改正電気事業法が先の特別国会で7月17日に成立し、同24日公布された。経済産業省は今年12月頃の施行に向け新たな制度の詳細設計に着手した。具体的には大型発電所の開発・建替えや送配電網整備への公的融資制度、小売電気事業者への供給確保強化対策となる中長期取引市場、今年度から本格導入した国内排出量取引(GX―ETS)による費用・収益を電力卸取引価格にどう反映していくかなどが焦点となっている。
■公的融資などの詳細な制度設計を具体化
経産省は改正電事法によって創設された新制度の詳細設計を議論する検討会として、7月に「電力事業環境整備WG」(座長;秋元圭吾地球環境産業技術研究機構システム研究グループリーダー)を立ち上げた。同WGは「電力システム改革の検証を踏まえた制度設計WG」の後継にあたる。以前の制度設計WGは次世代の電力システムを構築する観点から、電源・系統整備向け投資に対する投融資、市場を通じた安定的な価格での需要家への供給に向けた小売事業の環境整備などに関して、制度設計の方向性を今年3月に整理した。
新たな電力事業WGはまず、改正電事法によって創設された大型発電所の開発・建替えや送配電網整備に対する公的融資の詳細制度設計を議論する(上図)。さらに電力卸取引市場におけるGX―ETSの取り扱いについても検討する。
■初の公的融資は27年3月から実行予定
経産省は7月28日に衣替えした電力事業WGの2回目の会合を開いた。会合では国の財政投融資を財源とした電力広域的運営推進機関による融資対象を50万kW以上の大規模電源とする方針が示された。委員から大きな異論はなかった。
融資対象の方針は安定供給への貢献度や長期にわたり巨額資金を要することが考慮され決まったという。初融資は、計画認定や融資審査などの作業を踏まえて2027年3月に実行する予定。事務局案は融資対象とした50万kW以上について、同一発電所内で複数の発電設備の合計出力が50万kWを超えれば要件を満たすとした。ただ、無関係の複数発電所を束ねることや運転開始時期が大幅に異なる場合は同一の融資対象として認めない。
注目すべきは、長期脱炭素電源入札の対象となる大型電源と公的融資制度の関係だ。広域機関が実施する同入札は、原則20年間の固定費相当の収入を受け取れることで落札した発電事業者の投資回収予見性を確保し、脱炭素電源への新規投資を着実に促して安定供給と脱炭素化に必要な電源の供給力を確保する狙いがあった。今回の新たな公的融資制度でも同様に優先的に支援するようだ。つまり洋上風力、原子力、地熱、水素・アンモニア火力などが公的融資制度の対象電源となる。しかも落札した大規模電源は、融資資金回収の確実性が公的融資制度の計画認定や融資審査によって高く評価されることから、一層有利となる見通しだ。
(以下については本誌2885をご参照ください)
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