週刊「エネルギーと環境」 毎週木曜日発行

今週の注目記事


No.2843.10.16




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…対象事業者は豊田通商・愛知製鋼・レゾナック・日本触媒など。数十億規模?

低炭素水素等の値差支援2 事業初認定、今後も続々決定



 「水素社会推進法」の下で30 年に最大300 万t、40 年1200 万t 程度、50 年2000 万t の導入を目指す低炭素水素等( 水素、アンモニア、合成メタン、合成燃料を想定) の価格差支援対象事業者に、豊田通商筆頭の水素製造供給SPC ( 特別目的会社) とレゾナックなどによる二つの事業計画が9月30 日、資源エネルギー庁から初めて認定された( 先週号既報)。今年3月末までに申請のあった計27 件の中から外部の有識者で構成する第三者委員会の意見も踏まえて認定されたもので、資エ庁は引き続き審査・認定作業を進める。
 今回認定された2事業計画は、愛知県東海市を製造拠点とする陸上風力電気活用による水の電気分解から得られる水素製造と、廃プラスチック+ 廃衣料をガス化→水素化して低炭素のアンモニアを製造する技術で、いずれも見通しが立っていない中高温域の熱利用における脱炭素化対応だ。

グリーン水素製造と廃プラの資源循環利用
 「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律」と長いタイトルが正式名のこの法律(2024 年5月制定) には、供給側と需要側が一体となって策定した事業計画を「認定基準」に基づき認定する制度。その価格差に相当する部分を国が補助支援する。これに加えて基準価格に積算可能な「拠点整備支援」があり、輸送・貯蔵分野におけるタンク・パイプライン・内航船等の調達費用も支援対象となる。
 現在、資エ庁が想定している支援規模は約3 兆円とされており、財源はGX経済移行債による基金を充当する。認定に際しての評価項目は「政策的重要性」と「事業完遂見込み」の二つが柱で、前者は産業競争力の強化・経済成長、CO 2 等排出削減、後者は事業計画の確かさ、国と企業のリスク分担の整理に基づく計画の妥当性が問われる。支援期間は供給開始後15 年間で、支援終了後10 年間の供給継続が条件だ。

◇豊田通商: グリーン水素案件の事業計画
 〇事業概要…陸上風力発電所からの電気を豊田通商等が出資する製造SPCが調達。愛知製鋼知多工場で水の電気分解に活用し水素を製造。製造した水素は特殊鋼加工工程の加熱炉で利用、特殊鋼を製造。遠隔地の再エネから水素製造を行うモデルでエネ自給率向上に貢献。水電解装置はGXサプライチェーン構築支援事業に採択済みのトヨタ自動車・千代田化工製を予定。愛知製鋼は電炉業界初のグリーン鋼を製造予定。
 〇供給事業者…水素製造供給SPC ( 豊田通商、ユーラスエナジーHD、岩谷産業) 〇利用事業者…愛知製鋼  〇低炭素水素等…水素 〇供給量…約1600t/ 年
 ◇レゾナック: 水素・アンモニア案件の事業計画
 〇事業概要…廃プラスチック及び廃衣料をガス化し、得られた水素を原料に低炭素アンモニアを製造。主要利用者もレゾナックで繊維原料となるアンモニア誘導品( アクリロニトル) を製造・販売して資源循環を目指す。廃プラという都市資源を活用しエネ自給率向上に寄与。荏原製作所及びUBEの廃プラガス化技術を活用し国内初となる廃プラ100%のプラント運転目指す。
 〇供給事業者…レゾナック 〇利用事業者…レゾナック、日本触媒 〇低炭素水素等…水素・アンモニア 〇供給量…約2 万t-NH3/ 年


(以下については本誌2843をご参照ください)



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…アルミリサイクルの活用推進と給湯器製造過程の廃材を農地利用

LIXILとノーリツ、サーキュラーエコノミー実践


 環境省の再資源化事業等高度化法、経産省の改正資源有効利用促進法の全面施行に合わせて、企業の循環経済への移行が加速している。関連企業は自社のCO2等排出削減の一環として、サーキュラーエコノミー事業を具体化させつつある。資源循環の高度化はカーボンプライシングと並ぶGX の重要戦略であり、資源の有効利用は日本の成長戦略と気候変動対策を担う。

■循環型低炭素アルミ使用全製品に順次拡大
 建築材料・住宅設備機器国内最大手のLIXI Lは、アルミ新地金のみで製造した場合と比較して原材料の調達から製造までのCO2排出量を約50%削減する循環型低炭素アルミ「PremiAL」を今年10 月から、同社のアルミ形材を使用している全製品に順次展開する。対象の製品はビル・店舗用サッシ、玄関ドア、シャッター、インテリア建材など幅広い。製品価格は据え置きという。PremiAL はリサイクル業者からの調達や製品加工の過程で生じた端材などのリサイクルアルミを6 割以上使用し、残りは海外から輸入したアルミ新地金を使う。
 同社は世界でも有数のアルミリサイクル技術を活かし、これまでリサイクルアルミ使用比率70% の「PremiAL R70」と100 % の「PremiAL R100」を、非住宅中心の一部製品で受注生産していた。その後同社の生産技術の革新と管理方法の改善により、アルミ形材を使用している全製品にリサイクルアルミ使用を拡大できるようになった。
 脱炭素社会の実現には、全世界のCO2排出量の37%を占める建設部門での排出量削減が不可欠だ。それに伴い、建築業界はもちろんのこと輸送関連など様々な業界で多く使われているアルミの低炭素化が喫緊の課題となっている。
 電気の缶詰と呼ばれるアルミは、原料のボーキサイトから地金製錬するのに膨大な電力を必要とする。アルミ製品の環境負荷を減らすためにポイントとなるのが、新地金を使用しないリサイクルアルミの活用推進だ。アルミは他の金属と比べると融点が低いため、少ないエネルギーで溶解して再資源化できる素材でもある。



(以下については本誌2843をご参照ください)


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