今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード

コロナが収束して平常な営みの1年に
2021/12/28(Tue) 文:(山)

 今年も残すところあと半月となりました。
昨年、今年と新型コロナウイルスに苦しめられていましたが、まだ予断は許されないとしても、ようやく新規感染者数が減少傾向にあります。 
 とはいえ新規感染者数は12月3日の段階で国内で172万7304人、亡くなられた方は11万8360人となっています。感染者が治癒して感染者ゼロになればよいと祈るばかりであります。
 帝国データバンクによると、12月2日現在で新型コロナウイルスの影響をうけた企業の倒産は全国で2470件が確認されているそうです。1億円未満の小規模倒産が1440件ですが、負債100億円以上の大型倒産は5件にとどまっているそうです。業種別では飲食店が最も多いようで、建設・工事業、食品卸、ホテル・旅館がそれに続いているそうです。いずれの業界にしても“コロナウイルス倒産”は悔しい限りだと思います。
12月の倒産は3日の段階で2件確認されていますが、「今後150件前後まで増加し続ける見込み」だそうです。確かに近所の商店街にある喫茶店に入っても客の姿はほとんど見られないほどでした。商店街を歩いていても入り口が締まっている店もあり、活気がないように感じるのは考えすぎなのでしょうか。一生懸命に働いていたたくさんの企業や商店がコロナウイルスによって消滅するのは悔しい限りです。今年のうちにコロナウイルスが日本から撤退してくれればよいのですが……。さらに気になるのは、南アフリカが11月24日に世界保健機関(WHO)に報告した新型コロナウイルスの変異株オミクロン株です。日本の国立感染症研究所は「懸念すべき変異株」に指定し、最も高いレベルの警戒度としました。どうやらかなりやっかいなウイルスがまたあらわれたようです。
突然、話は変わりますが、今年はコロナ禍だけでなく、栃木県足利市の山火事、静岡県熱海市の大規模土石流などいろいろなことがありました。熱海の土石流では26人が亡くなられるという惨事になりました。
 今年最後の一考再考でなんだかつらい話ばかりになりまして、まことに申し訳ございません。来年こそは楽しい話ばかり書けるような明るい1年を、ご購読いただいております皆様とともに過ごせる年になることを祈念して、筆をおかせていただきます。 




COP26、日本は英国の術中にはまったのか
2021/12/10(Fri) 文:(M)

 「球界の寝業師」と言えば、根本睦夫氏だ。1957年にプロ野球選手を引退後、広島やクラウンライター、西武の各監督を務めたが、球団を運営するフロントでの活躍が球史に残る。西武球団の部長時代、ある兄弟投手をめぐり巨人との争奪戦を制してドラフト外で獲得し、ある捕手は高校を転校させて球団職員にして入団に導き、プロ入りを拒否した左腕も口説き落とした。ダイエーの球団社長に転じた後は王貞治を監督に招聘。戦力強化のためならタブーはなく、“裏工作”でプロ野球ファンをあっと言わせた。
 英グラスゴーで11月13日まで開かれた国連の気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、議長国・英国の策士ぶりが光った。会期序盤の11月1〜2日、首脳級会合を開催し、130ヵ国が順番に演説する場を設定。世界が注視する壇上でマイクを渡されると新しい発表をせざるを得ない精神状態になるのか、首脳たちは温室効果ガス排出量削減目標の引き上げや資金支援強化を次々と表明した。
 また、COPでは内政問題や特定の電源の議論を避けてきたが、英国は各国のエネルギー事情が反映される石炭火力発電に切り込んだ。成果文書に石炭火力の「段階的な廃止」の明記を提案。インドなどに強く反発されて「段階的な削減」に表現は弱まったが、記載には成功した。
 全会一致での決議が難しいテーマは、賛同国だけ集めて合意を働きかけた。2040年までにすべての新車を二酸化炭素(CO2)を排出しない車種にする宣言への署名国は23ヵ国。COP参加の197ヵ国・地域からすると少数だが、世界に十分なインパクトを与えた。裏工作があったかは不明だが、英国は国際交渉の「寝業師」なのかもしれない。
 あまりにもずる賢いと嫌われそうだが、根本氏は部下に「人間、本当のことを言われると角が立つ。その角は削らなくてもいいんだよ」と語っている。角を削ると小さくなるため、逆に角を広げて丸くなれと説く。「要は、自分の性格をそのまま残していいんだから」(『根本陸夫伝』集英社文庫)という教えだ。
 COPで日本は英国の術中にはまったのか。角が立っても良いから、しっかりと主張したと信じたい。




官邸の気候変動対策提言と炭素税の導入
2021/12/01(Wed) 文:(水)

 衆議院の総選挙中にまとめられたためか、大手メディアもほとんど取り上げなかったが、10月15日に首相官邸に設置されていた「気候変動対策推進のための有識者会議」が報告書をまとめた。会議は昨年10月の菅義偉前首相による「2050年カーボンニュートラル(CN)宣言」を踏まえ、基本的な戦略に関する意見を聞くというものだった。小泉進次郎前環境相が熱心に進めたもので、数多くある官邸主導の会議には珍しく、環境省主導型の運営でもあった。
 報告書ではCN実現のため、▽炭素に価格をつけ経済的誘導措置によるCO2排出者の行動変容を促す、▽企業への政策支援として大胆な金融政策の具体化、▽国際標準化などのルール作りに日本が主導的な役割を示す――など重要な提言がなされた。端的に言えば、環境省と経済産業省の間で10年戦争を繰り広げてきた炭素税や排出量取引の早急な導入を促したものとも言える。
 こうした官邸の有識者会議の提言を受けて、本来ならば環境省は自らの政策の中に取り入れる具体的なアクションを起こすべきだが、今のところなんの動きもない。総選挙後の内閣改造で新しい環境相に就任した山口壯氏は閣議後会見で、提言にあった炭素税導入などをどう活かすのかを問われ、「(年末の税制調査会で)頭出しできれば上々ではないか。じっくりじっくりみんなの納得をもらいながら進めるのが一番」と述べ、特段のアクションをとる方針は示さなかった。これは山口環境相が会見で多用している「心合わせ」の大事さ、つまり物事を決する際には相手方の充分な了解が不可欠という認識を強く反映したものだ。
 しかし、本格的な炭素税導入などの炭素の価格付け措置は、この10年何回となく同じような審議が繰り返され、いわば導入させないための時間稼ぎをしているとしか見えず、山口環境相の言う「心合わせ」は10年戦争をさらに長引かせる事態を招く。おそらく、そうした状況を熟知していた小泉前環境相は中央突破を図るため、首相に直談判して歴史的なCPと炭素の価格付けを官邸テーマのど真ん中に押し上げた。炭素税導入等が再生エネの加速的拡大と原子力発電の優位性を高めることは自明であり、しかも一刻も早く実現する必要がある。



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