週刊「エネルギーと環境」 毎週木曜日発行

今週の注目記事


No.2703.12.8




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…GX実行会議が成長志向型カーボンプライシング制度案。年内に最終まとめへ…


GX、5年内に「炭素賦課金」と有償排出量取引導入


 今後10年間の脱炭素化対策に向けて約150兆円の官民投資を実現するためのGX(グリーントランスフォーメーション)の全体像が固まってきた。西村康稔GX実行推進担当相(経済産業相)は11月29日に開催した首相官邸のGX実行会議に「GXを実現するための政策イニシアティブの具体化について」を提示、大筋でほぼ了承された。
 最大論点だった約20兆円の「GX経済移行債」(仮称)の後付け財源となるカーボンプライシング(CP)の導入では、化石燃料輸入事業者への炭素に対する賦課金の創設と企業を対象にしたCO2排出量取引制度の導入を明記、環境省が長年主張していた本格的な炭素税導入は見送りとなった。
 会議に出席した岸田首相は、年末の次回会合にCPと資金確保・国債償還の開始時期、エネルギー政策関連に関し政治決断が必要な事項、GX10年ロードマップを示すよう指示した。

炭素税を賦課金に代替、排出量取引は有償化
 29日の脱炭素実行会議(議長;岸田首相)に示された「政策イニシアティブ」は、(1)成長志向型CP構想(GXリーグの段階的発展・活用含む)、(2)規制・支援一体型投資促進策、(3)新たな金融手法の活用、(4)アジア・ゼロエミッション共同体構想など国際展開戦略、(5)「公正な移行」と中堅・中小企業に関する取組、(6)今後10年を見据えたロードマップの全体像――の6点。各事項について基本的な枠組みのあり方を提示、具体的な制度等の内容は示されなかったが、その中身は11月24日に経産省が開いた「クリーンエネルギー戦略合同会合」でほぼ了承されたものと同じで、最終的に次回の会議でとりまとめる方針だ。
 最も注目されていた@のCP枠組みについては、「炭素に対する賦課金」を化石燃料の輸入事業者等(上流段階)に課する賦課金方式の新設と現在経産省がGXリーグとして試行的に実施中の「排出量取引制度」の本格的実施が提示された。CO2等排出に対する賦課金は環境省が10年以上にわたって主張してきた「炭素税」に代替するもので、現行エネルギー対策特別会計の歳入となっている石油石炭税、およびその一部の「地球温暖化対策税」の別枠となる公算が高く、これが向こう10年間の公的投資規模とされる20兆円を賄う「GX経済移行債」(仮称)の財源とする考え方だ。
 西村GX担当相が29日に提示した資料によると、「炭素に対する賦課金」と排出量取引に関する制度設計の柱は下記のようになっていた。

 [賦課金関連]…〇代替技術の有無、国際競争力への影響、国外への生産移転(カーボンリーケージ)が生じることを踏まえ、直ちに導入ではなくGXに取り組む期間を設けた上で導入 〇最初は低い負担で導入し徐々に引き上げていく 〇賦課金の対象者は化石燃料の輸入事業者等 〇排出量取引市場との一体性確保のため賦課金の負担率を決定できる制度設計   [排出量取引関連]…〇発電部門への段階的な有償化導入 〇GXリーグを段階的に発展させ、多排出企業に対するGX経済移行債での支援策と連動 〇CP新制度はエネルギーに係る負担総額を中長期的に減少させていく中での導入を基本


(以下については本誌2703をご参照ください)



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…CN港湾全国に拡大、コンビナートや火力港湾も対象に。空港は再エネ拠点化促進へ…

改正港湾法と航空法施行で海・空の脱炭素化事業加速化


 国土交通省は今年、2050年のカーボンニュートラル(CN)を目指して港湾法と航空法を相次ぎ改正した。改正港湾法は11月に成立したばかりだが、すでに全国の主要港湾でカーボンニュートラルポート(CNP)の実現に向けた官民協議会が設置され、今後の事業化方針などを検討中だ。
 一方、改正航空法は12月1日に施行。今後、各空港管理者がSAF(持続可能な航空燃料)導入や再エネ拠点化を柱とする計画策定に着手する。

■港湾法、水素等新燃料拠点化へ特例措置
 改正港湾法案は10月に国会提出され、11月11日に成立、近く施行予定だ。国交省は改正法(右記)に基づいて「港湾の開発・利用・保全等に関する基本方針」を改定、地方港湾も含めて港湾管理者に「港湾脱炭素化推進計画」の策定を促し、脱炭素化への取り組みを加速化させる方針だ。

 ◇改正港湾法の概要(CN関連部分)…○「港湾の開発・利用・保全等基本方針」に「脱炭素社会に向けて港湾が果たすべき役割」などを明記 ○港湾法の適用を受ける港湾施設に「船舶に水素・燃料アンモニア等の動力源を補給するための施設」を追加 ○港湾管理者(自治体)は上記基本方針に基づき、官民連携による港湾脱炭素化の取組を定めた「港湾脱炭素化推進計画」を策定 ○港湾管理者は関係自治体、物流事業者、立地企業等からなる「港湾脱炭素化推進協議会」を組織して計画策定や実施等を協議 ○水素・アンモニア関連産業の集積など計画実現に必要な場合に港湾管理者は「脱炭素化推進地区」を指定、構築物の用途規制を柔軟に設定できる特例措置を講じる ○昨年末決定の「22年与党税制改正大綱」に基づき税制優遇措置も適用

 国交省は、国内CO2排出量の6割超を占める産業・エネ転換分野の半分以上が港湾・臨海部に立地していることを踏まえ、2019年にCNP構想を提唱。小名浜港、新潟港、川崎港・横浜港、名古屋港、神戸港、徳山下松港の6地域7港湾を選定して、CNPの目指す姿と実現に向けた取り組みの方向性などを柱とした報告書の作成を進めた。
 各港湾ごとに各地方整備局と各港湾の管理者(自治体)が検討会を運営、関係自治体や港湾関係者、地元企業からなる官民連携協議会も参加して、各地域ごとに「取り組みの方向性」を21年4月に集約。これをもとに国交省が「CNP形成計画策定マニュアル」を策定する一方、各港湾では引き続き計画策定や事業化の検討を推進中だ。
 改正港湾法はこうした取り組みを踏まえたもので、国交省は港湾管理者に「港湾脱炭素化推進協議会」の設置と「脱炭素化推進地区」の指定を促すとともに、CO2排出削減目標と脱炭素化施策およびその行程表、進捗評価等で構成される「港湾脱炭素化推進計画」策定と実施を求めることで、脱炭素化への取り組みを加速化させる狙いだ。




(以下については本誌2703をご参照ください)


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中国、四国、北陸、沖縄4電力、規制料金値上げ申請(電力・ガス)

都、積水化学とフィルム型太陽電池で共同研究(省・新エネ)

GX実行会議で、関係省庁が積極的脱炭素先行投資(グリーントランスフォーメーション(GX))

JCM設備補助、関電・自然電力・裕幸計装など(海外環境協力)

日揮、SAF生産用廃食油調達で三菱地所と合意(廃棄物・リサイクル)




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