再資源化事業等高度化法が11月21日に全面施行、また改正資源有効利用促進法が2026年度から全面施行されることもあって、政府による循環経済促進やリサイクルの高度化利用に向けた施策が加速している。環境省は廃棄物リサイクルを向上させるためのケミカルリサイクル対策を推進中だ。こうした動きに呼応して代表的な企業が関連事業を具体化、政府支援も受けて事業化を強化しつつある。
■ケミカルリサイクルが循環経済と脱炭素貢献
廃棄物リサイクルの一つである「ケミカルリサイクル」は使用済みプラスチックなどの廃棄物を化学的に分解し、元の化学成分(モノマーや炭化水素等)に戻して再利用するリサイクル技術だ。この方法によって、品質が劣化しにくい新しいプラや化学製品の原料を製造できるため、高品質なリサイクルが可能となる。廃棄物のガス化や油化などの手法があり、質の高い再製造ができることが再利用先の幅で広がる。通常の化学製品をつくるよりもCO2排出量を削減でき、廃棄物の有効活用や資源循環につながる。
環境省環境再生・資源循環局の杉本留三廃棄物適正処理推進課長は、「各自治体がゼロカーボン宣言を進める中、廃棄物資源循環分野では社会インフラの一般廃棄物処理施設が率先して脱炭素化に取り組む必要がある。ケミカルリサイクル推進は循環経済に向けて3Rに加え、炭素循環という新たな選択肢を提示するとともに、気候変動分野でのいわゆるHard-to-abate(排出削減が困難)産業とされる廃棄物処理事業において、カーボンニュートラルを実現する必要不可欠な技術に挑戦する方策として大いに期待している」と強調する。
■J&T、初の廃棄物ガス化小型炉実証開始
JFEエンジニアリングの子会社J&T環境は同12日、世界でも数少ないガス化技術を用いた廃棄物ケミカルリサイクルの小型炉実証設備の竣工式を開いた。実証設備は、千葉市のJFEスチール東日本製鉄所の敷地内にあるJ&T環境千葉リサイクルセンター内に建設(写真)、来年6月まで実証する。
(以下については本誌2849をご参照ください)
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