今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード

衆院選公約に見られる政治家の二流さ
2017/10/20(Fri) 文:(水)

 10月10日公示、21日投開票の衆議院選挙が始まった。公示前(議員総数475人)に圧倒的多数だった自民党(計290人)と公明党(35人)が現有議席の2/3以上を獲得して安倍晋三連立政権を維持するか、はたまた小池百合子東京都知事が率いる希望の党が旧民進党議員(57人)を吸収してどこまで議席を伸ばせるか、直前に新党として立ち上げた立憲民主党(16人)が足元を固められるかが焦点だ。
 選挙戦の各党公約は2019年実施とされている消費税10%引き上げの是非と財政再建など9テーマでその独自性を競い、原発・エネルギー政策のあり方も主要な争点となっている。しかし、こうした経済政策および原発・エネルギー政策と表裏一体の「気候変動問題」に日本がどう対応するかという政策展開に関して、公約が提示されていないのには驚かされた。
わずかに立憲民主党が「パリ協定に基づく地球温暖化対策の推進」を掲げたぐらいで、他党は主要9テーマにすら入れていない。地球の温暖化進行が世界各地で異常気象による大洪水や干ばつ、海面上昇、生物種の激減などを発生させ、多くの人的・物的被害と数千万人と言われる「環境難民」を顕在化させている現実は、21世紀中最大の政治的課題といわれて久しい。日本でも近年の集中豪雨被害やサンマなどの漁場異変の出現が記憶に新しい。
 気候変動問題への対応策は、各国とも化石エネルギーをどれだけ使えるかを中長期的に約束するものであるため、利害得失が直接ぶつかり簡単に国際ルールも合意できない。昨年11月にようやく発効した「パリ協定」とて、その具体化にはまだまだ多くのクリアすべき困難な課題がある。なにしろ国際的な気候変動問題への対応は、毎年開かれる先進国首脳会議において過去20年近く必ずテーマに取りあげながら、未だに目に見える成果を上げていないほど大変なテーマであり、欧州では政治勢力を左右するほどにもなっている。
 だが、わが国の総選挙では公約にすら盛り込まれず、政策展開の方向も示さないというのは国民に対して無責任であり、いかに政治家が不勉強でかつ短期的な利益誘導しか考えていないという二流政治の典型でもある。グリーンカラー制服を着用して、清潔な環境派イメージ作りのために「環境」を利用する時代ではなくなっていることに、政治家は心すべきであろう。




一般家庭の温室効果ガス排出削減−環境省が支援に本腰
2017/10/06(Fri) 文:(一)

 環境省が経済成長にもつながる気候変動対策として、一般家庭の温室効果ガス排出削減支援に乗り出す。日本が地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」で掲げた温室効果ガス削減目標「2030年度に13年度比26%減」を達成するためには、産業部門や運輸部門に比べて取り組みの遅れが目立つ家庭・業務部門の対策徹底が不可避。地球環境問題意識を高める意味でも、一般家庭に対する助成措置は有効だろう。
 18年度予算の概算要求で、環境省は新規施策として経済産業省および国土交通省との連携による「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等による住宅における低炭素化促進事業」62億円、経産省との連携による「太陽光発電の自立化に向けた家庭用蓄電・蓄熱導入事業」84億円の計146億円を計上した。
 前者では7000戸を対象にエネルギー消費を実質ゼロにするZEHの新築・改修費用を補助する。エネルギー消費を実質ゼロにするZEHについては、すでに国として標準化する方針を決めている。その具現化を助成措置で後押しする格好だ。一方、後者は19年以降、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)による売電期間が終了する一般家庭が出てくる状況を踏まえ、2万7000戸を対象に家庭用蓄電池や蓄熱設備の設置費用を補助し、エネルギーを無駄なく使えるようにする。
 また、業務部門についても経産・国交両省および一部農林水産省との連携による「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」で、前年度当初予算比1.5倍の95億円を要求。これにより従来の規模が大きい冷凍冷蔵倉庫に加え、小売店の冷凍冷蔵ショーケースにまで助成対象を広げて、環境負荷低減を徹底する姿勢だ。
 環境省がまとめた15年度におけるエネルギー起源の温室効果ガス排出量は二酸化炭素(CO2)換算で前年度比3.4%減の11億4900万トン。家庭部門が同5.1%減の1億7900万トン、業務その他部門も同3.1%減の2億6500万トンと貢献した。空調の省エネ化や発光ダイオード(LED)照明の普及が背景とみられるが、これにとどめず持続可能な循環共生型社会の形成を目指したい。




バイオマス発電の急増とFIT制度見直し
2017/09/19(Tue) 文:(水)

 わが国の再生可能エネルギー導入は全体の95%以上を太陽光発電が占めるといういびつな構造だったが、今年3〜4月にかけてバイオマス発電の新たな認定申請が急増、政府関係者を慌てさせている。経済産業省は3年前に策定した「エネルギー基本計画」の点検・見直し作業を有識者の委員会で実施中で、バイオマス発電をどう扱うかも焦点となりそうだ。
 バイオマス発電の急増は、FIT制度の開始以降4年間で計約600万kWの認定・稼働規模に過ぎなかったものが、16年度末に計約1100万kWの申請量になったという変化がそれを示した。背景にはバイオマス発電の買取価格が変更され、従来の24円/kWhが引き下げられて2万kW以上の場合21円となり、これがこの10月から適用となるため、旧価格での買い取りを目指した駆け込み的な申請が集中したとみられている。加えて、大手電力や新電力の計画する石炭火力の新増設が1000万kW以上もあり、パリ協定発効後に国際的に高まっている大量のCO2排出増への対応として、燃料の一部に海外で調達する安価なバイオマス資源を混入してそれを相殺、地域住民の反発を少しでも抑える狙いがある。
 インドネシアやマレーシア、カナダなど海外で調達するバイオマス資源は木質チップ、パーム油などだが、購入価格が割安ということもあって現地の生物多様性や持続可能性に配慮しない不適切な資源調達になることが懸念されている。特に石炭火力に混焼するケースは分散型電源として小規模な設備を建設するのとは異なり、大型火力として立地させるのが一般的でその使用量も膨大となってタンカーで原油を年に数十回も運ぶ形と同様の方式となり、運搬上でのCO2排出量も決して小さくない。こうした懸念から環境省はバイオマスを混焼する大型石炭火力の環境アセスメントで、▽国際的な森林認証を得た燃料調達に努める、▽調達過程のCO2排出低減に努力――などの留保条件を指摘している。
 経産省もFIT制度見直しの一環としてバイオマス発電の価値を再検討、買取価格対象の電源から外すかまたは一定の条件を満たした計画のみ認める、などの新たな対応を模索中だ。その理由としてはコストの60%を燃料費が占め買取価格低減の余地が少ないこと、環境保全への寄与があるのか、などを挙げている。



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