週刊「エネルギーと環境」 毎週木曜日発行

今週の注目記事


No.2746.11.3




第1レポート次の記事

…JESCOの高濃度処理施設は解体準備に着手、掘り起こし徹底が重要課題に…


低濃度PCB、特措法改正で処理迅速化・支援措置拡大も


 環境省は有識者会合に「低濃度PCB廃棄物の早期処理に向けた方針(案)」を提示、低濃度PCB含有の疑いがある機器を新たにPCB廃棄物適正処理推進特別措置法に位置付けるとともに、含有濃度の分析費や処理費用等の支援措置の創設を検討する方針を示した。引き続き委員から意見を求め、次会合での取りまとめを目指す。
 一方、高濃度PCB廃棄物の方は処理期限内完了の目途が概ね立ったという。完了期限後は各処理施設の解体撤去に移行する。今後は積み残しのないよう未処理物の掘り起こし徹底が求められる。

■高濃度処理施設、北海道除き解体準備に着手
 10月16日に開かれた「PCB廃棄物適正処理推進検討委員会」(座長:永田勝也・早大名誉教授)において、高濃度PCB廃棄物および低濃度PCB廃棄物(下記)の処理進捗状況と今後の課題、中間貯蔵・環境安全事業(JESCO)が運営する高濃度処理施設の解体・撤去の状況について報告、議論が行われた。

 ◇高濃度廃棄物…PCB含有濃度が0.5%超のもの(ただし可燃性汚染物は10%超)。処理は「変圧器、コンデンサ」と「安定器、その他汚染物」に分けられ、JESCOの5処理施設で実施。施設ごとに地元自治体等と取り決めた処分期間内(事業終了準備期間:PCB廃棄物処理基本計画に規定)に廃棄物保管事業者が処理を行うよう義務付け(下表参照)。必要に応じて自治体による行政代執行も講じつつ、処分期間内にJESCOが処理を完了させる。その後、各処理施設の解体・撤去作業に入る。
 ◇低濃度廃棄物…廃棄物処理法に基づき国等が認定した民間事業者が無害化処理を行っている。2019年末に制度改正が行われ、可燃性汚染物は追加認定を得た処理施設で、処理可能な濃度範囲を従来の0.5%以下から10%以下まで拡大して焼却処理することが可能になった。不燃物等は0.5%以下のまま据え置き。処理完了期限は上記計画により26年度末と設定。

 このうちJESCOの処理事業所で処分される高濃度PCB廃棄物に関しては、処理期間の見直しもあって(2678既報)、大阪と愛知県の豊田、北九州の各エリア内の変圧器等と安定器等はともに今年度末の事業終了を予定。東京と北海道も、期間内の処理完了の目途がほぼたっている。
 例えば、北九州市では変圧器とコンデンサの19年における処理完了後から施設の解体準備に入り、23年度からはプラント解体に着手、25年度中の解体撤去を予定する。しかしその間にエリア内では未処理物が相次ぎ発見され、大阪と豊田の両施設で処理された経緯がある。そして現在稼働中の北九州の安定器・汚染物の処理施設と大阪、豊田、東京の変圧器・コンデンサ処理施設においても解体準備の検討が始まった。
 このように高濃度処理施設は、地元自治体との合意に基づき処理完了後には閉鎖され、解体撤去へと移行する。このため積み残しは許されない。掘り起こし徹底が引き続き重要課題となる。


(以下については本誌2747をご参照ください)



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…次期エネルギー基本計画来年検討へ。新たな資源確保要請でもS+3Eを堅持…

松山資エ庁次長、次世代に向け厚みある電力供給基盤に変える


 経済産業省の資源記者クラブ(専門誌)は10月19日に、資源エネルギー庁次長(首席エネルギー・地域政策統括調整官と首席最終処分政策統括調整官を兼任。1992年(平成4年)入省)に7月就任以来初の合同会見を行った。前職が電力・ガス事業部長でエネルギー行政に携わって10年を超す松山泰浩氏は、激動下にある国際情勢を熟視しつつ我が国のエネルギー戦略の重点を力強く語った。(略歴は2730参照)

激しいグローバル競争対処、来年エネ基改定
 松山資エ庁次長は「電力事業を巡る様相は大きく変わった。原子力の再挑戦は安全確保をできているか、国民の理解がしっかりとれているかをたえず問い続けたうえで進めていく。一方、再生可能エネルギーはこの10年で大きく成長して有望な電源となった。脱炭素の世界の流れの中で日本の置かれた立場を考え、どう未来に向けて国が栄えていくかが重要だ」と抱負を語る。
 松山氏は2012年に資エ庁資源・燃料部石油・天然ガス課長を皮切りに、茂木敏充経済産業相(当時)の秘書官を経て、14年には省エネルギー・新エネルギー部の新エネ課長に就任。それ以降も、省・新エネ部長、電ガ部長などをこなして、省内では数少ない“エネルギー屋”だ。
 岸田文雄政権が重視するGX推進戦略や第7次エネルギー基本計画改定については「エネ基は3年に一度の見直しが規定されている。来年は見直しを始めることになりそうだがまだ決まっていない。国際情勢の変化による資源確保の問題など、新しい政策課題もでてきているが、S+3Eはなんら変わるものではない。GXは脱炭素と産業政策を絡めた新機軸であり、国際的には政府間のみならず企業間でも激しいグローバル競争が始まっている。日々こういった情勢を踏まえて、当局として次なる施策を打っていく」と強調する。



(以下については本誌2747をご参照ください)


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