週刊「エネルギーと環境」 毎週木曜日発行

今週の注目記事


No.2500.2018.10.18




 第1レポート 次の記事

…環境省の消極的容認方針が限界に。中長期的には稼働率制限と経済的措置の導入…


石炭火力新増設計画、事業リスク確実に高まる


 
 国内で計約1680万kW(2018年6月現在)にも及ぶ石炭火力の新増設計画に対する事業リスクが確実に高まっている。経済産業省は今週24日に開く環境顧問審査会で、環境大臣アセスメント意見が示された秋田港石炭火力の計画妥当性を審議。結論は計画容認に進むと見られているが、1年先の着工までにクリアすべき課題も多い。国際的な石炭火力に対する抑制論も拡大しつつあり、先日発表のIPCC1.5℃特別報告書では2030年までの削減、50年には全廃の必要性を指摘した。正念場にある石炭火力の行方を追った。

■秋田港石炭火力、経産省容認姿勢も課題多く
 来年8月着工予定の秋田港石炭火力1,2号(65万kW×2)は事業主体が関電エネルギーソリューションと丸紅の特別目的会社で、この会社自体は国内に既設大型火力を所有しているわけではなく、今回新設に伴うCO排出増(年間約866万t)を相殺する対応策がない。このため、環境省はアセス意見として、(1)2030年及びそれ以降の削減対策に道筋が描けない場合、事業実施の再検討などあらゆる選択肢の検討、(2)省エネ法に基づくベンチマーク指標目標(30年)達成に向けたグループ会社等との「共同実施」に関する具体的方策・工程の確立――などを指摘した(2498既報)。
 アセス意見を受けた経産省は17日に開く環境審査顧問会で改めてアセスの適切性を審議するが、結論は「妥当なもの」となる見通しで、環境省意見もほぼそのまま事業者側に勧告の形で提示される。あとは着工までに指摘された“宿題”への対応策を事業者がどこまで示し、今後の事業リスクをどう判断するかだが、地元自治体等の反対がない限り電気事業法上の認可になるとみられる。
 ただ、環境省が上述の(1)で求めたCO削減対策の具体的な中身がまだ乏しく、(2)の省エネ法として初の実施となる「共同実施」の対応もまだ具体的でない。共同実施では関電グループとして、非効率火力の休廃止などが不可欠だ。また、丸紅自身が9月に内外に宣言した「新規の石炭火力発電事業からの原則撤退方針」と整合性がとれていないという批判もある。加えて、同事業は東北電力エリアへの越境進出でもあるため、送電線ルートの協議など不透明な要素が残されている。
 






(以下については本誌2500を参照ください)



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…+2℃の容認でなく+1.5℃を追求。パリ協定交渉と国内の長期戦略策定に影響…

IPCC1.5℃報告、30年に10年比45%削減を指摘


 国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が8日、「1.5℃特別報告書」を発表した。その政策決定者向け要約によると、現状のままCO等排出量が増加すれば、早くて2030年には1.5℃上昇に達すると指摘。1.5℃以内に抑えるためには、世界全体の人為的CO等排出量を30年に10年比で45%削減し、50年には正味ゼロとする必要があることを示した。
 気候変動対策を巡っては国内外で対策強化の議論が進められており、同報告書の及ぼす影響が注目される。

パリ協定1.5℃努力目標の根拠と道筋示す
 今回公表された「1.5℃報告書」は、世界的な平均気温上昇が産業革命以前に比べ1.5℃上昇した場合の影響と、それを達成する排出シナリオなどをまとめたもの。15年末の気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定で、「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」と明記されたことを受け、締約国会議がIPCCに1.5℃上昇した影響など科学的観点からの検討を要請。これを受けIPCCは16年秋に検討着手、今月1〜6日に韓国の仁川で開かれた総会で報告書が採択された。パリ協定の長期努力目標「1.5℃以下」達成方策を検討する上で、重要な科学的根拠となる。
 その政策決定者向け要約のポイントは次頁の通り。

 ◇IPCC1.5℃特別報告書のポイント
 1)人為的な活動により工業化以前と比べ現時点で約1℃温暖化しており、現在の進行速度で温暖化が続けば30年から52年の間に1.5℃に達する可能性が高い。
 2)現在と1.5℃の温暖化の間、1.5℃と2.0℃の温暖化との間には生じる影響に有意な違い…▽人が居住するほとんどの地域で極端な高温の増加 ▽海水面の上昇(1.5℃の場合2.0℃よりも上昇が約0.1m低くなる) ▽夏季における北極の海氷の消滅(2.0℃だと10年に1回、1.5℃だと100年に1回程度)  ▽サンゴへの影響(2.0℃だとほぼ全滅。1.5℃だと7O〜90%死滅) 
 3)将来の平均気温上昇が1.5℃を大きく超えないような排出経路は、世界の排出量が2030年までに45%削減、2050年前後には正味ゼロとなっている。
 4)パリ協定に基づき各国が提出した目標による2030年の排出量では、1.5℃に抑制することはできず、将来の大規模なCO除去方策の導入が必要となる。
 

(以下については本誌No.2500をご参照ください)


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