東京ビッグサイト(東京都江東区)で10月30日から11月9日まで開催中の「ジャパンモビリティショー」において、ホンダ、BYD、スズキが展開している軽の電気自動車(EV) を中心に都市型モビリティの未来を担う"主役競争”が注目の的だ。同時に、CASE技術を活用したスマートシティ、次世代交通、生活支援モビリティなど五つのエリアでの社会的貢献もアピールしている。
SDV化世界潮流に、CN達成も待ったなし
関連して開催された講演の中で、「SDV(ソフトウェア定義車両)」という新たな車の有用性を示す潮流がハードウェア中心の自動車産業に戦略転換を迫っているとの刮目すべき指摘があった。SDVはカーナビ、音楽、通信、アプリ連携等情報系(インフォテインメント)に加え、エンジン制御、ブレーキ制御、ステアリング制御、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転機能等制御系(走行・安全・運転支援)への活用が始まっている。
近年、自動車産業に起こっている潮流は、車がネットワークを通してあらゆるものにつながる「コネクテッド」、自動運転技術の進化による「自動化」、シェアリングなど車の使い方が変わる「シェアリング・サービス化」、動力源を電化する「電動化」の四つに大別され、これらの頭文字を取って「CASE」と呼ばれている。こうした自動車産業を取り巻く変化は、高齢化や人口減が進む中での移動手段の確保、交通事故や渋滞の大幅な削減といった様々な社会的課題の解決に資するとともに、新たな社会価値の提供をもたらすことが期待されている。このCASEという目的を達成するための不可欠な手段が「SDV」と言い切れよう。
もう一つ、自動車に大きな変化をもたらしている潮流として、世界共通の課題である「カーボンニュートラル(CN)」を目指す動きがある。気候変動の問題を解決するため、CO2などの温室効果ガス排出を世界全体でゼロにするパリ協定があり、日本も2050年までに達成するという目標を国際約束している(下図参照)。
(以下については本誌2846をご参照ください)
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