政府がまとめた今夏・今冬の電力需給総合対策の中で、最も即効性を期待されている対策が対価支払型のDR(デマンドレスポンス、需要抑制)の普及拡大だ。大手電力各社の小売部門や小売会社は家庭向けの対価支払型DRの強化と新サービスメニューを次々と打ち出している。
■岸田政権近く、省エネと節電支援措置公表へ
岸田文雄首相は6月15日、通常国会の閉会を踏まえ、締めくくりの会見を行った。電力需給の安定確保対策については、「スピーディーに大きな効果を持つには需要面の対策として省エネと節電の徹底がある。そのための措置を早急に公表できるように準備を進める」と言及した。さらに萩生田光一経済産業相は16日、電力需給に関する電力業界との対策会議を経産省で開いた。会議には池辺和弘電気事業連合会会長(九州電力社長)をはじめ大手電力10社にJパワー、JERAの各社長も出席した。池辺電事連会長は「対価支払型DRの普及拡大に向けた検討を進める」と表明。東京電力ホールディングスの小早川智明社長も自社のDRプログラムをさらに充実させる方針を述べた。対価支払型DRは、kWhに応じたポイント付与や電気料金割引などの恩典・対価を契約者に実施する手法で、各社が採用し始めた。
■東電EP、45万世帯の約1000万kWh需要抑制
東京電力エナジーパートナー(EP)は家庭向けDRサービスを開始した。同社は6月8日、家庭における省エネルギーの取り組みをサポートする省エネプログラムを発表。同プログラムの中で自由料金プランを契約している家庭向け需要家を対象に、DRサービスを展開する。7〜9月に計45万世帯に参加してもらい、計約1000万kWhの需要を抑制することでエリア内3%の節電を目指す。具体的には東電EPから要請があった時間帯に節電に協力すると、節電量1kWh当たり5ポイント(P)を得られる。初回分の成功特典として、節電量0.01kWh以上を達成した場合に100Pを得られる。節電Pは秋にTポイントやポンタポイントなどの各種サービスに使用できる。DRの対象時間は前日夕方までに通知するが、節電できなかった場合のペナルティはない。
(以下については本誌2680をご参照ください)
|