週刊「エネルギーと環境」 毎週木曜日発行

今週の注目記事


No.2849.11.27




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…JFEエンジ、鹿島、三菱ケミカルが社会実装。建設系廃プラも再利用

廃棄物のケミカルリサイクル、ガス化・油化で資源循環



 再資源化事業等高度化法が11月21日に全面施行、また改正資源有効利用促進法が2026年度から全面施行されることもあって、政府による循環経済促進やリサイクルの高度化利用に向けた施策が加速している。環境省は廃棄物リサイクルを向上させるためのケミカルリサイクル対策を推進中だ。こうした動きに呼応して代表的な企業が関連事業を具体化、政府支援も受けて事業化を強化しつつある。

■ケミカルリサイクルが循環経済と脱炭素貢献
 廃棄物リサイクルの一つである「ケミカルリサイクル」は使用済みプラスチックなどの廃棄物を化学的に分解し、元の化学成分(モノマーや炭化水素等)に戻して再利用するリサイクル技術だ。この方法によって、品質が劣化しにくい新しいプラや化学製品の原料を製造できるため、高品質なリサイクルが可能となる。廃棄物のガス化や油化などの手法があり、質の高い再製造ができることが再利用先の幅で広がる。通常の化学製品をつくるよりもCO2排出量を削減でき、廃棄物の有効活用や資源循環につながる。
 環境省環境再生・資源循環局の杉本留三廃棄物適正処理推進課長は、「各自治体がゼロカーボン宣言を進める中、廃棄物資源循環分野では社会インフラの一般廃棄物処理施設が率先して脱炭素化に取り組む必要がある。ケミカルリサイクル推進は循環経済に向けて3Rに加え、炭素循環という新たな選択肢を提示するとともに、気候変動分野でのいわゆるHard-to-abate(排出削減が困難)産業とされる廃棄物処理事業において、カーボンニュートラルを実現する必要不可欠な技術に挑戦する方策として大いに期待している」と強調する。

■J&T、初の廃棄物ガス化小型炉実証開始
JFEエンジニアリングの子会社J&T環境は同12日、世界でも数少ないガス化技術を用いた廃棄物ケミカルリサイクルの小型炉実証設備の竣工式を開いた。実証設備は、千葉市のJFEスチール東日本製鉄所の敷地内にあるJ&T環境千葉リサイクルセンター内に建設(写真)、来年6月まで実証する。


(以下については本誌2849をご参照ください)



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…JCM適用基準策定、REDD+など農業・林業系プロジェクト拡大。インド重点化

農業・林業系等のJCM一層拡大へ、COP30で打ち出す


 環境省は11月19日、ブラジルで開かれていた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)で「JCMパートナー国会合」を開催、二国間クレジット制度(JCM)の活用拡大を図るとした共同声明を発表、取組強化に向けた連携拡大を確認した。
 一方で国内対策では、環境省・経済産業省・農林水産省の3省と今年4月に新設された「日本政府指定JCM実施機構」(JCMA)が18日に「JCM適用基準」を策定した。3省は今年2月に閣議決定された地球温暖化対策推進計画の新たな目標「2030年までに1億t、40年までに2億tの累積排出削減・吸収量の実現を目指す」の達成に向け、施策の強化を図る。

■農業・林業系JCM拡大、各種手続迅速化
 19日に開かれた「JCMパートナー国会合」は、日本とJCM協定を結んだパートナー国(現在31ヵ国)らが参画して、JCMへの取り組み進捗状況を共有するとともに、各国のNDC(国際貢献目標)達成に貢献するための協力強化を進めていく会合。会合にはインドやタイ、ベトナム、モンゴルなど15ヵ国が参加した。共同声明では、JCMの活用拡大に向け、脱炭素技術を持つ多種多様な企業に参加を促すことや、各種手続きの迅速化などに協力することを確認した。  一方、18日に決定した「JCM適用基準」は、事業化を目指す民間企業からの相談や問い合わせが増える中、従来の「組成ガイダンス」等に加えて、今後のJCMプロジェクトに求められる要素を取りまとめたもの。特に省エネ・再エネ等の設備設置型など国による資金支援を前提とした従来型プロジェクトに加えて、機器の調達を伴わない民間資金を活用した案件相談が増加傾向にあることも踏まえて、策定された。
 この民間資金活用案件は、国の支援事業と異なり、JCM事業で得たカーボンクレジットをそのまま自らの取引に活用できることが最大の特徴で、企業にとってメリットともなる。その案件として有力視されているのが、REDD+(森林減少や劣化の抑制による排出削減)と海外植林等の森林系及び水田メタンの排出削減、農地土壌の炭素貯留の拡大、畜産由来のメタン・N2O排出削減などの農業系の事業だ。
 農水省は今年5月に「農林水産分野GHG排出削減技術海外展開パッケージ」を策定、今後の対策等を集約してJCMプロジェクト拡大方針を打ち出した。COP30では、農水省主催のセミナーでこれら事業に取り組む食品・飲料・農業機械・商社・金融等32社が削減技術の海外展開や資金調達の確保に向けた声明を行った。農水省はこれらパッケージ実現への取り組みを26年度以降さらに拡大していく方針だ。




(以下については本誌2849をご参照ください)


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