今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード
[過去4〜19 回までの今月のキーワード]


自民党総裁選とカーボンニュートラル
2021/10/01(Fri) 文:(水)

 今月29日に投開票する自民党総裁選が連日マスコミを賑わしている。9月12日現在、立候補者は岸田文雄・前政調会長(64歳)、高市早苗前総務相(60)、河野太郎規制改革担当相(58)となっているが、下馬評では岸田氏と河野氏のいずれかが選ばれる公算が大きいとみられている。
 岸田氏は外務大臣を4年半以上無難に務め上げ、党の要職もこなしてきていることから新政権の安定運営への期待が高いが、コロナに代表される“乱世時代”を乗り越えるリーダーとしてのパワーにやや疑問符が付く。一方、河野氏は行動力と突破力には定評があるが、独りよがりや木を見て森を見ないところがあり、日本の最高権力者になった場合に大丈夫かという指摘がある。河野氏が長年持論としてきた「原発ゼロ」などの考え方を最近封印したのも、派閥幹部の説得を受け入れた結果とみられる。
 総裁選の政策論争で大いに論じてほしいのは、昨年の菅政権誕生以来わずか1年の間に次々と打ち出した気候変動対策を継続するのかどうか、さらにその具体的な政策をどう国民に共感してもらうかであろう。昨年10月の菅首相による2050年カーボンニュートラル宣言を皮切りに国会では与野党一致のもとで「気候非常事態宣言決議」が採択され、2030年の中間目標としたCO2の46%・50%の設定(2013年排出量比)、今年4月の気候サミットにおける菅首相による同様の国際約束と全国100以上の地域で脱炭素社会の実現を目指すとした方針提示など枚挙にいとまがない。
 これだけ国政の環境・エネルギー対策で従来の延長線にない思い切った決断をした首相はこの半世紀で初めてだろう。すなわち、こうした決断は環境の持つキャパシティーが人間の経済活動を御することを意味し、最上位にあった経済政策が環境政策にとって代わることを意味する。エネルギー対策もしかりだ。しかし、わが国はまだ時の政治トップが気候変動対策に最優先で立ち向かうという“決意表明”とその方向性を示したに過ぎず、国民の痛みを伴う社会の構造改革はこれからだ。
コロナ対策での国民の不満と「選挙に向かない顔」として退陣に追い込まれた菅首相だが、一時の人気度とこれから20〜30年は続くであろう気候変動対策の礎はどちらが重要なのだろうか。



生まれてくる子どもたちに安全でおいしい空気を
2021/09/14(Tue) 文:(山)

 今号の特集は「脱炭素社会に挑む住宅・建築物」です。脱炭素社会とは地球温暖化の原因(温室効果)とされる二酸化炭素(CO2)などの排出量をできる限り減らして、実質ゼロに近づけようということです。かつては「低炭素社会を目指そう」という言い方もありましたが、いまでは地球温暖化を食い止めるためにはCO2の排出をゼロ、つまり脱炭素が欠かせない状況になってきたということだと思います。
 なぜこんなことになったか。モノの本によれば、私たち人間の活動により温室効果ガスが増えたことが原因ではないかと考えられているそうだ。もちろん、現在を生きている私たちのせいでもあるのだろうが、それだけでなく、産業革命以降、石炭や石油などの化石燃料の利用や森林の伐採などにより、大気中の温室効果ガスが増加したということではないかという気もする。
 でも、いまさら何年も前のことを云々してもなにも始まらない。私たちはここでひとつ脱炭素社会実現に向けて踏ん張らなくてはならないところにいるようだ。脱炭素社会とはCO2の排出が実質ゼロとなる社会のことである。そのため、まずは、CO2の排出量を可能な限り減らし、脱炭素社会の実現に向かうことが、地球環境を守るために重要になるのだろう。
 脱炭素社会という言葉が掲げられる以前は、低炭素社会というあり方が目指されていた。低炭素社会はCO2の排出量が低い水準に抑えられた社会のことで、基本的な考え方や目的は脱炭素社会と同じである。しかし、低炭素社会の実現に向けて設定された目標は、地球温暖化を止めるためには不十分だった。そこで、CO2の排出量を減らすだけではなく、実質的にゼロの状態を目指すために掲げられた考え方が脱炭素社会である。
 「言うは易く行うは難し」の典型のような話だが、これから生まれてくる子どもたちが、安全かつ、おいしい空気を存分に吸い込んで、のびのびと成長できるような世の中になるよう、今を生きる私たちが脱炭素社会の実現に向け、もうひとがんばりしようではありませんか。



東京五輪、人々に行動変容を起こせたのか
2021/09/01(Wed) 文:(M)

 54歳の現役プロサッカー選手、三浦知良さんが著書「カズのまま死にたい」(新潮新書)で、欧州出身選手から「欧州と守備のやり方がだいぶ違う。日本に慣れないと」と言われたエピソードを紹介している。カズさんは「ん?僕らはさんざん欧州の映像を見て、ラインの作り方や押し上げ方をそっくりにしているのに。なのに『違う』って」と首をかしげる。
 現代のサッカーは個人技よりも戦術が注目される。パスで相手の陣形を崩すチーム、守備を固めながら隙を突いて攻勢に出るチームなど、戦術は多様化している。日本のサッカー界は欧州から戦術を学んできたはずだが、本家から見ると「違う」という。カズさんは「日本人の考える戦術と彼らの指す『タクティクス』とは、意味合いや中身が微妙にずれているんじゃないかな」とも述べている。
 日欧の“ズレ”はスポーツの社会的な位置づけにも現れている。日本でスポーツは夢や希望を与える存在だろう。8日に閉幕した東京五輪にも多くの国民が選手の活躍に感動し、結果に歓喜した。一方の欧州ではスポーツにサステナビリティ(持続可能性)も求める。特にプロスポーツには環境や社会の課題解決に市民を導く役割を期待している。多くの人を魅了する影響力があれば、人々に行動変容を起こせるからだ。
 実際、欧州スポーツ界は動きだしている。英サッカーのプレミアリーグは所属クラブのサステナビリティを順位づけしている。クラブもESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みがスポーツビジネス参加の条件となった。気候変動対策にも熱心だ。欧州サッカー連盟(UEFA)はカーボンオフセットによって、欧州選手権開催に伴う40万tの二酸化炭素(CO2)排出量をゼロ化している。日本でも1試合や2試合の単発のゼロ化はあるが、UEFAは全試合を対象に、会場を訪れた観客の飛行機やマイカーの排出もオフセットしており、本気度が違う。
 日本は今、欧州発のESGや脱炭素政策に取り組む。サッカーの戦術のように本家からは「違う」と映るかもしれない。欧州を完全コピーする必要はないだろうが、学ぶべき点はある。巨費を投じた東京五輪は、国民に気候変動対策を働きかける絶好のチャンスだったかもしれない。



「豊かさ」の再定義求めた経産省若手グループ
2021/08/05(Thu) 文:(水)

 菅政権は6月に経済財政運営の指針である「骨太の方針」とともに、2050年のCO2等実質ゼロに向けた「グリーン成長戦略」を政府の実行計画として策定した。実行計画ではアンモニア・水素や次世代太陽光、洋上風力など14分野における技術の実装化と政策の行程表を明示、環境対策(温暖化対策等)と経済成長の一体化が強調された。その中に「グリーン成長に関する若手ワーキングの提言」という他の項目とは異質なものが盛り込まれていた。
 その骨子は、カーボンニュートラル(CN)の実現に向けていかなる基本政策を今後重視すべきかをまとめたもので、「豊かさ」の再定義ととともに具体的な行動として、▽サステナブル指標の設定、▽行動の可視化、▽炭素循環プロセスの構築、などを提起していた。特に目を引いたのは、この半世紀以上続くGDPに匹敵する指標として、経済の持続可能性を表す新たな「サステナブル指標」の設定を提案したことだ。指標のイメージ案としては、RE100取得企業数/SBT認定取得企業数/自社製品の資源循環率、そしてユニークなのは「2050年に住みたい国(子供を産みたい国)と答えた高校生の割合」で、若手グループならでの着想といえよう。
 こうした結論にたどりつくまでの延べ4回の議論では、誰の何を守るためにCNに取り組むのかなどの答えのない問いにぶつかり、結局は“やらされ”ではなく“自分ゴト”としてCNに取り組める環境をつくること、そのためには個人の価値観の多様性を踏まえ「なぜやるのか」を腹落ちする複数の軸が必要、との集約になったという。
 一方、今回のグリーン成長戦略は依然としてさらなるGDPの拡大を前提にしたCNの実現である。温暖化対策はそれが「成長に資するのかどうか」が是非の判断基準とされており、この若手グループ提言とは大きな距離がある。しかも、常に政策展開の最大目的に経済成長の拡大を置いてきた本家本元の経産省の方針に異論を挟んだ行動が面白い。外部の人も含めて平均年齢30歳という若手グループの事務局を務めた蓑原悠太朗氏に本省からの圧力はなかったかを聞いたところ、「残念ながらありませんでした。引き続き検討を重ねるようにというお達しでした」との予想外の答えが返ってきた。



「コロナだけでなく人間ウイルスにもご注意を」
2021/07/21(Wed) 文:(山)

 コロナウイルス感染者は5月9日に7017人だったが、6月21日には1011人とだいぶ減ってきた。しかし、これまでも感染者数は山谷を繰り返しており、まだまだ安心できる状態とはいえないようだ。働く人たちや学生は家にこもっているわけにもいかないので、もうしばらくは、それぞれが万全のコロナウイルス対策を講じて頑張るしか方法はないのだろう。
 コロナウイルス対策として、政府は人と人との距離を取るソーシャルデスタンス、家やオフィスの換気、マスク着用、咳エチケット、睡眠などでの健康管理、石鹸による手洗いなどが重要だという。確かにコロナの感染経路は飛沫感染や接触感染であるから、その通りだろう。いずれにしても新型コロナワクチン接種の順番が待ち遠しい限りである。
 コロナウイルスもやっかいだが、最近、もっとやっかいな“人間ウイルス”が跋扈しているようだ。「オレオレ詐欺」「母さん助けて詐欺」「振り込め詐欺」などの詐欺グループである。コロナ禍で職を失った人達がやむを得ず詐欺行為に加担しているのかどうかはわからないが、いずれにしても大変な犯罪であることは間違いない。
 警察によると、あたかも警察官や刑事の役を巧妙に演技して、犯罪にあった人を救うように見せかけて金品をだまし取る手口が多発しているそうだ。警察では「警察関係者なら必ず警察手帳を持ち歩いているはずなので、しっかりと相手の身分を確認することが大事です」という。
 とはいえ、警察官相手に「警察手帳を見せてくれ」というのはちょっと躊躇しがちになるのも人情だろう。もしかしたら気の利いた犯人なら、警察手帳もどきを作っているかもしれない。結局は私たちそれぞれが騙されないように注意するしかないのだろう。
 さて、コロナウイルスや詐欺などありがたくもない話が続きましたが、今号の緊急レポートは「脱炭素行程表でドミノ」と「漂流するエネ基本計画改定とアンモニア・水素の台頭」です。そのほか「おらがまち電力」に3.11で打撃を受けた宮城県女川町の市民共同発電所の心温まる物語など、盛りだくさんの内容です。コロナに負けず、取材に健闘した記者たちのレポートをぜひともご愛読いただければと思います。



「おもちゃ病院」と循環経済の共通性
2021/07/08(Thu) 文:(水)

 東京の江戸川区には故障して動かなくなった子供のおもちゃを修理して、持ち主に返してくれる「おもちゃの病院」(えどがわエコセンター)があって好評だという。病院の“ドクター”ならぬ修理してくれる人は製造メーカーのOBさんたちで、持ち込まれたおもちゃを診察、場合によっては入院・手術して子供たちの手に戻ってくるという。元に戻った姿でおもちゃが返ってきた時の子供さんや親の大きな喜びの表情が浮かんでくる。
 修理の料金は基本は無料だが、部品等の交換が必要なケースは部品代、材料代として実費請求される。こうしたユニークな病院はこの江戸川区だけかと思ったが、なんと全国組織のボランティア団体として活動している「日本おもちゃ病院」という任意団体があって、現在もドクターの養成や情報・技術の交流などの活動を行っているという。子供のおもちゃはそれが一旦気に入りられると執着して手放さない癖があるが、修理システムを用意してあげることによって長持ちさせ、結果的にはリユースにつながり、資源の効率的活用や循環経済を自ら実践している素晴らしい事例ともいえよう。
 いつの間にか、わが国経済は大量生産→大量消費という工業社会のシステムが確立して、ものを大切にする基本である修理や長持ちさせるという日本古来のよき伝統をどこかに忘れてきてしまっている。例えば、家電製品や携帯電話などの電子機器が氾濫しているが、それらを修理に出そうにも、街中には引き受けてくれる電気屋さんも少なくなり修理代も高い。
 今通常国会では環境省が提出した改正地球温暖化対策法の規制強化やプラスチック資源循環促進法などが成立して、2050年に向けたゼロカーボン社会づくりとともに限りある資源を徹底的に有効利用するというあらたな社会づくりが始まった。それを少しずつ前に進めるためには制度的な対応も大事だが、こうした草の根的な“もったいない”活動が何よりも人々の共通認識になって欲しい。少なくとも、最近EUが提示しているサーキュレート・エコノミーというハイカラな横文字よりはよほどましではないだろうか。
(編注:本記事では江戸川区の団体=足温ネットの発行する「あしもと通信98」から内容を一部引用しています)



ゼロカーボンシティ実現の取り組みを急げ
2021/06/22(Tue) 文:(山)

 世界中がこの1年半あまり、コロナウイルスに振り回されながら6月をむかえた。今年2〜3月頃には収まりつつあるのではと期待したが、3月の終わりころから感染者の数が再び急激に増えてきた。せっかくワクチンを輸入したのだから、個人的にはとっととワクチンを接種したいと思ったが、順番があるようで、ようやく7月末に1回目の接種を受けられそうだ。それまではウイルスと接触しないように気を付けて生活しなければならない。
 話は変わるが6月といえば梅雨、コロナウイルスだけでも鬱陶しいのに雨の日が続くようだと更に鬱陶しさが増す。とはいえ、それは都会で生活する人の考えで、稲作などの農業にとっては田植えの後の稲の成長を促す「恵みの雨」である。雨が稲の成長と同時にコロナウイルスを海のむこうに流してくれるように働けばよいのだが、そう簡単にはいかないだろう。
 日本気象協会によれば、今年は梅雨前線の北上が早めで、活動が活発になりやすい。九州や四国、本州も長雨の季節に入った。関東地方以北を除いて梅雨入りが平年よりも一ヵ月も早かった。
 本号の特集は「CO2等2030年46%超削減の衝撃」です。つまり2030年までに温室効果ガスを46%以上削減し、再生可能エネルギーによって稼働される都市、すなわちCO2排出量が少なく、地球環境に害を及ぼすことが少ない都市を増やさなければいけない。環境省では2050年に温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロにすることを目指す旨を首長が公表した自治体をゼロカーボンシティとしている 。
 政府は2050年までのカーボンニュートラルの実現を法律に明記することにより、政策の継続性・予見性を高め、脱炭素に向けた取り組み・投資やイノベーションを加速させるとともに、地域の再生可能エネルギーを活用する脱炭素化の取り組みや企業の脱炭素経営の促進を図る「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案」が5月26日成立した。
 「言うは易く行うは難し」のような気もするが、ぜひ実現していただきたい。政府にとっては当面のコロナ対策とともに、最も重要な取り組みといえるのではないかと思う。



温室効果ガス排出量「30年46%減」の持つ価値とは
2021/05/31(Mon) 文:(M)

 「羽生にらみ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。プロ棋士の羽生善治さんが対局相手をにらんだ眼光が鋭いため、こう表現されるようになった。「盤面を集中して読んでいる状況で顔を上げたに過ぎない。何気なく見ているのだ」と羽生さんは著書『決断力』(角川新書)で弁解している。
 菅義偉首相が決断し、日本の2030年度の温室効果ガス排出削減目標を13年度比46%削減にすると表明した。現状の26%減よりも大幅な引き上げとなる。何十手も先を読んで最善の一手を決断する羽生さんのように、首相も集中して熟考したのだろうか。
 羽生さんは同じ著書で、「『まだその時期じゃない』『環境が整っていない』とリスクばかりを強調する人がいるが、環境が整っていないということは、逆説的にいえば、非常にいい環境だといえる。(中略)リスクの大きさはその価値を表しているのだと思えば、それだけやりがいが大きい」と述べている。リスクが大きいほど、挑戦して克服した時に得る価値も大きいということだ。
 では新しい目標の「46%減」は、環境が整った上での決断だったのか。現状の最大限の努力でも40%減が限界だったと言われている。菅首相自身は「積み上げた数字で全力を挙げれば、そこ(46%)が視野に入った」と説明する。何とか「46%減」に到達できる環境が整ったということのようだ。
 では「46%減」に大きな価値があるのか。首相表明の翌日、小泉進次郎環境相は「政府が明確な意志と覚悟を示すことで民間のESG(環境・社会・企業統治)金融を動かす」と発言した。民間の投資を誘導する旗印として、高い目標を掲げる価値があるという。
 では「46%減」は、国民にとってどれだけの価値がある数字なのだろうか。巨費を投じて目標を達成したとしても、企業が疲弊し、国民生活にも大きなしわ寄せが出たらどうだろう。菅首相は成長戦略やイノベーションを強調するが、国民生活がどのように豊かになるのかが伝わってこない。積み上げの中身(削減の内訳)はもちろんだが、46%減が持つ価値を説明してほしい。価値がわからなければ、企業も国民も高い目標に向かって排出削減に取り組む意欲が沸かない。



子どもたちを考えるとやはり再生エネが一番
2021/05/06(Thu) 文:(山)

 4月も半分が過ぎました。小学校、中学校、高校、大学の新入生も、新しい環境に慣れて勉学に励むとともに、新しい友人ができて、皆でスポーツなどにも取り組んでいるのではないかと思います。ただ、4月29日から5月5日までは4月30日と土曜日の5月1日(メーデー)を除いて長い休日があります。
 大きなお世話かもしれませんが、学校が始まって1ヵ月足らずでこれほど休みが多いというのはいかがなものかという気がします。もちろん働く人たちには体を休めるとか、家族旅行するとか、結構なことなのだとは思いますが…。
 エコノミックアニマルと揶揄された働きずくめの日本のサラリーマンにとっては旗日が多いことはありがたいことでしょう。ですが、少なくとも「昭和の日」はいらないのではないでしょうか。さらにいえば、「みどりの日」「スポーツの日」などもいらないように思います。旗日を増やせば、おそらくその分、別の日に仕事量が増えるだけということになりかねません。
 突然、話しは変わりますが、本号の特集は高層ビルや商業施設のなどの電気を再生可能エネルギー100%にしようと取り組んでいる企業を紹介しています。再生100%エネとは、これまで化石燃料と呼ばれる石油や石炭、天然ガスなどを使っていたのに対し、太陽光や風力、水力、地熱といった自然界に存在するものを使って再生エネルギーに変換しようということです。
 化石燃料は燃焼により、環境汚染物質が排出されるし、世界中で使うようになれば、やがては枯渇することも考えられます。一方、再生エネは環境汚染物質の排出はないので、環境にやさしく、文字通り“再生可能”で、太陽と地球がなくなるまではどんなに使っても枯渇する恐れもありません。また、日本は幸か不幸か、化石燃料資源はほとんどなく、ほぼすべてを海外に依存している状況です。万一、産油国などで戦争でも起これば大変なことになりかねません。長い目で見れば、お金を払って化石燃料を輸入するよりも、太陽光や風力などの“再生可能”なエネルギーを着実に増やしていく方がよいのではないでしょうか。
 再生エネの大量普及にはまだまだ難しいところもあるとは思います。でも、日本の産業や国民の生活、将来を支える子どもたちのことを考えると、再生エネの大量普及が何よりも重要ではないかと思われます。



我が国LNG利用に備蓄体制構築が不可欠
2021/04/14(Wed) 文:(水)

 昨年末〜年初早々にあった電力の需給逼迫と卸取引価格高騰の要因が次第に明らかになってきた。経済産業省の有識者検討会議(3月26日開催)に提出された資料では、▽需給逼迫の要因は断続的な寒波による大幅な需要増、▽LNG在庫減によるLNG火力の稼働抑制、▽石炭火力のトラブル/渇水による水力利用率低下/太陽光発電の出力変動、などを指摘している。
 新電力大手のFパワーが倒産(約460億円の負債)に追い込まれるなど卸取引価格の高騰については、スポット市場価格が1月に入ってから1日(48コマ)平均で100円/kWhを超える日が出現したほか、最高価格が154.6円を記録した日もあった(通常は10円前後)。一部報道では旧一般電気事業者(9社)による売り惜しみなどが疑われたが、電力・ガス取引監視等委員会は調査分析の結果、そうした問題となる行為は確認されなかったと結論づけている。
 ここで注目したいのは逼迫期間中に在庫不足となったLNG燃料の安定確保が極めて脆弱な体制となっている実態である。今回はコロナ禍影響やLNG火力の焚き増しによって約250万t弱あった在庫量が約150万t近くまで落ち込み、たちまち需給逼迫を招いたが、年間のLNG輸入量約7650万tに較べてあまりにも低い水準過ぎる。在庫量の少なさは自由化による競争激化に伴い電力・ガス各社が余計な在庫を持たないというコスト削減のためだが、それが常態化しており今後も同じ事態を招く可能性がある。しかもLNGの場合、スポット物を手当てしても需要地に届くまでには2ヵ月弱を要するだけでなく、それを調達するまでの海外との折衝もすさまじい労力だったようだ。
 2030年に向けたさらなるCO2削減要請、既設石炭火力のフェードアウトと再生エネ電源の拡大による調整電源の確保、原子力発電の再稼働遅れによって今後ますますLNG火力の重要性が高まる。加えて気候変動による災害多発や東南海地震なども想定されるほか、東京湾などに入るLNGタンカーの過密化問題もある。あれだけ縦横にガスパイプライン網を張り巡らせている欧州でさえ塩田跡地で数ヵ月分を天然ガスとして備蓄しているという。
 日本は20年以上にわたって原油中心の国内備蓄体制一本鎗を、既得権益があるためか頑迷に変えようとせず先日の経産省のまとめも旧態依然の内容だ。LNG(天然ガス)の備蓄体制構築が本当に不可能なのか一刻も早く検証すべきである。



コロナに振り回された今年度もあと半月
2021/03/25(Thu) 文:(山)

 新型コロナウイルスに振り回された今年度もあと半月で終わる。できれば今年度の終了とともにコロナウイルスも地球での活動を卒業して別の星にでも移動していただきたいところです。
 コロナウイルスの新規感染者数は1月9日の7855人に比べると、減ってきており、3月3日は852人とようやく1000人を下回った。4日は1192人と4ケタに戻っているが、ピーク時からはだいぶ減りつつあるようだ。このまま感染者数の減少を続けて、近いうちにゼロにもっていけたらと思う。
 NHKのまとめによると、3月6日23時59分の時点で新たに確認された東京都の感染者数は293人だが、東京都と境を接する山梨県はゼロ人となっている。ちなみに感染者ゼロ人は14県、感染者一人の県は7県となっている(3月6日時点)。
 弊誌記者はコロナ禍の東京を中心に取材に飛びまわっているが、幸い、弊社ではコロナウイルスの罹患者は出ていません。とはいえ、個人的には早くワクチン接種してほしいと思うのですが、摂取した女性がアナフィラキシーというアレルギー症状に見舞われたことを聞くと、ちょっと怖い気もします。
 本号は「再生エネ新制度を占う」としましてFIT改定と新たに始まるFIP制度、未稼働案件問題を特集しています。FITとはFeed−in−tariffの略で、日本では固定価格買取制度といいます。再生可能エネルギーで発電された電気を国が定めた価格で一定期間電力会社が買い取るように義務づけたものです。
 一方、FIPとはFeed‐in‐Premiumの略で、再生可能エネルギー発電事業者が発電した電気を卸電力取引市場や相対取引で売電をした場合に、基準価格(FIP価格)と市場価格の差額をプレミアム額として交付する制度です。FITでは市場取引が免除されていますが、FIPでは市場取引が基本となります。ちょっとわかりにくいかと思いますが、詳しくは本号の特集をご覧いただければと思います。
 今年度もご購読いただきました皆様のおかげをもちまして、無事に終わることができました。厚く御礼申し上げます。4月からの新年度ではより一層、充実した紙面の作成に努めます。来年度も「創省蓄エネルギー時報」をご愛顧いただきますよう何卒宜しくお願いいたします。



脱炭素転換で迫られる国の資源政策
2021/03/11(Thu) 文:(水)

 2月9日付け読売新聞朝刊の一面トップに、「資源調達『脱炭素』柱に」という大見出しが踊っていた。これを見て小生は何を今さら、遅すぎるとの思いを持った。紙面の中身を大略すれば、政府は化石燃料主体を対象にしてきたわが国の資源調達の重点分野を水素や希少金属(レアメタル)などの確保に転換する方針を固め、政府が検討中のエネルギー基本計画の改定に盛り込むという内容だ。本格的な議論が始まるエネルギー基本計画の改定では、おそらく再生可能エネルギーや原子力などの非化石エネ割合をどこまで引き上げるか、その際に国家としてのエネルギー安全保障をどこまで確実に担保するのかが大きな論点になるだろう。
 遅すぎるというのは、再生エネシフトや脱ガソリン車が国際的潮流のみならず日本でもこれだけ示されているのに、石油の国家+民間備蓄などに年間1200億円近くの国費投入を依然として続けていることだ。もう一つ今のエネルギー安全保障が役に立っていない典型が最近あった。この年末年始の電力供給で積雪・厳寒により全国で需給が逼迫、電力広域的運営推進機関は大手電力各社に延べ218回にわたって広域融通を指示するという綱渡り状態が発生した。電力の卸取引市場の取引価格も高騰、一時は通常取引価格の20倍以上という水準となった。その主因の一つは主力電源であるLNG火力の輸入燃料確保が間に合わない事態に直面したためという。端的に言えば、わが国がとってきた原油中心の備蓄体制がほとんど役に立たなかった。
 普通に考えれば、これだけLNG火力が主力電源化していれば天然ガス備蓄という発想になるはずだが、それは技術的・コスト的に見合わないとしてまともに検討すらされなかった。すでに欧州では塩田跡を使った半年分程度の備蓄している事例があるし、わが国でも新潟県のガス・石油採掘跡を天然ガス備蓄に活用する構想もあったが立ち消えとなってしまった。本来こうした先見的対応をすべきなのはJOGMECを筆頭に、国が大株主の国際石油開発帝石(INPEX)や石油資源開発のはずだが、いずれも経産省等からの天下り官僚が長年実質支配して国益ではなく省益優先の経営となっているからだ。1日も早い体制見直しが必要であろう。



「低CO2化」への移行、今を生きる私たちの責務だ
2021/02/16(Tue) 文:(山)

 地球規模の気温上昇が起こる地球温暖化の原因は人間の活動による温室効果ガスの増加と考えられている。いろいろな温室効果ガスがあるが、中でも二酸化炭素(CO2)はその筆頭で排出削減が求められている。「気候変動に関する政府間パネル」は第5次評価報告書で、このままでは 2100年の平均気温は温室効果ガスの排出量が最も多い最悪のシナリオの場合には最大4.8℃上昇するとしている。
 日本は1年で最も寒い時期で、かつコロナウイルスとの戦いが続いている。地球温暖化どころではないかもしれない。こんな時にでも子供たちや生まれてくる赤ちゃんにとって、CO2排出量が少なく気候温暖で安全かつ楽しく暮らせる未来を考えることが重要ではないだろうか。
 そのためのCO2排出削減のひとつは自動車燃料の改善である。現在、ほとんどの自動車がガソリンを燃焼させて走っている。その燃料は炭素と水素である。炭素と水素に酸素を加えて圧縮し、点火・爆発させて回転エネルギーとして自動車を動かしている。爆発によって、一酸化炭素や炭化水素、窒素化合物、二酸化炭素などが排気ガスとして出てくる。近年ではほとんどの自動車に触媒が設けてあり、こうしたガスが大量に車外には排出されないといわれるようだが、どうだろうか。排気ガスゼロの自動車が増えるといいのだが……。
 さらに問題はガソリンの税金である。ガソリン価格の半分近くが税金でもっていかれている。日本には優れた自動車メーカーがたくさんあるので、ぜひ、環境に負荷をかけない、かつ安全で税金のかかるガソリンを使わない自動車をどんどん作り出していただきたい。
 本号の特集は「トランジションとコージェネ」です。トランジションとは「移行」という意味で、ここでは着実な低炭素化、脱炭素化への移行ということになります。コージェネはコージェネレーションシステムの略で、排熱を利用して動力・温熱・冷熱を取り出し、総合エネルギー効率を高めるエネルギー供給システムです。
 自動車に限らず、化石燃料を使っている企業や役所、家庭なども含め、私たちは自分自身、そして次代を担う子供たちのためにも、着実な低CO2化への移行「トランジション」に取り組む必要があるのではないだろうか。



コロナ時代にも不可欠な脱炭素社会づくり
2021/02/02(Tue) 文:(水)

 2021年元旦の富士山はいつもの濃いブルーがかった頂上部分が幾重もの白い帯に覆われて堂々とたたずんでいた。山頂部分では風が尾根に巻き込こまれ、烈風の嵐になっている様子もなんとなく見える。いつも感動するのはそのきりっとした姿が、人々の生活の徒然をすべて受け入れる懐の奥深さと勇気を与えてくれるような優しい山容だ。実は小生の住んでいる所は東京多摩地域の多摩川沿いで、天気の良い日は場所によっては高台から富士山の山頂部分がよく見える。
 しかし日本の年末年始の風景は様変わりした。新型コロナウイルス感染の拡大を防ぐため恒例のご来光を拝むための終夜電車運行も中止となり、初詣も密を避けるとして自粛や一定の距離を保つ対応が普通になった。こうした社会現象はコロナウイルスの特異性からこの2〜3年続く可能性が高く、それに我々がどこまで耐え、一方で従来の社会経済構造をどうリデザイン(再設計)して新たな生活様式を生み出していくかが試されている。
 コロナ感染の発生と現在の気候変動被害の深刻さは同根という指摘がある。端的に言えば、両方とも自然環境への容赦ない侵蝕とあくなき経済の拡大至上主義がもたらした結果ということになろうか。今日社会のリデザインは小泉進次郎環境相が昨年後半に環境政策展開の柱として打ち出したものだが、今年はそのために地方の自治体や一定のコミュニティエリアにおいて「ゼロカーボン共同体」を試行的に構築していく具体的な施策展開を明言している。例えば長野県を筆頭に長崎県の壱岐市、岩手県の軽米町や福井県の大野町などだ。
 菅義偉首相は「2050年までにカーボンニュートラル」を実現する方針を示し、政府も政策総動員の対策を進めているが、小泉環境相の考えは30年先を待たずこの5〜10年の政策展開が目標実現を左右するとして、ミニ脱炭素社会の前例をつくるという。ただ、そこで追求してほしいのは従来のような外々に向けた経済の拡張主義ではなく、家族団らんや地域資源の再発見など内々に埋もれていたハッピー資源を再発掘することであろう。
 異常事態の新年ではありますが、本年も引き続きよろしくお願いいたします。



2兆円という「脱炭素社会経済」への手切れ金
2020/12/25(Fri) 文:(水)

 2020年のわが国は地球環境問題への対応で歴史的1年となった。菅義偉首相は10月の国会で「2050年までに全体としてカーボンニュートラルを実現する」と歴代首相として初めて宣言、あらゆる経済社会活動を変革していく方針を示した。国会もこれに呼応、衆参の全会派一致による「気候非常事態宣言決議」を採択、政府と国民に対して対策強化を強く求めた。30年先とはいえ、これからの国民生活に重大な影響を与えるこうした方針を霞が関が多用するカタカナ語で提示したのはいただけないが、現代版経済社会革命のスタートといっても過言ではない。
 では「脱炭素社会」とはどんな世界か。今は電気の7〜8割を化石燃料によって発電しているが、これを太陽光や風力などの再生可能エネルギーなどに転換するとともに、製鉄所や化学工場等の熱利用も電化と水素などに変え、自動車など移動機関もガソリンなどの車がなくなることを意味する。すでに欧米諸国が先行しており、2030年代に石炭火力の廃止やガソリン車の販売禁止措置、また50年までにゼロカーボンの実現を公約した国がすでに121ヵ国に上っており、わが国は後塵を拝している。
 今年のトピックに、スポーツ界ではプロ野球日本シリーズで巨人がパ・リーグ覇者のソフトバンクに完敗、しかも昨年の日本シリーズから同じチームに8連敗するという不名誉な新記録をつくった。その負け方もひどかったが、ある野球評論家は「パ・リーグの選手は大方の投手が投げる150キロ台の速球に目が慣れているが、セ・リーグの投手は大半が140キロ台のためそうした違いから巨人の打者は打てなかったのではないか」と分析していたのが印象的だった。
 つまりセ・リーグ全体の平均的な実力が落ち込んでいたにも関わらず、巨人はそのことに戦うまで気付かなかったということだろう。いわばセ・リーグ全体がガラパゴス化していたわけで、それは気候変動対策で欧米に後れをとっているわが国の現状と共通している。政府はそうした温暖化対策の推進を抜本的に強化すべく、追加経済対策の柱に再生エネや水素利用の実装化、カーボンリサイクルなどに2兆円を充てる「脱炭素化基金」の創設を決めた。これが化石燃料に対する“手切れ金”となるかどうか注目されよう。大変な一年でした。来年こそ良き一年となりますように。



コロナで始まりコロナで終わる2020年
2020/12/04(Fri) 文:(山)

 歳をとると月日が経つのは早いもので、あっという間に師走をむかえた。この季節になると、こどものころはプレゼントをもらえるクリスマスやお年玉をもらえるお正月がかきいれどきで、指折り数えていた。まさに「もういくつ寝るとお正月〜〜はやくこいこいお正月」の歌詞通りだった。だが、今年を振り返ると、世界中がコロナウイルスというやっかいなプレゼントに振り回されたことが、最大のニュースだろう。日本では9〜10月にかけて感染者数がおさまりつつあると思われたが、11月からまた感染者数が急増している。残念ながら、来年の正月までにおさまることは難しそうだ。
 12月から来年の正月は親御さんにとってはクリスマスやお正月を祝うどころではなく、とにかく家族をコロナから守ることに一生懸命という状態だろう。家庭だけでなく、企業や学校など人が集まるところは大変なご苦労があると思う。企業はもとより、商店やレストラン、ホテルなどの宿泊施設も計画通りに収入が得られず、苦しい経営を強いられているのではないかと思います。政府はGoToトラベルなるキャンペーンを実施しているが、どこに行っても目に見えないコロナウイルスが徘徊しているわけで、喜んで旅行に出かけるという気分にはなかなかなれないというのが現実ではないでしょうか。
 さて本号の特集は「急加速化する洋上風力」です。洋上風力とは風車を海域に設置して豊かな海風で風車を回し、効率的に発電する仕組みです。海に囲まれたわが国にとって、洋上風力は重要な発電設備になると期待されています。風力発電は太陽光発電のように太陽があるうちだけ発電するのではなく、昼も夜も発電できるのが特徴です。でも、陸上の風力発電は設置場所が風ある地域に限られており、さらに住宅地では羽根の回転による騒音が問題になっていました。陸上の風力に対して、洋上風力は強い風力が持続的に得られるため、安定的に大きな電力供給が可能になる点、もう一つは洋上であるため、騒音や万一の際の人的被害リスクが低く、設置場所の確保がしやすい点である。これらのメリットから、風力発電市場において、洋上風力の動きが活発になってきています。
 洋上で勢いよく回転する風車によって、発電と同時にコロナウイルスも海のかなたに吹き飛ばしてもらえればありがたいのですが、そううまくはいかないでしょうね。



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