世界的な風車メーカーのベスタスは3月9日、経済産業省と「風力発電設備の国内製造の推進に向けた協力覚書(MOC)」を締結した(写真)。2029年度までに日本国内でナセルの最終組立を実現するために協力していく。さらに2039年度までに、ナセル完全組立実施を可能とするロードマップ策定で合意した。
洋上風力の拡大に向け、国内での大型風車製造実現への道を拓く重要な合意となったが、その実現には多くの不確定要素を抱えているようだ。
国内初の大型ナセル工場実現に期待高まる
両者の合意内容は「一定の前提条件のもとに、29年度までにベスタス社が日本国内でナセル最終組立拠点を設立する」というもの(下記)。
「日本における洋上風力市場の拡大を前提として、ベスタス社は、一定の前提条件のもとに、2029年度までにベスタス社が日本国内でナセル最終組立拠点を設立する。経済産業省はこの取組に対して最大限の支援を行う。ベスタスは、日本の洋上風力市場の継続的な拡大、ベスタスによる十分な受注の確保、そして将来の入札に関する明瞭で長期的な見通しの確保という条件のもと、2039年度までに日本国内でナセルの完全組立を実施するロードマップを策定する」
洋上風力発電では21年5月に、東芝とGEベルノバが東芝の京浜地区におけるナセル工場建設で戦略的提携契約を交わしているが、その後着工はされないまま、GEベルノバが事実上洋上風力から撤退。同社が風車を供給する予定だった経産省による公募第1ラウンド(R1)の3海域の落札事業者が撤退したことが重なり、現状では実現の見通しが全く立っていない。
またこのR1落札企業による辞退を受けて、経産省は公募指針の見直しを進め、漸く改正案がまとまった状況にある。しかし、従来からの課題である国内での大型風車製造能力の確保は依然として停滞したままだ。現状では全ての風車を海外、それも欧州から輸入せざるを得ない状況であり、輸送コストの負担やトラブル発生時の対応遅れなど、多くの懸念が払拭されない状態が続いている。
(以下については本誌2864をご参照ください)
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