促すゼロカーボンシティの先駆け。市役所は同市で温室効果ガス排出量の約5%を占める最大級の排出事業者であることから、新庁舎に続き25年度をめどに、全18区の庁舎についても再エネ100%化を進めていく。
 一方で、横浜市は2019年2月、脱炭素社会の実現に向けて東北地方の12市町村と再エネに関する連携協定を結んでいる。連携先の自治体で発電された太陽光、風力、バイオマスをはじめとする再エネを横浜市内の需要家へ供給するスキームを検討し、連携自治体全体の地域活力創出につなげる「地域循環共生圏」を構築するのが狙いだ。同年9月には連携先の一つ、青森県横浜町にある風力発電施設で生み出された電力の市内需要家6件への供給が始まり、12月までに契約数は15件となった。横浜市によると市当局は基本的に関与せず、再エネを主な電力供給源とする電力小売り事業者が主導して契約が進んだという。
 ゼロカーボンのシンボル誕生とともに脱炭素化がSDGsの前提として広く認識され、好循環を生み出している。



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