今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード

どうなる電力改革の最終コーナー
2020/02/19(Wed) 文:(水)

 2020年は日本のエネルギー事業が本格的な変革時代を迎える始まりともなる。大手の10電力会社はこれまで約70年以上続いた発電・送電・小売り部門の垂直体制が法的に分離され、送配電事業部門を中核に発電・小売が別の組織として運営される。
 この間、日本のエネルギー政策は3E+S(安定最優先、資源自給率、環境適合、国民負担抑制)の確保を大原則として、電力・ガス小売りの完全自由化を突破口に数々の電力システム改革を具体化。従来の火力・原子力を中軸とした供給体制から、再生可能エネルギーを主力電源化とする様ざまな施策がとられつつある。2016年から第1〜3次にわたって推し進められた電力改革は最終ゴールを目前に、その成果即ち果実が問われることになる。
 当時、あまり話題にはならなかったが、昨年の11月20日に開かれた自民党の総合エネルギー戦略調査会(額賀nu郎会長)に興味深い資料が示された。タイトルは「強靭かつ持続可能な電力システムの構築に向けて」で、もちろん出所は資源エネルギー庁。資料では上の3Eに関して、@電気料金の上昇、A電力セクターにおけるCO2排出量の増加、Bエネルギー自給率の低下――を取り上げ、それぞれ2010年度と電力改革後の18年度を比較、コメントはないが正直な数字を明記していた。(10年度と18年度の順で1年間の合計)。
 当初、電力改革は東日本大震災による供給不安と悪影響を早急に解消するため、電気料金は国際水準並みに引き下げ、CO2排出量を低減、そしてエネルギー自給率の大幅改善などを目標に掲げていたが、実績の数字を見るかぎり三つの指標全てが悪化している。もちろん改革は現在進行形であり、これら数字のみをもって“失敗”というつもりはないが、欧米流の受け売りと揶揄される改革の中身に大きな課題が潜んでいることは否定できない。 一方で、SDGsとの連動性が顕著な再生可能エネルギー主力化のスピードは速く、政策展開が追い付くのかどうか今年の展開を注視していきたい。
 味のある情報誌を目指して精進しますので、本年もよろしくお願いいたします。




RE100企業増えた2019年の日本
2020/01/28(Tue) 文:(山)

 今年もあと半月を残すだけとなった。地球の回転速度は昔と変わっていないのだろうが、歳を取るとともに地球の回転が加速して、あっという間に今年も終わりを迎えるという感じがする。年内に済ませないといけない仕事が溜まってしまい、頭を抱えているありさまだ。
 瀧廉太郎の作曲による「お正月」は♪もういくつ寝るとお正月…はやくこいこいお正月♪と正月を楽しみに待っている子供たちの思いを見事に表現した。現在では正月の前にクリスマスというイベントが日本でも定着し、短期間にクリスマスプレゼントとお年玉をもらえる子供たちにとっては楽しいかきいれ時だ。でも、大人にとっては忙しいだけでなく、財布の中のお金が出ていくさみしい季節でもある。
 という愚痴はこのくらいにして本題に入る。今年最後の本号では弊紙恒例の「創省蓄エネルギー十大ニュース」を掲載した。担当者が「口角泡を飛ばして議論して10テーマをまとめるのに苦労した」というほどではないが、今年は台風などの災害による電気をはじめとしたエネルギー施設の損壊や太陽光発電の卒FITなど、この分野のニュースには事欠かなかった。詳しくは本文をごらんいただきたい。
 今年は夏がバカに暑くて、秋には台風が猛威をふるった。天候が不安定なことも影響したのか、大手企業の地球温暖化による気候変動に対応しようという動きが目立ってきた年だった。特に使用する電力の100%を再生可能エネルギーで発電された電力で賄うことに取り組む国際的な企業連合「RE100」(再生可能エネルギー100%=十大ニュース参照)に加盟する日本企業が増えてきた。
 RE100加盟の日本企業は2017年のリコーが最初で、この年は3社、18年はダイワハウスなど10社、さらに今年は戸田建設やコニカミノルタなどなど15社が加盟した。日本のRE100加盟企業は28社となった。太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの需要はさらに高まると思われる。
 その一方で、石油ショック以降の火力発電を支えてきた石炭は大量の温室効果ガスを排出するにもかかわらず、いまだに発電燃料として30%以上のシェアがある。これを再生可能エネルギーに置き換えていかないと、パリ協定の2度Cはもとより1.5度Cは到底クリアできないだろう。来年こそ、脱石炭を本格化する年とし、再生可能エネルギーによる電力の本格化を目指していきたい。




日本は「化石賞」の常連を返上せよ
2020/01/16(Thu) 文:(水)

 12月2〜13日までの日程でCOP25(国連気候変動枠組み条約締約国会合)がスペインのマドリッドで開かれる。
 COP25の主要ミッションは、表向き2020年から実施される温暖化ガス(CO2等)の削減対策を決めた「パリ協定」の確認と、前回会合までに決めきれなかったパリ協定第6条に規定する「市場メカニズム」(協力的なアプローチ、持続可能な開発に貢献するメカニズム等)の合意とされる。日本は安倍政権の下で決めた「気候変動長期戦略」において、東南アジアやアフリカなど海外での発電事業、省・再エネ関連事業の展開によるCO2等削減を重視しており、その貢献分を自国の削減分にカウントする方法が焦点となる。
 「表向き」と言ったのは、今回会合において主要国が野心的なCO2等削減対策をどこまで示すか、つまり国際社会に向けてどんなアクション(自主的な行動)をアピールするかが、ひそかに期待されている裏のミッションという。IPCC(国連気候変動パネル)が示した地球の気温上昇をこの先気候災害等の少なくなる1.5度C上昇に抑えるためには、世界のあらゆる国が今よりも約3〜4割以上CO2等を削減する必要があり、それを各国が“野心的”に競って示す舞台になるかもしれない。
COP25の前にはスウェーデンの16歳の環境活動家のグレタ・トゥンベリさんが次世代へのつけ回しを批判した行動が世界に広がったほか、直前に来日したフランシスコ教皇も気候変動による地球の危機回避への対応を促しており、国際世論を盛り上げている。
 翻ってわが国の対応はどうか。依然として対応策を示せない多くの石炭火力の新増設や80%以上という高い火力電源比率、見直しされていない低水準の2030年のCO2等削減目標など、今回も温暖化対策に不熱心という烙印が押され16〜17年と連続した「化石賞」と同じになる可能性がある。化石賞受賞となれば、日本政府代表団率いる小泉進次郎環境相の失点ともなり、長年世論調査でbPの首相候補にも大きな傷がつく。海外からは、いつまで日本は東日本大震災ダメージに甘えているのかとも指摘される。新たなCO2等削減対策は、例えば石炭火力新増設の場合は再生エネとのセット義務化、CO2等削減を国際貿易ルールに組み込むなど、いくらでも“野心的”な政策手法はあるのだが…。



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