今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード

再生エネ拡大にも不可欠な河野規制改革
2020/11/24(Tue) 文:(水)

 菅内閣の発足で防衛大臣から規制改革担当相に横滑りした河野太郎氏の動きが脚光を浴びている。菅首相は就任後の重点政策課題の一つに前例踏襲方式を見直す縦割り行政の排除を前面に打ち出し、これを踏まえた河野規制改革担当相が押印廃止などの行政手続き・決済方法の採用を各省庁に要請している。
 河野氏とともに次世代の国のリーダーを目指す自民党若手グループ代表格の小泉進次郎環境相もいち早く共鳴、環境行政における規制改革総点検を推進中だ。
 河野規制改革担当相が意欲を燃やす対象分野は再生可能エネルギー事業もターゲットになりつつある。特にこの分野はまだまだ行政展開の歴史が浅いこともあって、ゆうに10は超える法律(条令も含む)・制度が事業展開に際して適用され、ビジネスの大きな足かせになっているとの指摘が以前から多く出されていた。例えば、農林業を守るための法律といわれる農地法や農業振興地域法、市街化地域などを定める都市計画法などは、太陽光発電や風力発電の導入にブレーキの役割を果たしているのが実態であり、むしろそのことが農村地域の疲弊化に拍車をかけているという。
 特に近年は農村地域における人口減少や高齢化、後継者不足などによって未耕作農地(耕作放棄地)の増加が著しいといわれている。再生エネ事業者はこうした地域に太陽光発電を設置して土地所有者にも副収入をもたらすような事業の具体化を図るが、農業振興地域法などによって当該自治体等の同意が得られず、対象とした土地は従来同様荒れ果てた未耕作農地のまま5〜10年も放置された状態が続くという。自治体等が同意しない理由として、「国の食料自給率向上にとって大事な土地だ」という答えが判で押したように返ってくるという。
 また農村地域だけではなく都市部にもみられる相続者不明等の土地でも同様の行政による不作為が見られ、前述分と合わせるとわが国の土地の10%前後は何の価値も生み出さない不良資産となっている現実がある。
 再生エネの主力電源化にとっては太陽光・風力・中小水力など何れも設置空間の確保が今後の大きな課題なのだから、是非とも河野規制改革を最優先課題にしてほしいものだ。




菅首相、違う考え方の人の声にも耳を傾ける度量を
2020/10/20(Tue) 文:(山)

 菅義偉首相が日本学術会議の新会員のうち6人を任命しなかったことが話題になっている。憲法には政権が学問の自由、言論の自由、思想の自由を奪ってはならないとある。「学問の自由をうたった憲法23条に違反する政治介入だ」―任命されなかった6人の中から、こんな異議の声が上がった。
 6人は安保法制(集団的自衛権の行使を可能にすることなどを柱とする)や共謀罪法(組織的犯罪処罰法改正案)などで政府に反対の立場を取った学者だ。首相が意に沿わないからといって排除するというのでは憲法を無視した暗黒の時代が再現されかねない。
 慈恵会医科大の小沢隆一教授(憲法学)は2015年に安全保障法制の国会審議で、野党の推薦で「違憲」の見解を述べたことがある。小沢教授は毎日新聞の取材に「それが理由ならとうてい承服しがたい。政府方針と違っても言うべきことは言う。学術会議はそういう組織だ」と憤ったという。
 菅首相が、こんなに視野が狭いと先が思いやられる。学術会議前会長の山極寿一氏は「説明もなく任用が拒否されることは存立に大きな影響を与える」と述べた。菅首相に対し文書で理由の説明を求めたというが、加藤勝信官房長官が「個々の選考理由はコメントを差し控える」と述べただけだった。
 これもおかしなことである。学術会議の会員にふさわしくないと、自信をもって任命を拒否したならば、きちんと国民に説明する義務があるはずだ。理由も明らかにせず「コメントを差し控える」では任命されなかった6人と国民に対する説明責任を果たしたことにならない。
 学術会議会員だけでなく、学者の間で「政府の主張に反する立場の人を排除することは学問の弾圧につながりかねない」と危惧する声が広がっている。そのうち、学者だけでなく、政府の意に沿わない国民をパージする暗い時代になるのではというのは、あながち考えすぎではないかもしれない。
 1億2427万人余の国民はそれぞれがいろいろな考え方を持っている。学術会議の中にもいろいろな考え方の人がいるのは当たり前だ。皆が同じ考え方を持っている方が、むしろ恐ろしい。菅首相は自分と違う考え方の人の声にも耳を傾ける度量を持っていただきたい。




菅新政権のど真ん中に、気候変動対策を
2020/10/13(Tue) 文:(水)

 菅義偉新政権が9月16日スタートした。新政権はオンライン化を進めるデジタル庁の創設、先例主義の排除による行政改革、地方経済の活性化などを打ち出し、閉塞感が蔓延している国民に期待感を抱かせた。功を奏してか、新政権発足後の内閣支持率は軒並み60〜70%台の高率にアップ、ご祝儀相場もあるとはいえ前政権とは様変わりだ。
 この高支持率を背景に、自民党内には年内早い時期での衆院解散総選挙を求める声が強まっているが、政界通による直近情報によれば、選挙はむしろ遠のき来年のオリンピック後になる可能性が高くなったという。理由はコロナ禍という非常態下での選挙が国民に受け入れられないという常識論のほか、菅首相にはともかく一つでも仕事をしたことの“実績”をあげることを優先させたいとの考えが強くあるという。東京オリンピック開催を確実なものにしないと財政・経済面での打撃が大きく、国際的な日本への信頼も大きく失墜するという危惧もある。
 菅政権では財務・外務・経産など主要閣僚が再任、従来新人閣僚と女性ポストの指定席といわれた環境大臣も珍しく小泉進次郎氏の留任となった。こうした閣僚の顔ぶれは当然ながら政策面で安倍路線を継承することを意味するが、蓋をしたままの「モリカケ問題」をはじめ財務省職員の自殺などの負の遺産には、日本の政治のステータスを上げるためにもまともに対処してほしい。特に安倍前首相が任命した法の番人である河井克行前法相が大がかりな選挙買収の当事者とあっては、政治の矜持がないに等しい三流国そのものだ。
 ただあまり目立たなかったが、菅政権発足に際して自民党・公明党間で締結された「政権合意」には新たな息吹も感じられる。合意には憲法改正への対応など9項目での連携が明記されたが、その中に「気候変動対策を加速させ、(中略) 持続可能で強靭な脱炭素社会の構築に努める」という異例の1項が入った。安倍前政権は国民の前に常に経済成長(富の拡大)という人参をぶら下げ政策推進してきたが、コロナ禍時代という歴史的転換を迫られる今こそ、菅政権は新しい価値観に基づく生活様式と気候変動問題に対応した日本型グリーン経済の推進を政策のど真ん中において欲しいものである。



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