今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード

石油ピークは意外に早く訪れる
2018/02/07(Wed) 文:(徐)

 再生可能エネルギーの増加、天然ガスの拡大、自動車の電動化と多様なエネルギー時代を迎え、石油ピークが意外と早く訪れる可能性が高まっている。石油埋蔵量が30年と言われ続け、需要に供給が追いつかなくなるのがかつての石油ピーク説だった。シェール革命で石油、天然ガス生産世界一となった米国の存在が石油枯渇を消し去り、石油需要のピークが現実味を増してきた。
 自動車の電動化への切り替えスピード次第だが、シェールガス、オイル増強もあって長期に石油価格は現状維持されそうであり、価格が石油ピークの時期を左右しそうだ。
 石油は発電燃料として大量に利用されてきた。現在も各電力会社は非常用に石油火力を保有する。福島第一原発事故時の電力供給不足カバーのためフル回転したが、再エネ電源がシェアを高め、天然ガス火力の高効率化が進む今後の電源ミックスの中では消えていく電源である。石油需要の中心は自動車であり、今後、市場が電気自動車、プラグインハイブリッド、燃料電池車に移っていけば、石油需要はどんどん減っていく。
 ハイブリッド車が普及し、内燃機関エンジン車の燃費向上もあってガソリンスタンドへのドライバーの頻度は減り、全国のガソリンスタンド数は3万4000軒とピーク時の40%減だ。今後、世界の新車のすべてがゼロエミッションビークル(ZEV)になるのを2050年と想定して、日本エネルギー経済研究所は「石油消費は30年頃にピークとなり、50年頃には16年頃と同等まで減少する」と仮定付きだがピークの可能性を示す。
 IEAは17年にまとめた40年までのエネルギー見通しで、世界のエネルギーシステムはクリーンエネの急速普及とコストダウン、電化の進展、中国のクリーンエネへの移行、米国はシェールガス、タイトオイル輸出国へ、といった4大変化をバックに、石油は自動車消費の減少で20年代半ばまでは堅調な石油需要が、後半からは鈍化するとしている。ただし石化製品向けが堅調に伸び、40年までは増加傾向が維持されそうとみている。世界一の石油王国・サウジアラビアは世界最大の石化コンビナートを2兆2000億円をかけ25年に完成する。石油の今後の需要を象徴するプロジェクトだ。日本は30年に1次エネルギー構成比で石油は30%とトップに置いているが、国の「やる気」を前提に、電動車両がどこまでブレークするかによって構成比は下がる。




再生可能エネルギー立国に向け全力投球
2018/01/15(Mon) 文:(山)

 新年あけましておめでとうございます。
 旧年中は「創省蓄エネルギー時報」をご購読いただきましてありがとうございます。本年も創エネ、省エネ、蓄エネに関するニュースや解説に全力で取り組む所存でございます。引き続きのご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。
 さて、本年は江戸幕府が倒れ、明治政府が発足してから150年の節目に当たります。西洋文明が流れ込み文明開化≠ェ始まりました。その象徴の一つが電灯です。1882年に東京・銀座に電灯(アーク灯)が灯りました。1886年に東京電灯(東京電力の前身)が開業するなど、電力会社が各地に設立され、発電を開始しました。
 当初は小規模の火力発電所が各地にありましたが、日本の電力は水力中心の「水主火従」でした。それが1960年代前半から「火主水従」に移行しました。1963年に茨城県東海村に動力試験炉が建設され、ここから原子力発電が始まりました。その後は火力、原子力、水力による電力供給が続いてきました。
 1973年に第1次オイルショックが発生、政府は1974年にサンシャイン計画で再生可能エネルギー開発に乗り出しました。温室効果ガスの排出による地球温暖化が深刻化したことも再生可能エネルギー普及政策に拍車をかけました。さらに2011年3月の東日本大震災で福島第一原子力発電所が過酷事故を起こして原発が停止し、2012年7月に再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を設けました。
 弊誌は2010年10月に「時報PV+」として創刊、本号が154号になります。この間、再生可能エネルギーによる発電、省エネ、蓄電池、水素エネルギーの利用などの技術開発、普及に関する報道を続けてまいりました。ただし日本の再生可能エネルギー普及は諸外国に比べ、遅れているのが現状です。再生可能エネルギー装置・関連機器ビジネスでも海外の後塵を拝している部分もあります。
 弊誌は今年も再エネ・省エネ・蓄エネの普及拡大、そしてそれらの関連産業の隆盛を目指し、全力で「創省蓄エネルギー」の報道に取り組んでまいります。




「たまには停電も」は愚かな発想か?
2017/12/25(Mon) 文:(水)

 12月7日。自民党本部で「再生可能エネルギー普及拡大議員連盟」の会合が開かれ、全国的にネックとなっている電力会社の送電線に再生エネ電源をつなぐための新たな方策が熱心に議論された。講師役の有識者は、大きな焦点となっている東北北部4県の主要幹線の利用率を分析した結果、「実際の送電量は全体容量の20%以下に過ぎない。高速道路に例えるならば、中はガラガラにすいているのにゲートで多くの車両がまだかまだかと待っている状態だ」と指摘した。
 しかし東北電力からすれば、送電系統の空き容量計算には▽万が一の設備トラブルと事故への対応(安定供給)、▽建設予定電源からの仮押さえ(先着優先)、▽系統に接続する(予定含む)全電源が同時に定格出力になることを前提――など、一定のルールで運用しているとなる。
 ここでの問題は、送電系統でも絶対条件とされている「安定供給」の考え方だ。確かに気象条件に左右される太陽光発電や風力発電は、そのシステムにアクセルはあってもブレーキがないといわれ、系統につながれる電気は日中の負荷変動が激しい。このため、停電を起こさない「安定供給」の措置として、全ての電源が最大(定格)出力になる状態、送電系統のトラブルや自然災害などに備え、一定割合の空き容量確保が必要になるという。
 これに対して、有識者は過去の潮流実績やトラブル発生の確率からみても、あまりにも過剰スペックの要求であってそのことが電力システムのコストを押し上げ、ひいては託送料金の高止まりとわが国の高い電気料金の要因になっていると強調する。欧州では10年に1回の大停電発生を予め組み込んでシステムを構築、過剰スペックを避けていると話す。
 43年前、豆腐屋の作家と言われた松下竜一氏(故人)が「暗闇の思想」という本を書き、便利すぎる現代文明に警鐘を鳴らしたことがある。元来、分散型である再生エネの活用は最小限の需要を賄うための電源であり、ある程度の不安定さを社会全体で受け入れ、10年に1回程度の停電があってもよいのではないか。停電が起こった日はローソクを囲み、来るべき大災害への備えや日ごろ不足がちな家族団らんの日と決めて、電気という文明の利器に感謝するというのは愚かな発想だろうか。



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