今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード

2兆円という「脱炭素社会経済」への手切れ金
2020/12/25(Fri) 文:(水)

 2020年のわが国は地球環境問題への対応で歴史的1年となった。菅義偉首相は10月の国会で「2050年までに全体としてカーボンニュートラルを実現する」と歴代首相として初めて宣言、あらゆる経済社会活動を変革していく方針を示した。国会もこれに呼応、衆参の全会派一致による「気候非常事態宣言決議」を採択、政府と国民に対して対策強化を強く求めた。30年先とはいえ、これからの国民生活に重大な影響を与えるこうした方針を霞が関が多用するカタカナ語で提示したのはいただけないが、現代版経済社会革命のスタートといっても過言ではない。
 では「脱炭素社会」とはどんな世界か。今は電気の7〜8割を化石燃料によって発電しているが、これを太陽光や風力などの再生可能エネルギーなどに転換するとともに、製鉄所や化学工場等の熱利用も電化と水素などに変え、自動車など移動機関もガソリンなどの車がなくなることを意味する。すでに欧米諸国が先行しており、2030年代に石炭火力の廃止やガソリン車の販売禁止措置、また50年までにゼロカーボンの実現を公約した国がすでに121ヵ国に上っており、わが国は後塵を拝している。
 今年のトピックに、スポーツ界ではプロ野球日本シリーズで巨人がパ・リーグ覇者のソフトバンクに完敗、しかも昨年の日本シリーズから同じチームに8連敗するという不名誉な新記録をつくった。その負け方もひどかったが、ある野球評論家は「パ・リーグの選手は大方の投手が投げる150キロ台の速球に目が慣れているが、セ・リーグの投手は大半が140キロ台のためそうした違いから巨人の打者は打てなかったのではないか」と分析していたのが印象的だった。
 つまりセ・リーグ全体の平均的な実力が落ち込んでいたにも関わらず、巨人はそのことに戦うまで気付かなかったということだろう。いわばセ・リーグ全体がガラパゴス化していたわけで、それは気候変動対策で欧米に後れをとっているわが国の現状と共通している。政府はそうした温暖化対策の推進を抜本的に強化すべく、追加経済対策の柱に再生エネや水素利用の実装化、カーボンリサイクルなどに2兆円を充てる「脱炭素化基金」の創設を決めた。これが化石燃料に対する“手切れ金”となるかどうか注目されよう。大変な一年でした。来年こそ良き一年となりますように。




コロナで始まりコロナで終わる2020年
2020/12/04(Fri) 文:(山)

 歳をとると月日が経つのは早いもので、あっという間に師走をむかえた。この季節になると、こどものころはプレゼントをもらえるクリスマスやお年玉をもらえるお正月がかきいれどきで、指折り数えていた。まさに「もういくつ寝るとお正月〜〜はやくこいこいお正月」の歌詞通りだった。だが、今年を振り返ると、世界中がコロナウイルスというやっかいなプレゼントに振り回されたことが、最大のニュースだろう。日本では9〜10月にかけて感染者数がおさまりつつあると思われたが、11月からまた感染者数が急増している。残念ながら、来年の正月までにおさまることは難しそうだ。
 12月から来年の正月は親御さんにとってはクリスマスやお正月を祝うどころではなく、とにかく家族をコロナから守ることに一生懸命という状態だろう。家庭だけでなく、企業や学校など人が集まるところは大変なご苦労があると思う。企業はもとより、商店やレストラン、ホテルなどの宿泊施設も計画通りに収入が得られず、苦しい経営を強いられているのではないかと思います。政府はGoToトラベルなるキャンペーンを実施しているが、どこに行っても目に見えないコロナウイルスが徘徊しているわけで、喜んで旅行に出かけるという気分にはなかなかなれないというのが現実ではないでしょうか。
 さて本号の特集は「急加速化する洋上風力」です。洋上風力とは風車を海域に設置して豊かな海風で風車を回し、効率的に発電する仕組みです。海に囲まれたわが国にとって、洋上風力は重要な発電設備になると期待されています。風力発電は太陽光発電のように太陽があるうちだけ発電するのではなく、昼も夜も発電できるのが特徴です。でも、陸上の風力発電は設置場所が風ある地域に限られており、さらに住宅地では羽根の回転による騒音が問題になっていました。陸上の風力に対して、洋上風力は強い風力が持続的に得られるため、安定的に大きな電力供給が可能になる点、もう一つは洋上であるため、騒音や万一の際の人的被害リスクが低く、設置場所の確保がしやすい点である。これらのメリットから、風力発電市場において、洋上風力の動きが活発になってきています。
 洋上で勢いよく回転する風車によって、発電と同時にコロナウイルスも海のかなたに吹き飛ばしてもらえればありがたいのですが、そううまくはいかないでしょうね。




米バイデン政権、国際社会で義務と責任を
2020/12/01(Tue) 文:(一)

 4年間のモラトリアムが明けたと言うべきか、世界2位の温室効果ガス排出国である米国の大統領選で、国際協調路線を掲げる民主党のジョー・バイデン氏勝利が確実となった。皮肉なことに投票日11月3日の翌4日、現職の共和党ドナルド・トランプ大統領の公約どおり、所定の手続きを経て米国は地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から正式に離脱した。バイデン氏には自他ともに認める大国のリーダーとして、国際社会で義務と責任をしっかり果たしてもらいたい。
 2015年の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定は、レガシー(遺産)を意図した民主党バラク・オバマ前大統領と世界最大の温室効果ガス排出国となった中国が先陣を切って批准し、翌16年11月4日に発効した。規定により批准国は発効後3年間、脱退を通告することができず、通告が効力を発揮するのは1年後。トランプ大統領は昨年11月、国連の事務局に脱退を通告していた。
 自国の利益最優先で「気候変動はでっちあげ」といった過激な発言を繰り返したトランプ大統領は、オバマ前政権による温暖化対策を真っ向否定。途上国の気候変動対策を支援する国連の「緑の気候基金」への資金拠出を停止し、石炭産業を復活させるため、発電所からの二酸化炭素(CO2)排出量を削減するオバマ氏の看板政策「クリーンパワープラン」を撤廃するなど、パリ協定を揺さぶり続けた。
 だが、脱炭素化の潮流を変えることはできなかった。トランプ氏が大統領に就任した17年、パリ協定からの離脱を表明すると、米国ともに批准の先陣を切った中国政府は改めて温暖化対策の履行を明言。米国に追随する国が出るのではないかと懸念されたが杞憂に終わり、パリ協定の批准は190ヵ国以上に拡大している。シェール革命により安価で環境負荷が低い天然ガスが産出されるようになり、石炭産業の復活も経済合理性に阻まれた。また、米国産業界で脱炭素社会の実現をビジネスチャンスと捉える先進的な企業が台頭し、トランプ大統領の脱退表明に批判の声を上げた。
 バイデン氏は気候変動への取り組みをまとめた「バイデン計画」を打ち出して選挙を戦った。脱炭素化で足踏みする理由はない。



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