東京電力ホールディングス(東電HD)は1月26日、筆頭株主の原子力損害賠償・廃炉等支援機構(原賠機構)とともに、経済産業省から認定を受けた「第5次総合特別事業計画」(5次総特)を公表した。収益拡大に向けた他社とのアライアンス推進と原発廃炉体制の強化などが柱。経営効率化のため、今後10年で累計3.1兆円のコスト削減を明記した。柏崎刈羽6・7号機が再稼働しても福島第一原発事故の廃炉費用が嵩むことから、成長投資などによる財務基盤強化を進める。
廃炉事業の貫徹、エネ安全保障への対応推進
東電HDの小早川智明社長は同日の会見で、「電気事業を巡る環境変化と強い危機意識を持って、原賠機構と協力しながらあらゆる検討を進めた。廃炉の燃料デブリの本格取り出しは最難関の事業だが、体制強化によって遂行する」と強調した。総特の大幅改定は2021年8月以来で、4年半ぶりとなる。従来の総特の基本的な考え方を維持しつつ廃炉の進捗、エネルギー安全保障への要請の高まりなどの環境変化に対応する決意を示した。
◇第5次総合特別事業計画のポイント
〇長期にわたる廃炉の貫徹…経営判断・能力・体制の三本柱で抜本的に廃炉事業の改革を行う。原子力関連組織の体制を適切に見直し、廃炉遂行主体が廃炉に係る経営リソースや経営方針に主体的役割を果たせる体制に移行 〇GX・DX、エネルギー安全保障等に対応した安定供給・財務状況の改善…「迅速な電力供給」「脱炭素電源の確保」「多様なニーズに応じた料金メニュー」の三つの社会価値提供に向け事業構造の変革を進める 〇アライアンス…期限を切った具体的な提案募集に先立ち、アライアンス提案等の精査・評価を行う検討体制を構築 〇国の関与の在り方と公的資本・資金の回収…国は福島事業に長期関与、経済事業は早期自立。東電はこれまでどおり、賠償年2000億円程度、廃炉年3000 億円程度を負担
東電福島第一原発事故の廃炉や賠償にかかる費用で、東電の負担分は16兆円超に上る。柏崎刈羽原発が1基再稼働すれば年約1000億円の収支改善効果が見込まれるものの、電力小売の競争激化と送配電投資の拡大に加え、足元のインフレ等によってキャッシュフローなど財務状況は悪化している。フリーキャッシュフローは、2018年度以来7期連続赤字で25年度も赤字決算が続く。そのため5次総特では人件費や設備費などの合理化を進め、34年度までに計約3.1兆円のコスト削減と、3年以内に株式など2000億円程度の保有資産売却を明記した。
(以下については本誌2858をご参照ください)
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