今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード

電力調達の環境配慮、価格と対等条件にせよ
2017/11/15(Wed) 文:(水)

 あまり耳慣れないが、「環境配慮契約法」という2010年に施行された環境省所管の法律がある。庁舎など国の機関や独立行政法人等が管理する建物・業務(サービス)・物品調達において、地球温暖化対策などへの環境配慮を強く促して契約(入札)する制度だ。いわば物品の購入という立場を最大限に活用、国自ら環境対策への範を示すことで、地方自治体にも同様の対応を促し、経済活動全般に環境保全との一体性を定着させるのが目的だ。
 その制度に電力調達の分野があって、2018年度の基本方針がほぼ固まってきた。基本方針に記載する電気供給を受ける契約に関する基本的事項には、▽温室効果ガス等(CO2等)の排出程度が低い小売事業者との契約に努める、▽入札への参加資格者としてCO2排出係数の程度や再生可能エネルギーの導入状況など環境負荷の低減への取り組み状況――などを示す。これらの対応を点数化して70点以上獲得した事業者が入札に参加できること(裾切り方式と呼ばれる)になるが、制度発足後10年以上もたって多くの改善すべき点が指摘されている。抜本的な見直しは今までなされないままだ。
 一つはこの環境配慮契約法による環境配慮を実施していない機関等が、対象となる契約件数・予定電力使用量の約1/3もまだあることだ。未実施の理由は「組織再編等への対応のため」「応札が見込めない」「長期継続契約によって安価な契約が可能」などが多かったという。いずれの理由も取り組みの工夫をすれば解決可能と思われるものばかりであり、法律によって半義務化されている制度に対して、こうした安易な言い訳が通ること自体が不思議である。
 関係者は役所の物品調達には「会計法」という別の法律があり、ここで「安価な調達」が規定されそれを過度に重視すれば未実施になるというが、これでは環境省の強調する環境と経済な完全な統合や国民・企業に対するCO2対策強化の実行にも説得力を欠き、同省の弱腰は強く批判されるべきであろう。
 もう一つは、この制度が国際的な温暖化対策の緊要性を反映していない時代遅れの価格の安さ優先方式になっていることだ。今の方式はあくまで競争入札前の参加資格者決定のためのものであり、価格と環境配慮を対等に評価する「総合方式」に早く是正すべきである。




衆院選公約に見られる政治家の二流さ
2017/10/20(Fri) 文:(水)

 10月10日公示、21日投開票の衆議院選挙が始まった。公示前(議員総数475人)に圧倒的多数だった自民党(計290人)と公明党(35人)が現有議席の2/3以上を獲得して安倍晋三連立政権を維持するか、はたまた小池百合子東京都知事が率いる希望の党が旧民進党議員(57人)を吸収してどこまで議席を伸ばせるか、直前に新党として立ち上げた立憲民主党(16人)が足元を固められるかが焦点だ。
 選挙戦の各党公約は2019年実施とされている消費税10%引き上げの是非と財政再建など9テーマでその独自性を競い、原発・エネルギー政策のあり方も主要な争点となっている。しかし、こうした経済政策および原発・エネルギー政策と表裏一体の「気候変動問題」に日本がどう対応するかという政策展開に関して、公約が提示されていないのには驚かされた。
わずかに立憲民主党が「パリ協定に基づく地球温暖化対策の推進」を掲げたぐらいで、他党は主要9テーマにすら入れていない。地球の温暖化進行が世界各地で異常気象による大洪水や干ばつ、海面上昇、生物種の激減などを発生させ、多くの人的・物的被害と数千万人と言われる「環境難民」を顕在化させている現実は、21世紀中最大の政治的課題といわれて久しい。日本でも近年の集中豪雨被害やサンマなどの漁場異変の出現が記憶に新しい。
 気候変動問題への対応策は、各国とも化石エネルギーをどれだけ使えるかを中長期的に約束するものであるため、利害得失が直接ぶつかり簡単に国際ルールも合意できない。昨年11月にようやく発効した「パリ協定」とて、その具体化にはまだまだ多くのクリアすべき困難な課題がある。なにしろ国際的な気候変動問題への対応は、毎年開かれる先進国首脳会議において過去20年近く必ずテーマに取りあげながら、未だに目に見える成果を上げていないほど大変なテーマであり、欧州では政治勢力を左右するほどにもなっている。
 だが、わが国の総選挙では公約にすら盛り込まれず、政策展開の方向も示さないというのは国民に対して無責任であり、いかに政治家が不勉強でかつ短期的な利益誘導しか考えていないという二流政治の典型でもある。グリーンカラー制服を着用して、清潔な環境派イメージ作りのために「環境」を利用する時代ではなくなっていることに、政治家は心すべきであろう。




一般家庭の温室効果ガス排出削減−環境省が支援に本腰
2017/10/06(Fri) 文:(一)

 環境省が経済成長にもつながる気候変動対策として、一般家庭の温室効果ガス排出削減支援に乗り出す。日本が地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」で掲げた温室効果ガス削減目標「2030年度に13年度比26%減」を達成するためには、産業部門や運輸部門に比べて取り組みの遅れが目立つ家庭・業務部門の対策徹底が不可避。地球環境問題意識を高める意味でも、一般家庭に対する助成措置は有効だろう。
 18年度予算の概算要求で、環境省は新規施策として経済産業省および国土交通省との連携による「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等による住宅における低炭素化促進事業」62億円、経産省との連携による「太陽光発電の自立化に向けた家庭用蓄電・蓄熱導入事業」84億円の計146億円を計上した。
 前者では7000戸を対象にエネルギー消費を実質ゼロにするZEHの新築・改修費用を補助する。エネルギー消費を実質ゼロにするZEHについては、すでに国として標準化する方針を決めている。その具現化を助成措置で後押しする格好だ。一方、後者は19年以降、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)による売電期間が終了する一般家庭が出てくる状況を踏まえ、2万7000戸を対象に家庭用蓄電池や蓄熱設備の設置費用を補助し、エネルギーを無駄なく使えるようにする。
 また、業務部門についても経産・国交両省および一部農林水産省との連携による「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」で、前年度当初予算比1.5倍の95億円を要求。これにより従来の規模が大きい冷凍冷蔵倉庫に加え、小売店の冷凍冷蔵ショーケースにまで助成対象を広げて、環境負荷低減を徹底する姿勢だ。
 環境省がまとめた15年度におけるエネルギー起源の温室効果ガス排出量は二酸化炭素(CO2)換算で前年度比3.4%減の11億4900万トン。家庭部門が同5.1%減の1億7900万トン、業務その他部門も同3.1%減の2億6500万トンと貢献した。空調の省エネ化や発光ダイオード(LED)照明の普及が背景とみられるが、これにとどめず持続可能な循環共生型社会の形成を目指したい。



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