週刊「エネルギーと環境」 毎週木曜日発行

今週の注目記事


No.2838.09.11




第1レポート次の記事

…26年度概算要求で省エネ投資補助が1810億、環境省は脱炭素交付金で新規事業具体化

GX対策関連予算大幅増の8610億、エネ等構造転換本格化



 GX経済移行債を原資とする「GX推進対策費」の2026年度における概算要求総額は、経済産業省計上分が7671億円、環境省計上分が939億円となり、総額は25年度当初予算比57.6%増の8610億円となった。加えて、経産省はGX産業立地やGX構造転換などの施策で事項要求、年末の予算案決定に向けて上積みを行う予定だ。

■省エネ投資と蓄電池支援、次世代革新炉拡充
 26年度における「GX推進対策費概算要求」の施策一覧を右記に示した。これらはすべて継続予算だ。経産省分は、@省エネ投資促進・需要構造転換支援事業(前年度当初比1050億円増)、A次世代革新炉の技術開発・産業基盤強化支援(384億増)、B系統用蓄電池等の電力貯蔵システム導入支援(322億増)、C排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業(229億増)、DGXサプライチェーン構築支援事業(182億増)――の順で大幅な増額要求となった。
 @の省エネ投資促進は、工場・事業場への先進的省エネ設備やエネ管理システムの導入及び電化・脱炭素燃料等への転換を支援する。特に中小企業に対しては補助率を1/2(大企業1/3)に優遇、一定要件を満たせば2/3(1/2)まで引き上げる。
 Aの次世代革新炉は、高温ガス炉実証炉開発(高温工学試験研究炉による水素製造と実証炉開発)に628億、高速炉実証炉開発(ナトリウム冷却タンク型高速炉)に572億、次世代革新炉開発・建設等支援事業に73億を充てる。いずれも2030年半ばから40年にかけての実現を目指す。

■官民投資8兆円を想定、4000万tCO2削減  Bの系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援は、電力系統に直接接続する系統用蓄電池や再エネ電源併設蓄電池、業務・産業用蓄電池、その他の大規模電力貯蔵システム導入に対して補助する。

2026年度GX推進対策費概算要求(単位;億円、カッコ内前年度当初予算)
 <経済産業省計上分>
 ○省エネ投資促進・需要構造転換支援事業費補助金1810(760) ○次世代革新炉の技術開発・産業基盤強化支援1273(889) ○クリーンエネルギー自動車導入促進補助金1050(補正1100) ○GXサプライチェーン構築支援792(610) ○高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネ推進事業費補助金550(補正580)○排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援485(256) ○再エネ導入拡大に向けた系統用蓄電池等の電力貯蔵システム導入支援472(150) ○GX分野のディープテック・スタートアップ支援185(300) ○次期航空機開発等支援150(81) ○持続可能な航空燃料(SAF)製造・供給体制構築支援100(278) ○自律型資源循環システム強靭化促進73(30)○カーボンプライシング運営事業38(31)

  <環境省計上分> [/以降は当該省との連携事業]
 ○特定地域脱炭素移行加速化交付金701の内70(385の内60) ○ペロブスカイト太陽電池社会実装モデル創出導入支援/経産・国交50(50) ○業務用建築物の脱炭素改修加速化事業/経産・国交60(12) ○スコープ3排出量削減のための企業間連携による省CO2設備投資促進事業30(20) ○商用車、建機の電動化等促進事業300(400)/経産・国交 ○ゼロエミッション船等建造促進事業/国交229(102) ○先進的な資源循環投資促進事業/経産200(150)


(以下については本誌2838をご参照ください)



第2レポート 次の記事 前の記事

…今夏需給安定にPVと地域連系線増強が寄与。新指針で予備費新設も

猛暑でも電力供給順調、寄与した連系線整備費で新指針案


 2025年6〜8月は観測史上最も暑い夏だった。それにもかかわらず政府は節電要請や電力需給逼迫警報を発令しなかった。太陽光発電(PV)の貢献や地域間の電力融通などが功を奏し、猛暑でも電力需給運用にトラブルがなかった。
 一方で、電力広域的運営推進機関(広域機関)はさらなる地域間連系線増強の事業環境整備を推進している。

■猛暑8月のPV供給力は最大2766万kWに
 気象庁は9月1日、日本の6〜8月平均気温が平年より2.36℃高かったと発表した。これまで過去最高だった24年、23年の1.76℃高を大幅に上回り、統計を開始した1898年以降の夏として最も高い記録を更新した。夏の平均気温の地域平均平年差は北日本で3.4℃高、東日本で2.3℃高、西日本で1.7℃高で、いずれも統計を開始した1946年以来の最も暑い夏だった。
 史上最高の夏にもかかわらず、政府は今夏に企業と家庭への節電要請や電力需給逼迫警報を発令しなかった。PVの増加、送配電系統網の地域間連系線増強によって地域間融通がしやすくなったこと、関西や東北、中国エリアでの原発再稼働などが大きく貢献したと見られる。
 電力広域的運営推進機関の試算によると、25年8月の全国の電力供給力は最大1億8615万kWで、直近に節電要請した22年8月から5%増えた。今夏の供給力増にはPVが貢献、広域機関は今年8月でのPV供給力を最大2766万kWと試算している。



(以下については本誌2838をご参照ください)


ジャンル別週間情報
前の記事

GI基金、タンデムPVとEEZ風力で千億超え

釧路市がメガソーラー条例案、環境省に法整備要請

三井住友銀、地産地消バイオマス電力を導入

米核融合に日本12社が資金、30年代前半商用化

PVパネル再資源法案修正へ、費用負担を再検討




戻る
【TOP】 【今月のキーワード】 【エネ環ダイジェスト】
【書籍紹介】 【最新号見出速報】 【今週の注目記事】 【記事データベース】
【こぼれ話】 【省エネ・新エネ】 【出版物案内】 【本誌紹介】 【会社概要】 【リンク集】
ML> m">【リンク集】 ML> ML>