週刊「エネルギーと環境」 毎週木曜日発行

今週の注目記事


No.2650.11.11




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…早急に検証・総括すべきとの指摘。次のLNG契約更新前に民営化実現も…


仕切り直し仙台市ガス民営化、複数入札可能の見方


 仙台市は2020年9月から取り組んできたガス事業民営化の公募結果について、今年9月に優先交渉者の該当なしという見解を発表した。しかし、民営化の動きはこれで頓挫したわけではなく再び動き出しており、その成り行きが注目されている。

■公営ガス事業者で、唯一海外のLNG直接調達
 仙台市ガス局は公営事業者として日本最大の需要家数約34万戸を誇り、仙台市や多賀城市、名取市などの地域に都市ガスを供給している。事業収支は14年度から直近の20年度まで7期連続で黒字を計上。また公営ガス事業者としては唯一、都市ガス原料であるLNGをマレーシアから年約16万tを直接調達している。
 しかし今後、人口減少が進みガス需要の多くを占める家庭用需要が減少していくことが見込まれる。公営のままで現状のサービス水準を維持しながら事業を継続していくことは、いずれ困難になることが予想されている。一方では地方公営企業法上、ガス事業とその附帯事業が限定されており、民間企業と比べて公営ガス事業者は事業範囲拡大の面から制約がある。そこで市は、さらなる市民サービスの向上と地域経済の活性化などの新たなサービス提供などを考慮、公営事業者よりも弾力的な運営が可能な民間企業に経営を委ねることが必要と考え、民営化を進めてきた。

■市民と市にメリット薄かった事業計画提案
 市は20年9月に2回目となる事業継承者の公募を開始した。21年9月に提案を審査したガス事業民営化推進委員会から審査結果の答申があり、それを踏まえて市は事業継承の「優先交渉権者該当なし」との結論を示した。公募には東北電力、東京ガス、石油資源開発、地元のエネルギー商社カメイの4社グループが唯一応募したが、200点満点の審査で評価は半分以下の85.3点だった。東京ガスは審査結果について、「市が熟慮した結果、当社を含めた提案事業グループが選ばれず残念だ。また機会があれば応募を検討する」と語る。
 同民営化推進委員会の委員長を務めた橘川武郎国際大学副学長は、「民営化移行は間違っていないのだが、残念な結果となった。該当者なしとなった要因の一つは提案された事業計画で事業譲渡後に需要家数、販売量と当期純利益の急激な減少を示していたこと。譲渡後5年間で約2万件の需要家を失うとしていた。民営化の大きな目的がガス事業の永続的発展であり、そのためにも民間のアイデアや経験を生かした需要家数、販売量の維持・増加を期待していたところであったが、そうした基本的な趣旨が十分に汲み取られているか疑問が残った」と語る。実際に仙台市ガス局の需要家数離脱は直近1年で600件程度、過去5年でも約4000件にとどまっているので、2万件の離脱想定とは大きなギャップがあった。
 さらに橘川副学長は、「事業計画全体として譲受会社の経営の安定を重視し、 自社と株主にとってのリスクをしっかりと管理することに重点を置いた守りの印象が強かった。そのこと自体を否定する ものではないが、結果として市民と市にとっての民営化メリットが具体的に実感しにくいものとなっていた」と指摘する。


(以下については本誌2650を参照ください)



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…日銀は金融機関支援方針を提示。日本取引所は情報プラットフォーム構築へ検討開始…

経産省、移行投融資の環境整備急ぐ・TCFDも集約へ


 経産省と金融庁、環境省は11月4日に合同会議を開き、トランジションファイナンス(TF)に対する今後の対応方針などを確認した。経産省が中心となって業種別のロードマップ策定を急ぐとともに、アジア地域との連携強化も具体化する。
 金融庁における気候変動の情報開示義務化に向けた議論も現在、佳境に入りつつある。経産省は独自にサステナビリティ開示のあり方の中間報告案を提示、国際動向を踏まえつつ、継続して検討を進める方針を示した。

■TF行程表は鉄鋼に続き化学、年度内7業種
 3省庁合同の「TF環境整備検討会」(座長;伊藤邦雄・一橋大CFO教育センター長)では、経産省が分野別技術ロードマップ(行程表)の進捗状況を説明、先月27日の鉄鋼分野行程表(下記)に続き化学分野を今月中に策定する方針を示した。 すでに素案をまとめており、ナフサ分解、原料転換、最終製品、リサイクル、無機化学、自家用蒸気・電力等の項目ごとに、技術オブションやその導入計画等を示した。加えて電力、ガス、石油のエネルギー分野とセメント、紙パの行程表を年度内に策定する。国交省が他業種に先駆けて2020年3月に策定した海運分野の行程表については2030年46%削減、50年カーボンニュートラル(CN)の実現を見据えて見直しに着手した。

 ◇鉄鋼分野技術ロードマップの内容…▽鉄鋼業の概要(国内外の産業規模とCO2排出量、製鉄プロセスとCO2排出の内訳、国内外における技術開発動向、今後の取組方針)、▽脱炭素化に向けた技術の道筋(省エネ・高効率化、カーボンリサイクル、水素還元製鉄技術の段階的導入などCN実現に向けた技術オプションとCO2排出係数・実装年・その根拠資料、CN実現に必要な技術開発の時間軸で見たマッピング等)、▽科学的根拠(パリ協定との整合性)――などで構成。




(以下については本誌No.2650をご参照ください)


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