自民、維新両党は19日、2026年度の与党税制改正大綱を決定した。高市早苗首相が掲げる「強い経済」の実現に向けて、「大胆な設備投資促進税制」や「重点技術分野の研究開発促進税制」などの減税措置を前面に据えた。
自動車関連では電気自動車(EV)等に対し、自動車税と自動車重量税との課税方式を内燃機関等との公平性確保の観点から車両重量に応じた課税方式を導入し、28年5月から適用する。
脱炭素やエネルギー関連では、カーボンニュートラル(CN)投資促進税や再エネ減税、省エネ住宅減税などを見直して延長する。
新設備投資促進税制創設、研究開発優遇
「大胆な設備投資促進税制」は産業競争力強化法の改正を前提としたもので、全業種を対象として税額控除を可能にし、大規模な投資を企業に促す。大企業は35億円以上、中小企業は5億円以上の投資を行うこと、投資利益率15%以上を満たすことが条件。税額控除を受けずに、投資費用を初年度に減価償却費として一括計上する即時償却を選ぶこともできる。業種は問わず、生産体制強化に必要な機械や建物、ソフトウエア導入などを対象とする。鉄鋼や化学、電力、ガス、石油、リサイクル企業等によるGX関連やエネルギー、資源循環への設備投資も対象となる。米国関税措置の影響を受けた場合は、最大3年間の繰越税額控除も可能とした。
もう一つの研究開発税制の拡充は産業技術力強化法の改正を前提としたもので、人工知能(AI)や先端ロボット、バイオ、半導体・通信、核融合等の重点産業技術を対象とした新たな区分を27年度に設け、研究費用の40%(現在は最大30%)を法人税額から控除できるようにする。控除額を最大3年繰り越せる制度を26年度にも導入する。
生産工程の効率化など炭素生産性を向上させる設備導入を促すCN投資促進税制は、炭素生産向上率を引き上げ、特別償却率または税額控除率を引き下げるなどの見直しを行ったうえで、2年間の延長を決めた。
再エネ関連では、太陽光発電設備はペロブスカイト太陽電池など、風力発電は海域再エネ利用促進法や港湾法、温暖化対策法、農林水産業再エネ促進法の認定設備等に対象を限定し、軽減率を引き上げるなどの重点化した上で3年間延長する。バイオマス発電は、出力1万KW以上を適用対象外とした。
また、電気供給業を行う法人税の課税標準の収入金額算定に関して、控除される収入金額の範囲に地域間連系線の整備・更新・維持を新たに追加、3年間に限り措置する。既存の関連措置も3年間等の延長を決めた。さらに毎年出される電力・ガスに係る収入金額による外形標準課税については、昨年同様に引き続きの検討課題とされた。
(以下については本誌2853をご参照ください)
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