今月のキーワード エネルギージャーナル社

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「リチウムイオン電池」がノーベル化学賞
2019/11/18(Mon) 文:(山)

 リチウムイオン電池を開発した旭化成名誉フェローの吉野彰氏(71歳)のノーベル化学賞受賞が決まった。テキサス大学オースティン校教授のジョン・B・グッドイナフ氏(97歳)とニューヨーク州立大学ビンガムトン校のスタンリー・ウィッティンガム氏(77歳)との3人の受賞になる。
 10月9日にスウェーデン王立科学アカデミーから発表され、すでに新聞やテレビで大々的に報道されているが、弊紙としてはまさに“創省蓄”の高度化には欠かせない、喜ばしいアイテムなので、遅ればせながら「一考/再考」に掲載させていただくことにした。
 リチウムイオン電池は正極にコバルト酸リチウムなどのリチウムイオン含有の金属酸化物、負極にカーボン系材料を用いた二次電池。充放電の際にリチウムイオンが電解液の中を往復することにより機能する。電圧がニッケル水素電池などの約3倍と大きな電力を持っている。スマートフォンやノートパソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯用音楽プレイヤーなど、最近では電気自動車にも使われ、モバイル機器になくてはならない最先端の電池となった。
 私事で恐縮だが、田舎に住んでいた子供のころ、部落中で電話がある家は数軒しかなく、急病人が出たりすると、その家に駆けこんで電話を借り、町のタクシーを頼んで医者に駆け込んだ記憶がある。それが一家に一台の電話機どころか、一人に1台の時代になった。こんなに便利な時代をつくりだした吉野氏らのノーベル賞受賞は当然といえよう。
 残念なのは吉野氏とともにリチウムイオン電池の正極材料コバルト酸リチウムなどを手がけた東芝の水島公一エグゼクティブフェローと世界に先駆けてリチウムイオン電池を実用化した元ソニーの西美緒氏(現・西美緒技術研究所所長)の受賞がなかったことだ。
 水島氏は1977年に当時、英国オックスフォード大に移ったグッドイナフ教授に招かれ、充電池の研究に取り組んだ。西氏も1991年にソニーでリチウムイオン電池を製品として世界で初めて世に出した。受賞は3人までなので、残念ではあるが、両氏もノーベル賞受賞に値する業績といえるだろう。




徹底的に膿を出し切り関電再生を期待する
2019/10/25(Fri) 文:(水)

 「お前のいい加減な仕事ぶりを社長に言ってやる。今すぐ、この電話を社長につなげ」「お前なんかいつでも飛ばせるし、何なら首も飛ばすぞ」「お前の家にダンプを突っ込ませる」―-。関西電力が八木誠会長、岩根茂樹社長ら役員を含む社員20人が過去10年以上、総額約3億2000万円を福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(2019年3月死去)から金品を受け取った問題で、同社が10月2日に公表した社内調査の「報告書」にこのような生々しい露骨な恫喝の様子が出てくる。
 森山氏から金品を渡される場面は、異動の挨拶などの際にお土産の菓子箱の底に見えないように金品類をしのばせておくやりかたが多かったようだ。しかもこの問題が特異なのは、例えば原発の再稼働に反対するグループに対してそれを切り崩す工作の一環としてカネを用意するというのが過去にはあったが、今回の場合は当事者の関電に平均一人1500万円強が還流していたことである。このニュースをテレビで見た弊社の社員は「まるでテレビドラマの時代劇のようなことが本当に現実にあったのだ」と驚きの表情を見せていたが、それが普通の人々の今回の受け止め方である。
 関電に金品攻勢をかけたのは森山氏が顧問を務める地元企業の吉田工業が工事の受注を期待したものだが、それにしてもなぜ返却できなかったのか。報告書ではある社員は返却の申し出もかなわず、身の危険も想定して金銭を受け取り、返却などの経緯を遺書に作って貸金庫に預けていたという必死の対応がなされたこともあった。しかし、大半の金品返却が金沢国税局の立ち入り調査後であったこと、組織としての毅然とした対応をとらず個人の対応に委ねていたこと。なぜ行政当局などと相談しなかったのか、まさに前例踏襲主義という会社の悪しき体質がここまでの深刻さを招いた原因である。
 関電は同日、公正中立な社外委員からなる第三者委員会を設置して今回の問題を再検証、「徹底的に膿を洗い出す」との方針を明らかにした。特に懸念されるのは今回の不祥事で顧客離れが加速し、企業の存立基盤まで脅かす事態が想定されることだ。とにかく関電にとって重要なことはあらゆる膿をこの際徹底的に出し切り、幹部役員も一新して若い世代に会社の再生と将来を委ねるべきだろう。




首相候補・小泉進次郎氏の環境相就任
2019/10/04(Fri) 文:(水)

 @「環境省は社会変革担当省であり、SDGs推進省でもあり、環境だけを考えている役所ではない。社会全体に大きな変革を起こし一人一人の国民の行動が変化して社会全体を歯車が回っていくように変えていく、そういった取り組みの思いをともに噛み合わせ、よい日本を作っていきたい」「環境省には誰が大臣に来ようと、いま世界の最重要課題を扱っていることに変わりはない。(私が)そこにあてがわれたのはありがたい」。
 A「二度と原発事故を起こしてはいけない。一つの国で二度やったら終わりだ。特にいつ地震がくるか分からず、台風の規模も大きくなっている。そして『天災は忘れたころにやってくる』という格言はもう終わったのではないか。忘れたどころか天災は常にやってくる。そうした中で、どうやったら(原発を)残せるかという一部の人はいるかもしれないが、どうやったらなくても経済や雇用に悪影響与えることがなく、自然を再生可能エネルギーとして社会に実装して、事故の恐怖に怯えることなく生活ができるような日本の未来をどうやって描けるかを考え続けていきたい」。
 以上が9月11日夜発足した第4次安倍再改造内閣で38歳の若さで環境相に抜擢された小泉進次郎氏の弊誌も含めた就任会見での主な所信である。@の質問は環境省という重要閣僚ではないポストをどう認識したかを聞いた。Aは、父親の小泉純一郎元首相が一枚看板に「原発ゼロ・廃止論」主張していることへの評価と、進次郎氏自身がこれまで掲げてきた(反)原発という考え方を閣僚になってどうするかを問うた。大臣になったからといって、これまでの政治信条を変えれば変節とのそしりを免れないし、従来通り原発廃止を唱えれば安倍内閣の閣僚としては“失格”の烙印を押されることになる。上の所信表明は、特に原発への対応では内閣の方針にギリギリおさまったと言えよう。
 小泉進次郎氏は過去自民党総裁選で安倍首相のライバルである石破茂氏を支持し、そのことがまた時の権力におもねらないとして国民の人気を得てきた側面もある。それが一転、8月の総裁選では安倍首相支持に回り、初閣僚就任に繋がった。今回の宗旨替えが、次期以降の首相候補である小泉氏にとって吉と出るか凶と出るか、環境相としての仕事ぶりに注目していきたい。



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