日米関税交渉で合意した5500億ドル(約86兆円)の対米投資案件の一環として、約10年以上も塩漬け状態にあった米国・アラスカ州の原油・LNG等開発に日本側も積極関与する方針が明らかになった。アラスカの「エネルギーパーク構想(AKEP)」(仮称)を提唱する民間有志が9月4日に経済産業省資源エネルギー庁に要請、その場で同庁幹部は「(アラスカLNGプロジェクトは)高い関心を持っており、実現できればよいと思っている。真剣に取り組みたい」との認識を示した。
一方、アラスカ州政府は8月末までに同構想のドラフト案をまとめ、日本側への協力を求めて経産省に提出する方針を固め、現在その事務的作業が進められている。エネルギー資源確保の多様化が喫緊の政策課題となる中、日本への輸送距離が7〜10日間と短いにも拘わらず巨額な開発コストで尻込みしていた需要側の協力が得られるか、アラスカプロジェクトへの対応は新局面に入ってきた。
アラスカ州権益分の2000万t日本等に供給
アラスカの原油・LNG等開発は北極に近いノーススロープ大油田など複数個所が有力とされ、エクソンなどメジャー系や地元企業などが事業化を進めている。推定埋蔵量は合わせて200〜300兆cftあるとされ、その12.5%分の権益をアラスカ州政府が確保している。今回、州政府がまとめた経産省向けの「AKEP構想案」と前述の民間有志が示した連携開発事業では、@北極圏・ノーススロープからアリューシャン列島までを含むエネルギー関連事業の案件調査、Aアラスカ州政府ロイヤリティ保有の12.5%権益分を日本のJOGMECが購入、Bノーススロープからポートアンダーソンまでのパイプライン等建設に日本製鉄やJFE等の参画、CLNGタンカー25隻の建造、D安価な再生可能エネルギー等(風力、地熱、潮力、水素、アンモニア、アルミニウム)の開発協力、長期的にはアラスカ電力の直流送電による輸入――などを提案している。
対して、資エ庁側は冒頭のような基本認識を示して従来の慎重姿勢を転換、アラスカ側とLNG等開発協力の具体化に踏み込む方針だ。ただ、アラスカ州政府等と連邦政府とのプロジェクトに関する意思疎通が不十分で、特に米政府の商務省、内務省、エネルギー省(DOE)の対応が積極推進のトランプ氏の思惑とは裏腹に統一性を欠く状況があり、交渉のマイナスになっているという。加えて、直近では州議会における天然ガスパイプライン建設(グレンファーレン社が事業主体。約1300km)の税制優遇措置を巡って賛否が対立、27年1月の議会まで先送りとなったほか、同州の知事選も今年12月にあり、この行方も大きく影響しそうだ。
(以下については本誌2887をご参照ください)
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