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省エネ・新エネ普及推進協議会 関連情報

省エネ・新エネ普及ネット会報 第14号 2000年7/8月


北海道議会 継続審議に
省エネ・新エネ促進条例案
泊原発3号機「容認」絡む

 北海道が第2回定例道議会に提出した「道省エネルギー・新エネルギー促進条例案」は7月14日、継続審議になることが決まった。堀達也知事が同日、泊原発3号機増設計画を容認する発言を行ったことから、同議会民主党・道民連合が同条例案に「脱原発」の色彩を盛り込むことを求めたためで、同条例案の今後の見通しはやや不透明になりつつある。
 民主党・道民連合の中には独自の修正案を提出しようという動きもみられるが、議会与党の一翼も担っているため、一本化は難しいとみられている。
 今回の構図は先の通常国会で超党派の自然エネルギー促進議員連盟が提出を準備していた「自然エネルギー発電促進法案」が自民党内で原発推進派の法案と相討ちとなって提案が見送られたケースと似ているところがある。今後、新エネ、自然エネを促進するに当たり、性急に二者択一を迫ると、こうした事態が繰り返されることになりそうだ。
 道新エネ・省エネ促進条例案は、積雪寒冷な地域ゆえに道内で自立的に確保できる新エネルギーの利用拡大が必要と前文で謳うとともに、新エネルギーとして「雪氷」を明記、国の新エネ法の先を行こうとしている。また、道、事業者の責務とともに、「道民の責務」も明示して、地域住民の自主的取り組みを促している点が特徴だ。
 道では今春、条例案骨子を公開し、これに対する道民の意見を広く求め、今回の条例案にもそれらを反映してきた。省エネと新エネを一体化した初の条例案だけに、今後の動向に関心が高まるものとみられる。条例案の内容は次の通り。
 
 北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例案
 (前文)産業革命以降、世界の経済発展をエネルギー面において支えてきた石炭や石油などの化石燃料は、今日、その近い将来における枯渇や使用に伴う地球環境への影響が懸念されており、その使用を抑制することが求められている。
 私たちは、積雪寒冷な北海道においてエネルギーが社会経済の健全な発展と生活の安定のために不可欠な要素であることを深く認識し、限りある資源を可能な限り将来に引き継ぐとともに、北海道内で自立的に確保できる新しいエネルギーの利用を拡大する責務を有している。
 このため、私たちは、エネルギーの使用が人の様々な活動から生じていることを心に留め、社会経済活動や生活様式の在り方を見直し、エネルギーをむだなく大切に使用するとともに、北海道の自然や産業に根ざし、環境に優しい新しいエネルギーを育むことにより、人と自然が共生し、環境と調和した社会を築いていくことが必要である。
 このような考え方に立って、エネルギーの使用の効率化と新しいエネルギーの開発や導入に積極的に取り組むことにより、エネルギーの需給の安定を図るとともに、持続的発展が可能な循環型の社会経済システムをつくり上げるため、道民の総意としてこの条例を制定する。
第1条(目的) この条例は、省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進について、道、事業者及び道民の責務を明らかにするとともに、省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、その施策を総合的かつ計画的に推進し、もって北海道の社会経済の健全な発展及び道民の生活の安定に寄与することを目的とする。
第2条(定義) この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 1 省エネルギー エネルギーの使用の合理化に関する法律(昭和54年法律第49号)第2条第1項に規定するエネルギーを効率的に使用することをいう。
 2 新エネルギー 次に掲げるエネルギー(燃焼に用に供する物、熱又は電気をいう。以下同じ。)又はエネルギーの利用形態をいう。
  イ 太陽光、風力、水力、雪氷又はバイオマス(生物体をいう。)を利用して得られるエネルギー、太陽熱、地熱その他の環境への負荷が少ないエネルギーであって規則で定めるもの
  ロ 工場、変電所等から排出される熱、廃棄物を利用して得られるエネルギーその他のエネルギー又は物品を再利用して得られるエネルギーであって規則で定めるもの
  ハ エネルギーの利用の効率を向上させ、又は環境への負荷を低減させるエネルギーの利用形態であって規則で定めるもの
第3条(道の責務) 道は、省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
 2 道は、省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進を図る上で市町村が果たす役割の重要性にかんがみ、市町村が省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に関する施策を策定し、及び実施しようとする場合には、助言その他の必要な支援を行うものとする。
 3 道は、その施策の建設及び維持管理その他事業の実施に当たっては、自ら率先して省エネルギーの推進及び新エネルギーの導入に努めるものとする。
第4条(事業者の責務) 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、省エネルギーの推進並びに新エネルギーの開発及び導入に自ら積極的に努めるとともに、道が実施する省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に関する施策に協力する責務を有する。
第5条(道民の責務) 道民は、その日常生活において、省エネルギーの推進及び新エネルギーの導入に自ら積極的に努めるとともに、道が実施する省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に関する施策に協力する責務を有する。
第6条 道は、次に掲げる基本方針に基づき、省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。
 1 地域特性に応じた省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進を図ること。
 2 事業者の業態に応じた省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進を図ること。
 3 道民の日常生活における様々な場面に応じた省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進を図ること。
 4 省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に関連する産業の育成に努めること。
 5 省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入に積極的に取り組む地域づくりに努めること。
第7条 知事は、省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に関する基本的な計画(以下「計画」という。)を策定しなければならない。
 2 計画は、省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に関して、北海道の地域特性に即した的確な目標及び施策の基本的事項について定めるものとする。
 3 知事は、計画の策定に当たっては、あらかじめ、道民の意見を反映することができるよう必要な措置を講じなければならない。
 4 知事は、計画を策定したときは、遅滞なく、その要旨を公表しなければならない。
 5 (略)
第8条(学習の推進) 道は、事業者及び道民が省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の必要性についての理解を深めるとともに、これらのものの自発的な活動の意欲が増進されるよう、省エネルギー及び新エネルギーに関する学習を総合的かつ体系的に推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
第9条(民間団体等の自発的な活動の促進) 道は、事業者、道民又はこれらのものの組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が行う省エネルギーの推進並びに新エネルギーの開発及び導入に関する自発的な活動を促進するため、必要な支援を行うものとする。
第10条(関連産業の振興) 道は、省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に関連する産業の振興のため、エネルギーの供給、エネルギーを利用する機械器具の製造又は販売、住宅の建築、旅客又は貨物の運送等事業者が行う事業活動で省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に資するものに対して、必要な支援を行うものとする。
第11条(情報の提供) 道は、第8条に規定する学習の推進、第9条に規定する民間団体等の自発的な活動の促進及び前条に規定する産業の振興に資するため、必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。
第12条(調査の実施) 道は、省エネルギーの状況並びに新エネルギーの開発及び導入の状況に関する調査を実施するものとする。
第13条(研究開発の推進等) 道は、省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に資する技術の向上を図るため、研究開発の推進及びその成果の普及その他の必要な措置を講ずるものとする。
第14条(表彰) 道は、省エネルギーの推進並びに新エネルギーの開発及び導入に関して特に功績のあったものに対し、表彰その他の必要な措置を講ずるものとする。
第15条(道民の意見の反映) 道は、省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に関する施策に、道民の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。
第16条(連携の推進等) 道は、省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に関する施策の策定及び実施に当たっては、国及び市町村と緊密に連携を図るとともに、市町村、事業者及び道民の相互の協力が増進されるよう努めるものとする。
第17条(財政上の措置) 道は、省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。




 岩手・葛巻町で全国「風サミット」
8月30日から3日間 参加者募集中

 風力発電事業に取り組んでいる全国の自治体が一堂に会す第7回全国「風サミット」が8月30日から3日間、岩手県葛巻町で開かれる。自然エネルギー発電促進法案提出への動きに呼応して、2000年を「風力発電元年」と位置づける関係者も多く、今回は例年にない盛り上がりが期待されている。
 メーンの8月31日には飯田哲也・日本総合研究所主任研究員の基調講演のほか、地元高校生による「私たちの町の風車」と題した発表が行われる。続く、パネルディスカッション「農村漁村と風力エネルギーの開発」では、清水幸丸三重大教授をコーディネーターに、牛山泉足利工大教授、遠藤昭エコ・パワー社長室長らが討論。
 このあと、風力発電推進全国協議会会長の舘林茂樹・山形県立川町長ら自治体首長による「風サミット」が開かれる。情報交換会、参加者交流会、施設(袖山風力発電施設、上外川風力発電予定地など)の見学会も予定されている。参加費は7000円(資料代、懇親会費など。宿泊費別)で、約400人の参加を見込む。
 風力発電に関しては自然エネルギー発電促進法案上程の動きとともに、最近、ビジネスチャンスとみて、大手商社の参入表明が相次ぎ、新たな展開を見せつつある。こうした状況の中で、例年とは異なる議論が交わされる模様だ。
 問い合わせ、参加申し込みは葛巻町町づくり推進課(TEL 0195-66-2111,FAX 0195-66-2101,E-mail kuzumaki@office.town.kuzumaki.iwate.jp)まで。なお、同町ホームページ(http://www.town.kuzumaki.iwate.jp)にも開催要領が掲載されている。


 

雪を新エネルギーとして認知へ
山形県・舟形町で「雪サミット」


 日本に年間900億トンも降ると言われる雪を資源と捉え直し、冷熱エネルギーとして活用しようという第3回全国明るい雪自治体会議(雪サミット2000)が7月6、7の両日、山形県舟形町で開かれた。6日のサミットには協議会加盟35自治体のうち19自治体の首長らが出席。席上、会長の新潟県安塚町の矢野学町長は「最近、資源エネルギー庁に雪を新エネルギーとして認知するよう改めて申し入れたが、今年度中に補助金交付の仕組みができそうだ」との見通しを示した。
 7日には舟形町農業青年会議所の6人のメンバーが運営を開始した雪冷房貯蔵施設「アグリテック」の代表ら5人が、それぞれ雪の活用に関して事例を報告。引き続き、「環境と農業」(コーディネーター・嘉田良平京大教授)と「環境とエネルギー」(同媚山政良室蘭工大助教授)の2つの分科会が開かれ、活発な議論を展開した。また、「地球環境と人間の生き方」と題して、原田憲一山形大教授が記念講演を行った。
 このあと、(1)雪を新エネルギーとしてとらえ、その利活用を図るとともに、誰もが自由に雪利用が可能となるよう、諸制度の整備につとめる(2)利雪事業を雪国全体に推進していくために、「利雪債(仮称)の創設を訴える――などを内容とした「ふながた宣言」を採択。
 全国各地から約500人が参加、6日には舟形町周辺の利雪施設8カ所の見学も組み込まれ、人口7000人あまりの町が大いに盛り上がった。来年の第4回雪サミットは岩手県沢内村で開催されることが決まるとともに、協議会の会長に新たに鈴木勝治舟形町長が選出された。


自然エネ法案提出に意欲
円卓会議で加藤議連事務局長

 第4回自然エネルギー円卓会議(自然エネルギー促進法推進ネットワーク主催)が7月19日に開かれ、席上、自然エネルギー促進議員連盟の加藤修一事務局長(参院議員)は自然エネルギー発電促進法案に関して、「秋の臨時国会に提出して成立させたい。ただ、電源開発促進税の充当など財源については原案を微調整することになろう」と、提案に改めて意欲を示した。
 これに対し、勝俣恒久東京電力副社長は同法案の「買い取り約款」について、「電力会社に自然エネルギーを高く買い取れというのは、企業の効率性追求と矛盾する。その差額は消費者負担になるが、政府はそれを命令できるのか。コストを抜いた議論は成立しないし、風力発電だけ高料金にするという合意はできない」と強く反発した。同法案は先の通常国会で提出の準備が進められたが、自民党内の調整がつかず、提案は見送られた。
 一方、勝俣副社長はこの日、電気事業連合会が7月14日に総合エネルギー調査会新エネルギー部会で示した「グリーン電力制度」に関して説明を行った。同制度は月額500円程度の拠出金を希望家庭から電気代に上乗せして徴収し、電力会社が拠出金をほぼ同額加えて風力発電事業者に発電量に応じて助成しようというもの。この企業版も考えられており、電力各社では今秋にも実施、3年間ほど様子をみたいと言っている。
 この案に関して、山形県立川町の舘林茂樹町長は「定着には疑問を持っている。拠出金はあてにはならないうえ、入札制度を導入されると、売電価格が下落することになる」と、反対の意見を述べた。


佐和京大教授 産業界の姿勢批判 伊藤忠・諸戸氏「環境モデル」提案
IGES温暖化対策フォーラム

 (財)地球環境戦略研究機関(IGES)の第6回、第7回温暖化対策オープンフォーラムが6月29日、7月13日の両日開かれた。第6回フォーラムで、佐和隆光・京大経済研究所教授はCO2削減に関する産業界の姿勢について「経団連自主行動計画だけで十分と考える根拠は乏しい。炭素税と経済成長が先進国においてトレードオフの関係にあるというのは誤りで、マクロの経済成長率が必ずしも低下するわけではない」と批判した。
 同教授はさらに、「炭素税の経済的影響はほぼ中立的で、中長期的にはむしろプラスの効果をもたらす」と述べるとともに、「CO2排出削減のための設備投資は経済成長に対してプラスの効果を持つ可能性が強い」と強調、産業界の主張を退けた。また、排出権取引には行政コストが相当かかるので、炭素税導入の方がベター、との認識を示した。
 このほか、同教授は98年のダイムラーベンツとクライスラーの合併は「97年の京都議定書が促した自動車業界再編のはしりと見ることができる」と述べ、今後、燃費効率の改善に向けて自動車業界の再編が加速するという見通しも示した。
 第7回フォーラムで、伊藤忠商事監査役の諸戸孝明氏はIT(情報技術)を活用して、自治体、中小企業、市民に参加を求める「環境モデル(地球温暖化防止)」の構築を提案した。これは一定量以上のCO2排出削減が見込まれる自治体、一般世帯集団、中小企業集団(同業組合)などが参加して環境モデルのネットワークを構築、それぞれが削減量を登録、CO2排出量を売却できる制度を導入しようという試み。例えば、1000軒の世帯集団が各家庭で10tのCO2を削減した場合、計1万tが削減されることになり、これを1万円で売却できるようにするという提案だ。また、同氏は「自治体は廃棄物発電で、中小企業は燃料電池、コジェネの導入で、それぞれCO2削減に対応すれば、効果は大きい」と強調した。
 一方、この日、植田和弘・京大経済学部教授は「炭素税、排出量取引などに関しては、導入の是非そのものでなく、今や、制度設計の内容を議論する段階になっている」と述べるとともに、特に炭素税に関しては諸税の原則の中に、公平性などともに「環境への配慮」を取り込む必要がある、と炭素税論議を一歩進めるよう訴えた。このほか、同教授は運輸・民生部門のCO2削減に関連して、「産業構造、都市計画、国土利用の観点、および街づくり、ライフスタイルの転換などとリンクして取り組むべきだ」と強調した。  同フォーラムは今年1月から続けられてきたが、第7回でとりあえず終了した。




太陽光発電への補助打ち切りは未定
柏木新エネ部会長講演

 通産省の総合エネルギー調査会・新エネルギー部会の柏木孝夫部会長(東京農工大学教授)が7月10日、「21世紀新エネ政策の戦略的シナリオと展望」と題して講演した。同会長は、ソーラーパネル(太陽光発電)への政府補助が2002年度で打ち切られる、と一部で伝えられていることについて、「ペンディング中で、はっきり中止となるかは不明」という認識を示した。これは、資源エネルギー庁内で「いつまでたっても自立できないもの(ソーラー)に際限なく補助できない」という公益事業部と、補助継続の立場にある新エネ課との調整がとれていないためだ、と述べた。
 また、同部会長は「省エネはビジネスになりうる」という観点から、エスコ(energy service company)方式を紹介。これは例えば、あるビルの年間総エネルギー代が3億円とすると、エスコ社がコージェネ設備をそのビルに導入することで、「今後20年間にわたって、エネルギー代を3割減らす。達成できなければ補償する」とビル所有者と契約する。エスコ社は、他のビル50棟とも同様の契約を結ぶ。一方、コージェネメーカーとは「量産効果で、通常の半額程度で造ってくれるよう」交渉する。その結果、2億5千万円の設備が1億2千万円でできるとする。エスコ社は金融機関から資金調達して設備を導入し、当初の省エネ目標を達成する。結果的に9千万円削減となったエネルギー代の半分をエスコ社がもらい、ビル側も4千5百万円経費削減になるという構図だ。





「省エネナビ」「環境会計」の導入を
次世代DSM検討委報告書で提言

 資源エネルギー庁長官の私的諮問機関であるエネルギー需要最適マネジメント(次世代DSM)検討委員会は7月13日、省エネルギーの方法、手段に関する報告書をまとめた。「コスト意識を通じたエネルギー需要の管理・抑制を図るための手段のあり方」と題する報告書は将来への提言として、(1)視覚化を通じた省エネ意識の向上(2)ネットワークやシステムへの省エネ機能の組み込み(3)省エネ支援機能の担い手の多様化――をあげている。
 視覚化に関しては省エネルギーセンターが開発した「省エネナビ」を取り上げ、約800世帯を対象にしたモニター調査で約20%の省エネ効果が得られたと言っている。この「省エネナビ」はリアルタイムで個々の家庭の電力使用料金を計測・表示、視覚的にコスト意識に訴えることで、継続的な省エネ行動の定着をめざそうというもの。また、企業に対しては必要な情報が目に見える形で示される「環境会計」の導入を勧めている。
 また、省エネ機能の組み込みについては、エネルギー使用機器制御システムの活用や、コジェネによる需要地におけるエネルギーの有効利用、省エネ型建築物の普及などを提言。省エネ支援機能に関してはESCO事業の活用、電力・ガス会社によるエネルギー利用の効率化・料金メニューの多様化、自治体の率先した取り組みなどが必要と言っている。

 

草の根省エネ事業募集
省エネセンター

(財)省エネルギーセンターが通産省の省エネ地域活動支援事業の補助対象事業を募集している。対象は(1)省エネ設備導入事業(2)省エネ普及啓発事業――の2種類で、NPO、NGO、公益法人、企業などが応募できる。ただし、事業の実施を平成13年1月31日までに完了することが条件。
 この事業はCO2の削減に向けて、民間団体が草の根レベルで行う省エネ活動を支援しようという試みで、今年度初めて設けられた。(1)、(2)とも補助金は補助対象経費の2分の1で、1件当たりの上限は設備導入が1億円、普及啓発が5千万円。応募の締切は9月1日。
 詳細はTEL03-5543-3013、FAX03-5543-4120の同センター「地域省エネ活動支援事業」係まで。


9月5日 自販機シンポ

(NPO法人環境文明21と(財)日本都市センターが9月5日、「都市環境とまちづくり――自動販売機問題から考える」と題したシンポジウムを東京・平河町の日本都市センター会館で開く。自治体関係者と一般が対象。  加藤三郎・環境文明21代表理事が基調講演「飲料自販機から見える都市環境問題と条例モデルの提案」を行うほか、パネルディスカッションも行われる。参加費2000円(資料代込み)。  詳細は(TEL)044-411-8455、(FAX)044-411-8977の環境文明まで。申し込み締切は8月31日。定員250人。



「雪は語るほどに熱い」


第3回雪サミット会場語録(7月7日)

▼「今年は雪が少なくて困ったのではないか、と尋ねられた。こんなことを言われるのは世界で初めてではないか」(山形県村山市で22人のメンバーによる袖崎雪室研究会を組織、名古屋市のスーパーなどに「雪室米」を供給している赤塚信一さん)。
▼「静岡県のある町から4月の桜まつりに雪が欲しいと頼まれたので、20トンダンプ10台で200トンの雪を運んで売った。運転手は雪なんか運んでお金がもらえるかと心配していたが、60万円の運送費だけはその町からもらった」(同県飯豊町で雪室利用調査促進委員会を主宰する伊藤賢一さん。同町では賞金10万円の国際雪合戦も開催している)。
▼「雪は語れば語るほど熱い」「私の家では雪は宝」(同舟形町のエコ産業プロジェクト研究会のメンバーである沼澤一義さん。沼澤さんは自宅改築の際、家族の反対を押し切って雪冷房を導入してしまった。同町企画課長<現在退職>時代に利雪政策に携わり、「議論ばかりでは駄目」と率先遂行)。
▼「昔は冷害の常習地帯で、生活苦から娘を売った時代もあったが、今では雪のおかげで農産物、園芸品の代表的産地になれた」(岩手県西和賀JA代表理事組合長の佐々木覓<もとむ>さん。同JAはカサブランカ<ユリ>の生産では日本一。イチゴを雪を使って出荷調整し、6月以降、ショートケーキ用に販売して実績を上げている)。
▼「使っていない古いトンネルに雪を詰め、米、切り花、球根などの出荷調整で実をあげている。岩手県一貧乏、ということは日本一貧乏な村だが、来年は頑張って雪サミットを開くので、よろしく」(岩手県沢内村村長の高橋一雄さん)。
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