今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード

熱中症の増大と温暖化対策への努力
2019/09/17(Tue) 文:(山)

 「今年の夏はものすごく暑かった」と、このところ毎年同じようなことを言っているのは歳をとって暑さに耐えられなくなったせいかもしれない。子供のころに住んでいたのは東京より少し北の田舎だった。もちろんエアコンなどというものはなかったが、これほどの暑さを感じることはなかったように記憶している。
 夏休みの朝はラジオ体操に出かけ、昼間は炎天下で野球をやったり、川で泳いだりして外で遊んでいたが、熱中症で倒れる子供はいなかったように思う。夕方になると雷を伴った夕立が頻繁にあり、何の意味があるのかいまだにわからないが、母親に「雷様にへそを取られる」といわれて蚊帳の中に避難した。夕立の後に涼しくなるのがありがたかった。
近年は熱中症で倒れ救急車で病院に搬送される患者の数が少なくない。今年の7月は雨が多く、平年より気温が低かったこともあり、消防庁によると、熱中症で救急搬送された人が1万6431人で、過去最多だった前年同月の5万4220人から約7割減少したそうだ。
 ところが7月の終わりころから8月に入ると30度Cを超える暑い日が続き、7月29日から8月25日までの熱中症による緊急搬送の人数は全国で4万1663人と大幅に増え、昨年同期の3万453人を上回った。夏休みの子供たちが外で遊びまわるには危険な状態である。
 この夏の暑さで気になるのが地球温暖化による気候変動である。日本が暑いからといって、すぐに地球全体の温暖化に結びつけるのはいかがなものかとも思うが、やはり少なからず影響がでているような気がする。
 昨年10月に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した特別報告書は「地球温暖化が現在の度合いで続けば、2030年から52年の間に1.5度Cに達する可能性が高いとし、気温上昇を2度Cではなく、1.5度Cに抑えることによって、多くの気候変動の影響が回避できる」と強調している。また「2100年までに、地球温暖化を1.5度Cに抑えた場合、世界の海水面上昇は2度Cの温度上昇の場合に比べて10cm低くなる」そうだ。
 地球温暖化に懐疑的な人もいるとは思うが、こんなに暑い夏が続くのはごめんだろう。とにかく自分たちができることから二酸化炭素などの温室効果ガス排出削減に取り組むしかないようだ。




大手電力の「環境部」が絶滅寸前に
2019/09/04(Wed) 文:(水)

 かつては地域の公害・環境対策の矢面に立ち、発電所の立地交渉でも不可欠の存在だった大手電力会社の「環境部」が今や絶滅寸前になっている。公害問題の典型と言われた大気汚染による喘息患者の発生や温排水排出による漁業資源などへの影響問題が下火になったこともあるが、環境部の縮小には電力の全面自由化による市場競争の激化に耐えうる会社組織の効率化追求が背景にある。
 例えば東京電力を見ると、かつて本店の環境部は200〜300名の大所帯を誇り、政府・地方自治体の環境規制強化や環境アセスメントへの対応、自然環境問題への対応などあらゆる環境問題に対処、わが国企業の先導的役割を果たしていた。それが3.11の大震災と原発事故後に一変、「稼ぐ力創造ユニット」という名の組織が設置されるほど、収益力のアップが経営課題の最優先となり、かつての環境部は「環境室」に縮小され10数人の小さな所帯となっている。もちろん縮小された社員がすべて退職したわけではなく、その多くが福島第一原発の事故処理や各発電所・支店などに配属された。
 それにしても温暖化対策の「パリ協定」への対応(2020年から開始)、石炭火力問題や再生エネの主力電源化、ESGへの対応、途上国も含めたプラスチックや廃棄物問題への対応など、環境対策はこれからが正念場なのに東電の組織的対応は真逆の方向だ。こうした傾向は東電のみならず、他電力でも続いており、過去30〜40年にわたって築きあげた「環境人材」の継承も困難になりつつあるという。
 ではどうするか。一つは環境部の業務を経営企画部門に格上げして、国際的な環境問題に対しても環境部がイニシアチブを発揮すべきだろう。今や温暖化への対応は「環境への配慮」というレベルの問題でなく、会社存続そのもののテーマであり、まさに「経営との一体化」の時代に入っている。もう一つは原子力部門との一体化である。廃炉決定が原発の過半に近い24基となったこと、放射性廃棄物処理処分問題など困難な問題山積なのに、縦割り行政の悪弊に倣って環境部はこれまでほとんど関与してこなかった。これをこれからは環境部も担うべきであろう。特に福島第一原発の汚染水処理問題を見れば明かだ。




再エネ政策の転換点に−保護から競争へ
2019/08/22(Thu) 文:(一)

 経済産業省が8月上旬、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の抜本的見直しに向けた中間整理案を公表した。発電コストが低下した大規模な事業用太陽光発電や風力発電を買い取り対象から外し、入札制度や相対取引へ移行させていく。想定以上に膨らんだFIT賦課金の国民負担を抑制し、市場競争の下で事業者にさらなるコスト削減を促す。FITはあくまでも再生エネ導入に弾みをつけるための特別措置だ。所期の目的は達成されつつある。再生エネ政策は保護から競争への転換点に差し掛かった。
 2012年に本格導入されたFITは、送配電網を持つ電力大手(旧一般電気事業者)がインセンティブを上乗せした固定価格で電力を買い取り、その上乗せ分を賦課金として消費者全体が負担する仕組み。だが、買い取り価格の設定にバランスを欠いて太陽光発電の導入偏重が起こり、制度設計の甘さから事業者が初期の高単価でFIT認定を受けたまま着工せず、設備費用の低下を待つ未稼働案件も多発した。
 再生エネの普及拡大にはコスト削減が不可欠だがFITによって、競争原理が働きにくくなってしまった実態もあった。FIT法の付則には2020年度末までの見直しが盛り込まれており、コスト削減と普及を両立させる見直し案が求められていた。
 一方、住宅用太陽光発電の余剰電力で11月以降、10年間の契約期間満了が出始めるのを控え、環境価値を持った新たな電源として新電力などによる買い取り(囲い込み)合戦も繰り広げられている。小規模ながら将来、VPP(仮想発電所)の分散電源となる可能性も秘めるためだ。さらに、新築のオプションとして太陽光発電システムを販売した住宅メーカーや蓄電池などの新たなビジネスモデルが探求される格好になっている。
 政府は昨夏、「エネルギー基本計画」の改定で再生エネの主力電源化を明記した。日本の再生可能エネ分野における発電コストは欧州などの環境先進国に比べると、まだ十分に低減したとはいえない。ただ、再生エネを巡るこうした動きが好循環を生み出し、普及拡大のエンジンになっていくことは間違いない。



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