今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード

我が国LNG利用に備蓄体制構築が不可欠
2021/04/14(Wed) 文:(水)

 昨年末〜年初早々にあった電力の需給逼迫と卸取引価格高騰の要因が次第に明らかになってきた。経済産業省の有識者検討会議(3月26日開催)に提出された資料では、▽需給逼迫の要因は断続的な寒波による大幅な需要増、▽LNG在庫減によるLNG火力の稼働抑制、▽石炭火力のトラブル/渇水による水力利用率低下/太陽光発電の出力変動、などを指摘している。
 新電力大手のFパワーが倒産(約460億円の負債)に追い込まれるなど卸取引価格の高騰については、スポット市場価格が1月に入ってから1日(48コマ)平均で100円/kWhを超える日が出現したほか、最高価格が154.6円を記録した日もあった(通常は10円前後)。一部報道では旧一般電気事業者(9社)による売り惜しみなどが疑われたが、電力・ガス取引監視等委員会は調査分析の結果、そうした問題となる行為は確認されなかったと結論づけている。
 ここで注目したいのは逼迫期間中に在庫不足となったLNG燃料の安定確保が極めて脆弱な体制となっている実態である。今回はコロナ禍影響やLNG火力の焚き増しによって約250万t弱あった在庫量が約150万t近くまで落ち込み、たちまち需給逼迫を招いたが、年間のLNG輸入量約7650万tに較べてあまりにも低い水準過ぎる。在庫量の少なさは自由化による競争激化に伴い電力・ガス各社が余計な在庫を持たないというコスト削減のためだが、それが常態化しており今後も同じ事態を招く可能性がある。しかもLNGの場合、スポット物を手当てしても需要地に届くまでには2ヵ月弱を要するだけでなく、それを調達するまでの海外との折衝もすさまじい労力だったようだ。
 2030年に向けたさらなるCO2削減要請、既設石炭火力のフェードアウトと再生エネ電源の拡大による調整電源の確保、原子力発電の再稼働遅れによって今後ますますLNG火力の重要性が高まる。加えて気候変動による災害多発や東南海地震なども想定されるほか、東京湾などに入るLNGタンカーの過密化問題もある。あれだけ縦横にガスパイプライン網を張り巡らせている欧州でさえ塩田跡地で数ヵ月分を天然ガスとして備蓄しているという。
 日本は20年以上にわたって原油中心の国内備蓄体制一本鎗を、既得権益があるためか頑迷に変えようとせず先日の経産省のまとめも旧態依然の内容だ。LNG(天然ガス)の備蓄体制構築が本当に不可能なのか一刻も早く検証すべきである。




コロナに振り回された今年度もあと半月
2021/03/25(Thu) 文:(山)

 新型コロナウイルスに振り回された今年度もあと半月で終わる。できれば今年度の終了とともにコロナウイルスも地球での活動を卒業して別の星にでも移動していただきたいところです。
 コロナウイルスの新規感染者数は1月9日の7855人に比べると、減ってきており、3月3日は852人とようやく1000人を下回った。4日は1192人と4ケタに戻っているが、ピーク時からはだいぶ減りつつあるようだ。このまま感染者数の減少を続けて、近いうちにゼロにもっていけたらと思う。
 NHKのまとめによると、3月6日23時59分の時点で新たに確認された東京都の感染者数は293人だが、東京都と境を接する山梨県はゼロ人となっている。ちなみに感染者ゼロ人は14県、感染者一人の県は7県となっている(3月6日時点)。
 弊誌記者はコロナ禍の東京を中心に取材に飛びまわっているが、幸い、弊社ではコロナウイルスの罹患者は出ていません。とはいえ、個人的には早くワクチン接種してほしいと思うのですが、摂取した女性がアナフィラキシーというアレルギー症状に見舞われたことを聞くと、ちょっと怖い気もします。
 本号は「再生エネ新制度を占う」としましてFIT改定と新たに始まるFIP制度、未稼働案件問題を特集しています。FITとはFeed−in−tariffの略で、日本では固定価格買取制度といいます。再生可能エネルギーで発電された電気を国が定めた価格で一定期間電力会社が買い取るように義務づけたものです。
 一方、FIPとはFeed‐in‐Premiumの略で、再生可能エネルギー発電事業者が発電した電気を卸電力取引市場や相対取引で売電をした場合に、基準価格(FIP価格)と市場価格の差額をプレミアム額として交付する制度です。FITでは市場取引が免除されていますが、FIPでは市場取引が基本となります。ちょっとわかりにくいかと思いますが、詳しくは本号の特集をご覧いただければと思います。
 今年度もご購読いただきました皆様のおかげをもちまして、無事に終わることができました。厚く御礼申し上げます。4月からの新年度ではより一層、充実した紙面の作成に努めます。来年度も「創省蓄エネルギー時報」をご愛顧いただきますよう何卒宜しくお願いいたします。




脱炭素転換で迫られる国の資源政策
2021/03/11(Thu) 文:(水)

 2月9日付け読売新聞朝刊の一面トップに、「資源調達『脱炭素』柱に」という大見出しが踊っていた。これを見て小生は何を今さら、遅すぎるとの思いを持った。紙面の中身を大略すれば、政府は化石燃料主体を対象にしてきたわが国の資源調達の重点分野を水素や希少金属(レアメタル)などの確保に転換する方針を固め、政府が検討中のエネルギー基本計画の改定に盛り込むという内容だ。本格的な議論が始まるエネルギー基本計画の改定では、おそらく再生可能エネルギーや原子力などの非化石エネ割合をどこまで引き上げるか、その際に国家としてのエネルギー安全保障をどこまで確実に担保するのかが大きな論点になるだろう。
 遅すぎるというのは、再生エネシフトや脱ガソリン車が国際的潮流のみならず日本でもこれだけ示されているのに、石油の国家+民間備蓄などに年間1200億円近くの国費投入を依然として続けていることだ。もう一つ今のエネルギー安全保障が役に立っていない典型が最近あった。この年末年始の電力供給で積雪・厳寒により全国で需給が逼迫、電力広域的運営推進機関は大手電力各社に延べ218回にわたって広域融通を指示するという綱渡り状態が発生した。電力の卸取引市場の取引価格も高騰、一時は通常取引価格の20倍以上という水準となった。その主因の一つは主力電源であるLNG火力の輸入燃料確保が間に合わない事態に直面したためという。端的に言えば、わが国がとってきた原油中心の備蓄体制がほとんど役に立たなかった。
 普通に考えれば、これだけLNG火力が主力電源化していれば天然ガス備蓄という発想になるはずだが、それは技術的・コスト的に見合わないとしてまともに検討すらされなかった。すでに欧州では塩田跡を使った半年分程度の備蓄している事例があるし、わが国でも新潟県のガス・石油採掘跡を天然ガス備蓄に活用する構想もあったが立ち消えとなってしまった。本来こうした先見的対応をすべきなのはJOGMECを筆頭に、国が大株主の国際石油開発帝石(INPEX)や石油資源開発のはずだが、いずれも経産省等からの天下り官僚が長年実質支配して国益ではなく省益優先の経営となっているからだ。1日も早い体制見直しが必要であろう。



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