今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード

負けるな川勝静岡県知事〜リニア新幹線中断を
2020/07/08(Wed) 文:(水)

 連日の新型コロナウイルス禍問題への対応であまり目立たなかったが、世紀のビッグプロジェクトと言われる「リニア中央新幹線事業」(2027年に品川―名古屋間の開業予定)が事業遂行の最終局面を迎えている。地中化ルートで、最大の難所かつ環境問題も未解決とされる「南アルプストンネル静岡工区」(8.9km)の準備工事に、川勝平太静岡県知事が待ったをかけている。
 リニア新幹線は国が1973年に基本計画、2011年に整備計画を決定、14年には工事計画が認可され一部沿線で関連工事が着工された。最速で品川―名古屋間を40分(大阪まで延伸されると約70分)で結ぶという弾丸列車だが、未解決の土砂処分など環境問題も多い。総工費は約9兆円。JR東海による投資だが、安倍政権は16年に3兆円におよぶ財政投融資を決定して支援、まさに国家プロジェクトそのものだ。一部の有識者からは開業しても当面赤字経営は間違いなく、事業採算性自体にも疑問符が付いていた。しかも、コロナ禍で地方分散の必要性が指摘されており、巨額な投資はむしろ地方で採算維持に長年苦労しているJRローカル線にこそ振り向けるべきとの指摘もある。
 川勝知事は国交省が設置した環境問題等を検討する有識者会議の結論が出るまで本格的な工事に入るべきではないとの考え方を提示。27年開業の厳守と全線の工事着工に弾みをつけたいJR東海に強く抵抗している。その背景には県が権限を持つリニア静岡工区内の大井川水源域(農業用水・水道水等に利用中)で、トンネル工事による地下水脈の遮断があれば、流量が激減する危惧がある。しかしJR東海は、「国家プロジェクト」を錦の御旗に、かつ推進自治体からの支援をバネに全面着工へ圧力を強めている。
 いわば川勝知事は孤立無援の様相だが、コロナ禍で効率第一主義のスピード最優先という大量輸送の時代は終わったのではないか。安倍政権もこれまでの大都市一極集中から地方分散の必要性を指摘し始めた。フランスでは最近、代替手段のある4時間以内の飛行機移動には特別な対応をとる要望が市民側から示された。リニア新幹線という大量の電力を消費し、かつ南海トラフなど大災害に脆弱な交通手段に異を唱える川勝知事には、新たな日常の地平線を拓くために頑張ってほしいものである。




うっとうしい梅雨もありがたい天の恵み
2020/06/17(Wed) 文:(山)

 6月も半ばを迎えた。昨年11月に中国湖北省武漢で最初の新型コロナウイルス感染症の症例が確認されてから、あっという間に世界中に感染が広がり、多くの国々でたくさんの方がお亡くなりになるという悲劇となった。わが国ではようやく罹患者が少なくなり、企業活動も商店、飲食店やレジャー施設などもそろそろ日常を取り戻しつつあるようだ。だが、このウイルスはなかなかしぶといようで、まだまだ油断は禁物だ。
コロナ騒動の中で、今年も半分近くが過ぎ、うっとうしい梅雨の季節を迎える。でも、6月は陰暦で「水無月(みなづき)」という。雨が多い梅雨の季節なのになぜ水が無い月なのだろうか。諸説あるようだが、水がない月だから水無月というわけではなく、水無月の無は「〜の」という意味であるようだ。つまり「水の月」である。陰暦の6月は現在の6月下旬からをさすようで、モノの本によると、梅雨が明けて田んぼに水がたくさんたまったからという説が有力だそうだ。
 都会に住んでいると雨の日が続くのはうっとうしい限りだが、水稲だけでなく、さまざまな植物にとって、この時期の雨は重要な役割を果たしているのだろう。人間にとってもダムに水が溜まって、夏場の水不足を回避できることになる。考えようによっては真夏の前に梅雨があるというのは実はありがたいことなのかもしれない。
 さて、本号は「拡大するか?グリーン環境価値」を特集しました。非化石とは石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料以外の燃料、具体的には太陽光や風力などの再生可能エネルギーや水力発電のことです。化石燃料は何百万年も昔に地層に埋まった植物や動物の死骸が熱や圧力によって長い時間をかけて燃料になったもので、これらを私たち人間が使い続ければ、いずれは地球上から化石燃料がなくなってしまいます。
 それだけでなく、化石燃料から非化石燃料に切り替えることにより、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出を減らすことができるため、非化石燃料が注目されています。非化石証書とは温室効果ガスを出さない電気の環境価値、つまり「非化石価値」を証書にして売買を可能にしたものです。
 雨の日には室内でゆっくり本誌をご覧いただければ幸いでございます。




どうする?もう一つの「非常事態宣言」
2020/06/04(Thu) 文:(水)

 政府は5月25日、約1ヵ月半続けた新型コロナウイルス感染拡大防止対策のための「緊急事態宣言」を首都圏と北海道を最後に全面解除した。まだ感染再発の油断はできないが、ようやくわが国の経済社会活動も重苦しかった目の前の濃い霧が消え、視界が開きつつある。世界中を震撼させたコロナ禍は3密の回避や移動の自粛・制限、働き方改革など、今まで当たり前に繰り返してきた社会経済活動の慣習にことごとく変更を迫った。一つは在宅勤務(テレワーク)という新たな働き方の選択であり、そのためにはわが国に長年根付いていた決済や意思決定があったことを証する「ハンコ文化」そのものが大きな障害になっていることも明らかになった。
 「電子署名サービス」に代用すれば人の活動の絶対量が大きく減少、エネルギー需要の削減にもつながり地球温暖化をもたらすCO2削減に大きく貢献する。特に霞が関における長年の慣習見直しはハンコ文化だけではなく、コロナ禍後のわが国の新しい社会経済活動のあり方を考える上で極めて重要と思われる。
 一例を挙げてみよう。各省庁が毎年行う政策立案→予算要求→概算決定→施策展開による予算執行というサイクルを2年に1回にしたらどうか。その方が時間的余裕も生まれて政策展開の質も向上し、地方自治体も含めて長期の視点を見据えた行政展開が可能となるはずであり、民間の経済活動にも好影響を与える。この可能性を財務省に聞いてみた。答えは財政法で1年間という「会計年度」が明記されており、法律改正しないと無理という。
 2年に1回の予算編成は財政面にも役立つ。政府はコロナ対策で急遽巨額の1〜2次補正予算を具体化したが、霞が関だけが聖域であってはならない。その財源の大半は国債発行となり、いずれ国民には消費税の再引き上げというツケが回ってくる。ならば法律改正して当初予算は2年間での執行として、その余剰分は財源対策に回せばよい。コロナ禍で実施された緊急事態宣言と同じような危機認識は、すでに気候変動の「非常事態宣言」としてすでに国内では20余自治体、世界では1000超の都市が共有している。この10年の対応が気候変動の限界を超えるかどうかの分岐点ともいわれており、CO2削減のための社会経済活動の大変革も待ったなしだ。



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