洋上風力発電を本格導入していくうえで、避けて通れないのが風車の国産化。かつては三菱重工業や日本製鋼所、日立製作所といった国内企業が、最大2MW級の風車を製造していた。しかしこれまでにいずれも撤退しており、大型の風車製造は国内では途絶えてしまったが、ここに来て風力事業者の求める大型風車の国産化に向けた動きが徐々に活発になってきた。
国産風車終了から巻き返し、27年に商用化へ
日本における風車製造は、かつて最大2MW級を日立製作所や三菱重工業が手掛けていたが、国際的な大型化競争と国内市場の立ち上がりの遅れによって、2019年までに相次ぎ開発・製造から撤退した。現在は、東芝が京浜事業所でGEベルノバ製の洋上風車向けナセル製造計画を残しているが、当のGEベルノバは洋上風力の新規受注を停止しており、実現のメドが立っていない。
2026年1月に長崎県五島市沖での運転開始が予定されている戸田建設等による浮体式洋上風力発電事業は、日立製最後の風車となる。これをもって日本企業による大型風車製造が事実上終了する。戸田建設はこの五島市沖事業を計画する際に、5MW級風車の採用を検討したようだが、日立が開発を中止したため、2MW風車を導入せざるを得なかったという。
洋上風力事業は現在、入札制度の見直しが行われており、26年から再び入札案件が動き出すと見られているが、それら事業で採用できる国産風車はなく、輸入に頼らざるを得ない。加えて、欧州メーカーの風車は価格が軒並み高騰している。ただ中国製風車の価格は欧州メーカーの1/4程度と言われており、事業性の確保では圧倒的に有利だが、太陽光パネルの中国依存への反発もあり、日本の事業者は導入しづらいという状況がある。
一方で、風力発電の安定稼働のためには、メーカーによるサポートが不可欠なことから、できるだけ近くに拠点が欲しいのも事業者の本音であり、国産風車メーカー復活への期待は大きい。
そうした中で積極的な姿勢を見せているのが、駒井ハルテックだ。同社は出力300kWの中型風車「KWT300」(写真1)を既に商用化しており、台風時には風車を風下に向けて風を逃がすシステムを採用するなど、台風や乱気流に強い耐台風仕様、そして寒冷地仕様などを用意、国内だけでなくフィリピンやロシア・カムチャッカ州への納入実績がある。
(以下については本誌2852をご参照ください)
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