今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード

クリーンイメージ・再生エネの再出発
2019/03/07(Thu) 文:(水)

 環境にやさしく地球温暖化対策にも不可欠とされる太陽光・風力発電など再生可能エネルギー事業の展開に異変が起こっている。今年1月中旬、全国からメガソーラー開発事業に反対する計17余団体以上のグループが集まり、地域の開発計画に対する多くの問題を指摘、環境省や経済産業省に対して環境アセスメント制度の見直しや、FIT制度による認定取り消し措置などを強く要請した。この「全国メガソーラー問題中央集会」は昨年も開催されており、太陽光発電等の立地開発が土砂災害や景観の改変・破壊、濁水などの環境問題を引き起こし、生活する地域住民に多大なマイナス影響を及ぼしているという。また、事業化における住民への説明も不十分で、条例等の対象になっていないことを理由に、理解を得るための説明会ではない形式的な開催も目に付くという。
 こうした住民側の問題提起は、国の環境アセスメント制度への不満が背景にある。現行制度では太陽光発電事業はアセスの対象になっておらず、遅ればせながら環境省が対象にする検討に入った。すでに太陽光発電のFIT認定規模はおよそ60GWという規模に達しており、遅きに失したといえる。また風力アセスの緩和なども検討されているが、バードストライクなどが各地で見られている。
 昨年11月、経産省は2012〜14年にFIT法の設備認定を受けながら未だに未着工の太陽光発電計約20GWに対して、工事着工の新たな期限や買取価格の引き下げ措置などを実施する方針を決めた。これへの事業者対応で目立ったのは、単なる投資物件としての認定証の転売による利ザヤ稼ぎや、崖地など不適切な立地場所による遅延ケースなどだったという。なかには反社会的勢力が事業に関与して事業がストップ、およそエネルギー供給者としての責任のかけらも見られなかったという例も相当あったようだ。
 これまで再生エネの推進は原子力発電の頓挫が長引く中、化石燃料に代わる新たな時代の“寵児”としてもてはやされ、その負の部分にスポットがあまり当たることなくクリーンなイメージと手厚い財政的保護や制度的な優遇を受けてきた。しかし、この先2年以内にはFIT法の抜本見直しによる固定価格買取制度の縮小・廃止措置が想定されており、本当の意味での「自立化」ということが求められている。




太陽光発電と同じように、水も使う場所で創省蓄
2019/02/22(Fri) 文:(山)

 「ネットゼロウォーター」という言葉を御存じだろうか。弊誌「創省蓄エネルギー時報」は題字の示す通り、主に電気を中心としたエネルギーの創造、節約、貯蔵に関する報道が主体である。一方、電気と同じように人々の生活に欠かせない水の世界でも創省蓄≠目指した取り組みが始まった。
 わが国の水道事業の民営化を進める改正水道法が昨年12月に成立した。野党は海外では民営化による料金高騰や水質悪化の問題が起こり、公営化に逆戻りした例が少なくないと反対したが、与党が押し切った。わが国の水道民営化がうまく機能するかどうか心配なところである。
 こうした中で、水を上手に使いまわす技術を普及させようという動きが出てきた。欧米では緑地を使って水資源を循環利用する「ネットゼロウォーター」が普及しているという。この仕組みを日本でも取り入れようと、有志が昨年6月にネットゼロウォーター研究会を立ち上げ、今月15日に東京で第1回セミナーを開いた。
 ネットゼロウォーターは雨水や建物で使った水を下水に流さずに緑地に集め、緑地と土壌を使って濾過し、再利用する仕組みだ。水の濾過に適した土壌を通過した水は上水と下水の中間の中水にまで浄化され、地下のタンクに流れ込んで貯められる。タンクは太陽光発電でいえば、電池の役割といえるだろう。
 ネットゼロウォーターの仕組みを海外で視察した同研究会の坂本哲日比谷アメニス(東京都港区)水事業準備室長は「米国では浄化した中水を潅水や工場の冷却水、トイレなどで再利用していた」という。住宅の屋根に設置した太陽光発電は使う場所で電気をつくる。これと同じように水もその場所で生み出していくという考え方だ。中水をうまく活用できれば、コスト低減にもつながるだろう。
 国連の持続可能な開発目標(SDGs)では「安全な水とトイレを世界中に」をはじめ、水に関連した項目が少なくない。水は人間の生命維持はもとより、あらゆる産業にとって欠かせないものである。電気と同じように大事に使おうという挑戦に期待したい。




「卒FIT」はプロシューマーへの道
2019/02/18(Mon) 文:(一)

 米国の未来学者、アルビン・トフラーは1980年の著書「第三の波」で、消費者が生産活動にかかわるプロシューマー(生産消費者)の出現を予言した。エネルギー分野では、住宅用太陽光発電(PV)の余剰電力を買い取る2009年に始まった固定価格買い取り制度(FIT)利用者がそうだろう。住宅用PVの買い取り期間は10年で、今年11月に期間満了が出始める状況となり、卒FITを迎える利用者を巡る動きが活発化してきた。
 FIT導入当初は、環境意識の高い消費者が敏感に反応してPVを設置。だが、太陽光パネルの低価格化とともに、PVシステム販売をビジネスチャンスとみて参入した事業者が売り込み合戦を繰り広げたこともあり、「元が取れるなら」という費用対効果で購入を決める一般的な耐久消費財に仲間入り。FITに契約期限があることさえ失念している利用者も相当数に上り昨秋以降、政府が周知徹底に乗り出し、新聞に全面広告を掲載したことは記憶に新しい。
 FIT電源の買い手となっている電力大手(旧一般電気事業者)各社は、経済産業省の指示により昨年末までに買い取り継続の方針を表明。具体的な買い取りメニューの検討作業に入っている。住宅用FITの対象となっているPVは出力10kW未満と小規模だが、買い取り期間終了後は消費者全体で担っている賦課金と切り離れ、二酸化炭素を出さない“CO2フリー”という環境価値を持った電源になる。将来のVPP(仮想発電所)の電源とも目され、電力自由化で参入した新電力も卒FIT電源の買い取りに意欲を見せており、あの手この手のアプローチが繰り広げられそうだ。
 ただ、再生可能エネルギー導入促進を目的とした賦課金がなくなることで、経済合理性のある買い取り単価はFIT導入当初(48円/kWh)の5分の1近くになると予想されており、必然的に「売らずに使う」という選択肢も浮上してくる。蓄電池は家庭用でもまだ高価で手軽に設置できるものではないが、普及してきた電気自動車(EV)を活用するシステムも製品化されており、消費者の選択肢は着実に広がっている。プロシューマーとして、いよいよ“賢い選択”が求められる。



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